さんま蒲焼缶詰とは
さんま蒲焼缶詰は、1950年代にサンマの漁獲量が増大したことに伴い、千葉県銚子市の田原久次郎により、うなぎ蒲焼を参考に開発された新しい缶詰製品であり、千葉県銚子市が発祥の地である。その後サンマの漁獲量の多い道県で製造されるようになった(写真1)。
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主な生産地
2024年の都道府県別缶詰生産数量は北海道、青森県、岩手県、宮城県、千葉県で生産量が多い。
しかし、さんま蒲焼缶詰でなく、さんま缶詰の総数量の統計であるため、注意が必要である。
生産の動向
2018年から2024年までの生産数量は減少している。サンマの不漁により、原材料が不足していることが原因と考えられる。
原料選択のポイント
サンマの漁獲量は年により変動が大きく、サイズや脂の乗りも様々であるため、身の切り方や焙焼時間等を調整して利用している。国産は北海道で水揚げされたものが多い。国内の水揚げが低調な時は台湾産を利用することもある。
時期は限定されるが地先で水揚げがあった場合は、そのまま生鮮サンマを原料として使う。生鮮品を使った場合は柔らかく仕上がる。それ以外の時期は冷凍サンマを使って周年加工しているが、冷凍サンマを原料に用いた場合は味が染みやすいといった特徴がある。
冷凍サンマの規格は1ブロック10㎏~15㎏と購入先により異なる。
蒲焼缶に使うサイズとしては110g/尾ぐらいのサイズが、歩留まりが最も良い。それよりも大きくなると肉詰めの際に身を切りそろえるため、使用できない部分が増加し、逆に小さいと一缶当たりに使う尾数が多くなり効率が悪くなる。
加工技術
サンマを焙焼して煮崩れを防ぎ、缶に肉詰めした後に、醤油や砂糖等を独自に調合したたれを注入、加圧加熱殺菌したものである。缶詰にすることで常温での保存が可能となっている。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 サンマ棒受網(ぼううけあみ)漁で漁港に水揚げされる時期は、漁港から直接生鮮で買い付けを行うが、それ以外の時期は、冷凍したサンマを解凍して加工する(写真2)。
解凍に使う水は、水道水に塩を入れる場合と、滅菌冷海水を用いる場合がある。ただし、海水の濃度に近い塩分で行わないと身が白くなる。
解凍は、1つのダンベ(魚を入れる大型の容器)に約400㎏のサンマを収容して、皮が剥がれたりしないようエアレーションでゆっくりと行う。エアレーションをすることで、魚が攪拌されて効果的に洗浄できる。
- カット まず、カッターで頭と尾を除去する。水平刃で腹部をカットし、背開き加工する
(写真3)。
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- 異物検査 背開きしたサンマを金属探知機にかけ金属類の異物は除去する。金属探知機で検知できない異物(寄生虫等)は、目視でさらに確認する。
- 焙焼 サンマを醤油にくぐらせた後、内臓を除去し、人の手で焼き網に並べる。サンマを並べた焼き網は、ベルトコンベアで移動しながらバーナーによる炙り、セラミックバーナーによる遠赤焙焼を行う。一部高級品では木炭による炭火焼きを行うこともある。製品によって数種類の焼き方を組み合わせて焙焼する(写真4、5)。
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- 肉詰め 焼いたサンマは柔らかく崩れやすいので人の手で焼き網からおろす。缶詰に入るように機械でサンマを切った後、重量を調整し、手作業で肉詰めする。ウェイトチェッカーで秤量し、量を調整する。
- たれの注入 醤油、砂糖等の調味料を調味室で調合した独自のたれを投入する(写真6)。
- 密封 巻締(まきしめ)機を使用し、缶の蓋を閉じて缶の外側を洗浄する(写真7)。
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- 殺菌 114℃の蒸気で70分加圧加熱殺菌をする。これにより、細菌など微生物を死滅させ、腐敗を防ぐことができ、長く貯蔵できるようになる。加圧加熱の確認には特殊な紙を使用する。加圧加熱によって色が変化する特殊な紙を装置内に入れて、十分な加圧加熱であったかを確認する。(写真8、9)。
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加工に用いる機器等
割裁機、(セラミック)バーナー、ウェイトチェッカー、巻締機、高温高圧調理殺菌装置、洗缶機、
印字機
品質管理のポイント
原料の鮮度は、ヒスタミンチェックにて確認する。鮮度が不十分なロットがあった場合は全量廃棄となる。異物混入は金属探知機や目視により確認する。
特徴的な成分
さんま蒲焼缶詰の一般成分及び脂肪酸含量を表1に示した。缶詰中に含まれている「たれ」由来の炭水化物も一定量含まれている。また、サンマ由来の脂肪酸含量が多く、EPA、DHAが豊富に含まれている。一方、これらの脂肪酸は高度不飽和脂肪酸であることから脂質酸化が速く、製造工程の焙焼や殺菌(加熱加圧処理)といった熱を加える工程はでき1だけ短時間に行う必要がある。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態
缶詰規格のうち、ツナ2K、角3号B缶、角5号A缶等が用いられる。うち、角5号A缶は内容量が身と調味料とあわせて100gのものが多い。30~60缶入りで1ケースとなっている(写真10)。
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包装および保管方法
缶をあけて、普通にそのまま食べられる。卵を加えてうな玉風にする等、一工夫してもよい。
同類製品例
いわし蒲焼、うなぎ蒲焼
参考文献
- 文武科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会.「日本食品標準成分表 2020年度版(八訂)増補2023年」2023.
- 缶詰時報 Vol. 104 No.8 公益社団法人 日本缶詰びん詰レトルト食品協会発行 2025;26-27,74-75,168.
(著者:千葉県水産総合研究センター 宮里 幸司)
