ひじき加工品とは
ひじき加工品は乾製品が多く、漁業者が収穫後、干しただけの「素干し品」、加工業者が蒸煮後に干す「煮干し品」が、ヒジキの主な加工品である。乾燥したヒジキは保存性が高く、古くから野菜の乏しい夏場の惣菜として重宝されてきた。
主な生産地
ヒジキの主な産地は、かつては長崎、千葉、三重、愛媛、大分、和歌山、神奈川、山口などであったが、磯焼けや温暖化等でかつての主な産地での生産量は減少し、産地が変わってきている。韓国や中国からの輸入が多い。
生産の動向
現在のヒジキ市場は約6,500tと言われ、そのうち、国産約1,000t、韓国産約3,500t、中国産約2,000tと想定されている。
原料選択のポイント
原料には付着物などの汚れがなく、色が濃く、太めで長く、こしのしっかりしたものが良い。
加工技術
煮干しひじきは、素干しひじきを蒸煮し、乾燥したもの。製造方法には「蒸乾法」「煮乾法」などがある。蒸乾法は伊勢地方で行われ、天日干ししたヒジキを蒸し器で蒸し上げて干す。煮乾法は房州地方で行われ、採取したヒジキを天日干しせずに海水または真水で茹でて干す。生のヒジキは、硬く渋みが強いが、加熱と乾燥により、渋みを除去し、適度な食感と保存性が付与される。
製造工程の概略

加工の実際
- 原藻採取・天日干し 採取時期は4月から5月下旬ごろまでとされる(写真1左)。干潮時にカマで根(座)を残して刈り取られる。根(座)を残すことで新しい茎が出て、7~8年は収穫できる。採取後、漁業者によりそれぞれの地域で天日により干し上げ(写真1中)、素干し品として大袋に詰めて集荷され(写真1右)、加工業者に出荷される。
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(提供: 左・中 マルキン水産食品(有)、右 長崎県総合水産試験場)
- 洗浄・蒸煮(煮熟) 加工業者では、素干し製品を洗浄槽で井水に漬け込み洗浄した後(写真2)、蒸し釜で蒸煮(写真3)又は煮熟する。長崎県の業者では、蒸煮時間は、夕方2時間で、その後一晩蒸らす。蒸煮時間が短すぎると製品が固く、長過ぎると粘りけが出て乾燥しにくく、風味も乏しくなる。
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- 乾燥 天日乾燥には2~3日を要する(写真4)。長崎県の業者では、商品とならない屑ヒジキを濾布に入れ、蒸煮時の煮汁に加え、その煮汁に2日間天日乾燥したヒジキを漬けることで色揚げ(色調調整)を行い(写真5)、再び天日で1日乾燥させる。規模の大きいところでは、乾燥機などにより2~3時間の機械乾燥が行われる。
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- 選別・検査 乾燥したものは、茎の部分(長ヒジキ)と芽(芽ヒジキ)に分ける。風力選別機や色彩選別機、目視などで異物を取り除く。金属探知機による検査も行われる。茎と芽ヒジキの合計歩留まりは、産地や採取時期によって異なるが概ね45~47%であり、その比率は1:9程度である。
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(左より①目視による選別、②風力選別機(投入口)、③風力選別機、④色彩選別機(提供:長崎県総合水産試験場)
加工に用いる機器等
茹で釜または蒸し器、乾燥機、選別機、金属探知機など
品質管理のポイント
煮熟の際に、鉄釜を使うことや鉄釘などを入れることにより、色の良い製品に仕上がると言われていたが、異物混入を防ぐため、最近ではあまり行われていない。そのため、長崎県の業者では乾燥工程の間に煮熟汁に戻す色揚げ工程が含まれるようになった。
安全衛生管理のポイント
金属探知機では探知できない釣糸や網屑、プラスティック屑の混入があるため、目視による除去が重要となっている。
特徴的な成分
蒸煮の際に、鉄釜を使うことで鉄分が豊富になるため、日本食品標準成分表(第8訂)では、蒸煮時にステンレス釜か鉄釜を使うかにより成分が異なることが示されている(表1)。

製品の形態
長崎県では、素干し品は20~25kg程度のひじき袋(海藻袋)に詰められ県漁連により集荷され、加工業者に向け出荷される。加工業者では、業務用煮干し品は8~10㎏入りのビニール袋に入れた後、箱詰めして出荷する。小売り向けは各種サイズのポリプロピレン小袋に詰められる。
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包装および保管方法
乾燥したヒジキは湿気をおびなければ長期間変質しないので、保存は湿気に注意する。時に白い粉を拭いているが、それは塩分が析出したものである。
調理方法および食べ方
乾燥品はたっぷりの水で戻す。ただし、戻し過ぎないようにする。ヒジキには無機ヒ素が含まれているが、水洗いや水戻し、またはゆでこぼしなどにより低減できる(図2)。
水洗い後は水を切りそのまま、酢の物や汁物、煮物などに使う。ヒジキは油がよく合うため、油揚げやこんにゃく、椎茸などと油で炒めた調味加工品が代表的である。高級品の長ひじきは長いから縁起が良いとされ、結婚式などの贈答品として需要がある。

参考文献
・農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課; https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/gyokai/g_kenko/busitu/pdf/hijiki02.pdf(2024年9月27日参照)
・文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会. 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」.2020.
(著者:長崎県総合水産試験場 久保 久美子)
(協力:マルキン水産食品 有限会社 山戸代表取締役)
