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第12章 藻類加工品 第1節 素干し品

青のりばら干し

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保存方法

常温保存

キーワード

緑藻/ヒトエグサ/ばら干し/青のり

備考

Aonori-baraboshi

青のりばら干しとは

 緑藻類であるヒトエグサを水洗いし、乾燥したものである。
 福島県ヒトエグサは一般消費用にも加工されているが、のり佃煮等の加工製品の原料としての業務用出荷が主体である。本稿では、業務用製品の製造について述べる。

主な生産地  

 福島県、静岡県、愛知県、三重県、香川県、高知県、熊本県、鹿児島県、沖縄県 

生産の動向

 ヒトエグサの主産地として三重、鹿児島、沖縄が知られている。福島県では県北部の相馬市にある「松川浦まつかわうら」(潟湖)で生産されている。松川浦は水深が浅く、静穏なためヒトエグサの育成に適しており、他産地よりも小規模ながら、東北地方では唯一ヒトエグサの養殖が定着している。収穫用の「ノリ棚」が海面に広がる独特の風景は、冬〜春の風物詩となっている。
 福島県産ヒトエグサは、香りが強く食感が柔らかいと評価され、地元企業も加工製品に力を入れている。地元ブランドとして様々な商品が販売され、地域の魅力としても発信されている。(写真1、2)
 福島県のヒトエグサ生産は、東日本大震災・原発事故の影響により自粛を余儀なくされた。2018年に放射性物質対策を徹底し生産・出荷が再開されたものの、現在の生産量は震災前の水準の 約 1/5 程度にとどまっており、国の補助制度等を活用した生産設備の改善や生産量の回復を目指す取り組みが進められ、さらに近年はMEL認証を取得し海外輸出を図るなど新たな販路開拓も行われている。

写真1 ヒトエグサを用いて開発された新製品(提供:㈱マルリフーズ)

原料選択のポイント

 緑色が濃く、色落ちや付着珪藻が少ないものが良い。また、ヨコエビなどの甲殻類の少ないものが良い。ヨコエビなどが多いと乾燥工程中に手作業で取り除かなければならない。

加工技術

 原料は除塵機による真水洗浄後、枠にばらしながら広げて機械乾燥する。乾燥しすぎると粉末化してしまうため、戻し(吸湿)を行い水分を16%程度にする。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料洗浄 除塵機により真水洗浄後、脱水する。

  • 乾燥 枠にノリをばらして広げ機械乾燥にて、ダマができないように一旦強めに乾燥する。

  • 戻し(吸湿)  水分が低いと粉末化しやすいため、水分を16%程度まで吸湿させる。

  • 裁断 裁断機で規格サイズに裁断する。

  • 検査 製品に、異物や金属などが含まれないか検査する。

  • 包装 裁断したノリを7kgずつビニール袋に入れ、包装箱に詰める。

加工に用いる機器等

 除塵機、脱水機、乾燥機

品質管理のポイント

 吸湿性が高いので、防湿に注意する。高温、光で変色するため冷暗所で保管する。長期に保管する場合は冷凍保管する。

健康機能性成分

 ヒトエグサには食物繊維やカロテノイド類(β‐カロテン、ルテイン等)が多く含まれる。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態

 主に、業務用として厚さ約2㎝の板状の製品(ばら干し)7kgを箱詰めしている。

包装および保管方法 

 包装した状態で冷暗所または冷凍保存に保管する。

調理方法および食べ方

 多くは、業務用として佃煮の原料とされているが、家庭で調理する場合は、みそ汁にそのまま入れても美味しく食べられる。天ぷらや自家製佃煮、酢のものにも利用される。
 写真1に示すような新製品では、従来の和食用の素材としてのみでなく、洋食向けの素材としての食べ方も提案されている。

 写真3 青のりばら干し(提供:福島県水産海洋研究センター) 

(著者:福島県水産海洋研究センター 千代窪 孝志)
(協力:㈱マルリフーズ、おびすや)


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