目次
第12章 藻類加工品 第1節 素干し品

スイゼンジノリ加工品

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主生産地

保存方法

常温保存

キーワード

ラン藻/寿泉苔/川茸/朝倉市

備考

Suizenji-nori-kakohin/伝統的加工品

スイゼンジノリ加工品とは

 スイゼンジノリは淡水産藍藻類の一種であり別名「川茸(かわたけ)」とも呼ばれている。
 主な加工品は「寿泉苔(じゅせんたい)」の名称で呼ばれる乾燥海苔であるが、加工品は乾燥海苔のほか、佃煮、刺身こんにゃく、塩漬け、スープ、砂糖菓子などが作られている。また、食材としての用途は多種多様であり、酢の物、刺身のつま、吸い物、茶碗蒸し、ちらし寿司、寒天とじなどで利用されている。また、料亭での食材や地元での祝いの席などで消費される。
(本文末尾の「スイゼンジノリ加工品の歴史」もご参照ください)

主な生産地

 かつては、熊本県熊本市水前寺や福岡県久留米市国分などでも生産されていたが、現在は全国で唯一、福岡県朝倉市の黄金川(こがねかわ)で生産されている。

原料選択のポイント

 スイゼンジノリは主に3月から6月に生産される。乾燥海苔は色の濃い製品が重宝されることから、原料はなるべく黒色に近いものを採取する。養殖は戸外であるためゴミが混入する。ゴミ取りと同時に日射量過多による変色のりの選別が必要である。

加工技術

 ミンチ機ですりつぶしてペースト状にした藻体を乾燥する。乾燥工程は素焼きの平瓦、谷瓦、杉板などを用いて行い、仕上げはさらし木綿で両面を磨き上げる。全工程は2週間かかる。(写真1,2)

写真1 左…谷瓦、中…平瓦、右…杉板(提供:内水面研究所・遠藤金川堂)
写真2 貯蔵している瓦(提供:内水面研究所・遠藤金川堂)

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 すべて自家生産ののりを用いる。写真3

  • 水洗い 藻体に付着した泥、小さなゴミ、水草等を取り除く。

  • 流し滝 人工芝や竹のの子を敷いた多段式の洗浄装置でより細かい不純物を取り除く。洗浄装置の形状・方式からこの工程を「流し滝」と呼んでいる。

  • 選別 変色したのりなど品質の悪いものを取り除く。

  • すりつぶし ミンチ機を用いてペースト状にする。

  • 平瓦への塗りつけ  ペースト状にしたのりを素焼きの瓦に塗りつける。

  • 陰干し 1日半くらい陰干しをする。

  •  谷瓦への貼り直し のりの付いた面を下にして天日干しを行う。

  • 杉板への貼り付け 杉板に4枚ずつ貼り付け、表面を両面ともさらし木綿で磨く。写真4

  • 裁断 販売サイズに裁断する。

写真3 スイゼンジノリ養殖場
(提供:内水面研究所・遠藤金川堂)
写真4 スイゼンジノリ加工(提供:遠藤金川堂)

加工に用いる機器等

 加工は手作業で行われ、ミンチ機以外に機械は使われていない。

品質管理のポイント

 養殖場は屋外であるためゴミが混入しやすく、ゴミ取りと同時に、日射量過多による変色のりの選別が必要である。

製品の形態

 乾燥した製品は板状である。

特徴的な成分

 スイゼンジノリから抽出される多糖類「サクラン」の高い保水力が注目され、化粧品の原料としても出荷されている。

調理方法および食べ方

 生のりのプルンとした舌ざわり、乾燥のりは香味や歯ごたえを大切にした料理が作られており、水に戻したものを刺身のつま、酢もの、和え物、吸い物等に使用する。また、刺身こんにゃくや佃煮などの加工品も作られ、販売されている。

写真5 スイゼンジノリ製品(寿泉苔)(提供:遠藤金川堂)

コラム

「スイゼンジノリ加工品の歴史」

 加工品の製造は200年以上前から行われており、細川藩、秋月藩からの幕府への献上品として保護育成されていた。
 朝倉市黄金川におけるスイゼンジノリづくりの歴史は古く、江戸時代の宝歴十三年 (1763年)から採取されており、代表的な加工品である乾燥海苔の生産は寛政5年 (1793年)より秋月藩御用商人であった遠藤家の7代目が製法を完成し、生産を開始した。 
 学術的には、1872年にオランダの植物学者スリンガーが水前寺・江津湖で発見し、世に紹介した。

(著者:福岡県水産海洋技術センター内水面研究所 篠原 直哉)