目次
第1章 乾製品 第4節 焼き干し

小鯛だし

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主原料

主生産地

保存方法

常温保存

キーワード

焼き干し/粉末だし/未利用資源 

備考

Kodai-dashi/単独製品

小鯛だしとは

 小鯛だしは、未利用のチダイを焼き干しし粉末化しただし素材である。
 古くから漁業が盛んな鶴岡市由良地域では、規格に達せず値段が付かないなどの理由で市場に出荷されない魚を各家庭で大切に利用してきた。地元で小鯛と呼ばれる小さいチダイもその一つで、体長15㎝以下のチダイは昔から漁家では焼き干しに加工され、保存性を高めて日常の食事のだしを取るために使ってきた(写真1)。また漁家で作った小鯛だしは近所や親戚にも分けられ、由良地域では古くから親しまれているものであった。2011年に結成された「ゆらまちっく海鮮レディース」では、この由良地域の昔ながらのだしに焦点を当て、2014年に「小鯛だし」を商品化した(写真2)。商品化に当たっては、未利用資源の活用や漁家の所得向上、地域の食文化の継承などがテーマであったが、最終的には地域のお年寄りの「小鯛だしで作ったうどんほどおいしいものは無い」という言葉が決め手となった。
 現在では、県内の幾つかのラーメン店でラーメンだしの一つとして使われている他、「小鯛だし」が練りこまれた「八乙女うどん」や、「真鯛粉末」を用いた鯛だしみそ、鯛だし醤油も開発されている(写真3)

写真1 小鯛(チダイ)の焼き干し
(山形県水産研究所提供)
写真2 商品化した小鯛だし
(山形県水産研究所提供)
写真3 小鯛だしと関連の製品
(山形県水産研究所提供)

主な生産地

 山形県鶴岡市由良

原料選択のポイント

 地元では小さいチダイを「小鯛」と呼ぶ(ちなみに、小さいマダイは「鯛子」と呼ぶ。)。チダイはごち網や底びき網などで漁獲され、塩焼きサイズのものは市場に出荷されるが、規格外となる小さいものを焼き干しづくりに利用している。

加工技術

 小鯛だしはチダイの焼き干し製品であり、加熱と乾燥により自己消化酵素の停止、微生物低減、タンパク質凝固・脱水作用による水分活性低下により、保存性を付与したものである。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 地元の由良漁港の漁船から未利用サイズである全長15cm以下のチダイを直接購入し、鮮度の良い状態のまま凍結する。解凍した原料は手作業で内臓を取り除いて水洗いする(写真4)。生の原料をそのまま使うと、乾燥後にサラサラの粉末にならないため、必ず原料は一度凍結する。

  • 焼き ガスの焼き台で焼き色を見ながら両面を焼く(写真5)

写真4 チダイの内臓を手作業で除去
(山形県水産研究所提供)
写真5 チダイの両面に焼き色をつける
(山形県水産研究所提供)

  • 乾燥 乾燥台に並べて50℃の温風乾燥機で48時間乾燥させる(写真6)

  • 粉砕 目玉を割りばしで突いて除去した後、小型のチダイは粉砕機でサラサラになるまで粉砕する(1分程度)。その後、ザルでふるって鱗などを取り除く(写真7)

写真6 乾燥の様子
(山形県水産研究所提供)
写真7 粉砕した後、ザルでふるう
(山形県水産研究所提供)

  • 包装 粉砕した「小鯛だし」は50gずつ手作業で袋詰めし、真空包装する(写真8)。 

写真8 袋詰め作業
(山形県水産研究所提供)

加工に用いる機器等

 ガス赤外線グリル、温風乾燥機、粉砕機、真空包装機

品質管理のポイント

 脂が乗っている原料は十分に乾燥できないうえ、酸化して嫌な臭いを発するため使用しない。

製品の形態

 粉砕した「小鯛だし」は50gずつ真空包装して家庭用に販売する。一方、県内のラーメン店などから業務用としての引き合いも多く、その場合は粉砕前の状態で500gずつ袋詰めして販売する。 

包装および保管方法

 直射日光、高温多湿を避けて、常温で保管する。開封後はチャックを閉じて早めに消費する。

調理方法および食べ方

 基本的には料理のだしとして活用でき、主張が強くないためどんな食材とも合う。どんな料理にも少し小鯛だしを加えるだけでまろやかになる。製造者がおすすめする食べ方は、タケノコとワカメの煮物やフキの煮物など、春の食材と小鯛だしが格別に良く合う。その他、チャーハンや炒め物などに加えても美味しい。
 小鯛だしが練りこまれた「八乙女うどん」も製品化されているが、麺の茹で汁に醤油を垂らすだけで小鯛だしが香る手間いらずの逸品である。

 (著者:山形県水産研究所 髙木 牧子)