目次
第2章 塩蔵品 第1節 魚類塩蔵品

潮鰹(塩鰹)

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主原料

主生産地

保存方法

常温保存

キーワード

正月魚/新嘗祭/西伊豆

備考

Shio-katsuo/伝統的加工品

潮鰹(塩鰹)とは

 潮鰹(潮かつお、塩鰹、しおかつお)は、塩漬け・乾燥させたカツオ加工品である。静岡県西伊豆町田子地区では、漁業での航海や操業の安全、豊漁、また豊作を祈願して、正月に神棚にお供えする習慣がある。潮鰹の読み方と、正月にお供えすることから、正月魚(しょうがつよ、注:”よ”は魚の意味)とも呼ばれる。
 潮鰹は保存食として塩蔵したことが由来と考えられるが、新嘗祭にいなめさいのお供え物として、その年の最後の漁で獲れたカツオで製造した潮鰹を、同じ年に収穫した稲藁いなわらで飾り付けをして奉納し、江戸時代以降には歳神に対する信仰と結びつき、正月に神社に奉納するようになったと考えられている。

主な生産地

 静岡県西伊豆町田子地区

生産の動向

 静岡県西伊豆町田子地区でのみ生産されている。現在は生産者3軒、年間約700~800本(1本ものとして)が生産されている。

原料選択のポイント

 製品は、正月の供えものとして使用するため、形が良く、尾が欠損していないもの、また脂が少ないものを使用する。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 約3kgの冷凍原料を用いる、漁法は問わない。供え物として使用するため、形が良く、尾が欠損していないもの、また脂が少ないものを使用する。

  • 解凍 冷凍カツオを解凍タンクに投入しタンク内で自然解凍する。

  • 生切り 腹の正中線を肛門まで切り、えらと内臓を除去する。塩が浸透しやすいように中骨の両側に切れ込みを入れ、水で洗浄する。なお、この作業は乾燥した強い西風が吹く12月頃に乾燥工程になるように11月上旬に行う。

  • 塩詰め 鰓と内臓を除去したカツオの腹に塩を詰め込み、また全体に塩をまぶす(写真1)

  • 塩漬け 腹を上にして、コンクリート製の容器に240~250本の塩詰めしたカツオを入れて漬け込む。1日後に魚体から水分が出て塩分が薄まるため、塩分20%の塩水、もしくは潮鰹製造の際の塩汁(前回の製造時に使用した塩濃度が20%以上の漬け汁)を加える。漬け込みの際は、カツオが浮かないように上から竹製のすのこで軽く押さえ、大きさによって10日~2週間漬け込む。この間、カツオから水分が出て塩分が薄まるため、塩もしくは高濃度の塩水を加えて塩濃度を調整する。
  • 乾燥 塩漬けしたカツオは、一旦水洗いして、塩や塩水を洗い流す。乾燥しやすいように腹を竹製で約10cmのくさびで開き、2尾の尾を紐で結び、孟宗竹もうそうちくで組んだやぐらにはさ掛けし、約3週間乾燥させる(写真2)。以前は田子地域で冬場に乾燥した強い西風が吹くため、それを利用したが、現在は風が弱い日が多く、扇風機を併用する。乾燥後は常温で保管する。 

写真1 塩詰めしたカツオ(写真提供:カネサ鰹節商店)
写真2 乾燥の様子(写真提供:カネサ鰹節商店)

製品の形態と保管方法

 乾燥した状態で特に包装等はせずに製品とし、常温で保管する(写真3)。ただし、一部は稲藁いなわらや稲穂を頭の方に編んで飾り付けする(写真4)。また、片身の製品、スライスした製品のほか、派生した製品として茶漬け、ふりかけ、粉末等もある。

写真3 潮鰹製品(写真提供:カネサ鰹節商店)
写真4 稲藁や稲穂で飾り付けした潮鰹
(写真提供:カネサ鰹節商店)

調理方法および食べ方

 食べ方は、薄く削ぎ切りしてそのまま食べる、甘酢に20分漬けて酢漬けにするなどして、つまみとなる。その他に潮鰹を三枚におろし、薄い切り身にし、炙って食べる、ほぐしたものをお茶漬にする、吸い物にするなどの食べ方がある。塩分とカツオの旨味があり、調味料の役割も果たす。

 (著者:静岡県水産・海洋技術研究所 二村 和視)