目次
第12章 藻類加工品 第3節 塩蔵品

塩蔵もずく

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主生産地

保存方法

冷凍保存/冷蔵保存

キーワード

塩蔵/フコイダン

備考

Enzo-mozuku

塩蔵もずくとは

 塩蔵もずく(写真1)は、オキナワモズクを収穫後に洗浄し、塩漬けにした製品である。塩漬けにすることで水分が抜けモズク自体の重量が増すため保管や流通に適しており、冷蔵・冷凍技術が向上した現在でも、生よりも塩蔵で保存することが多い。なお、塩蔵もずくは冷凍すると数年間保存することが可能である。

写真1 塩蔵もずく(提供:沖縄県工業技術センター) 

主な生産地  

 沖縄県

生産の動向

 モズクと称されている海藻にはイシモズク、オキナワモズク、クロモなど数種類がある。日本のモズク生産量の内99%以上を沖縄県で生産しており、そのほとんどが養殖されたオキナワモズクである写真2。オキナワモズクは南西諸島の固有種であり、太さ1.5~3.5㎜と他のモズクよりも太く、粘質物質にも富んでいる。
 モズクの養殖は1979年頃から盛んになり、その後モズク生産量が急激に増加するとともに、国内各地での需要も増加したことから、塩蔵もずくが製造されるようになった。現在でもモズクの流通形態は塩蔵もずくが主流であるが、ヌメリ分の多い生もずくの需要も増加している。また、流通コストの低減と保存に有利な乾燥もずくも製造されている。

写真2 オキナワモズク養殖風景(提供:沖縄県漁業協同組合連合会)

原料選択のポイント

 オキナワモズクは沖縄県各地の沿岸で養殖されている。地域で海水温度に差があるため収穫期にも多少のずれはあるが、3~6月が養殖モズクの収穫期である。
 養殖モズクは成長するにつれ性状が変化し、藻長が30cm程度で収穫される「完熟もずく」は、濃い茶褐色をしておりヌメリ分の溶出が少ない。「完熟もずく」は、塩漬けによる藻体の崩壊も少なく、塩蔵モズクの原料として最も適している。なお、未熟の若いモズクは細胞壁が弱く、塩漬け工程で細胞壁が壊れてしまう。また、完熟よりも熟度が進んだモズクは脆く切れやすいため、塩蔵もずくの原料には不適である。

加工技術

 塩蔵もずくは、96%以上あるモズクの水分を食塩により脱水し、水分含量を低下させて保存性を向上させている。脱水の程度は食塩濃度および漬込時間によって左右される。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 原料は養殖オキナワモズクを使用している。わずかではあるがイトモズクも原料とされる。モズクはできるだけ鮮度のよいものを使用するのがよく、収穫後、直ちに加工場へ搬入される。
  • 洗浄 撹拌洗浄機等を使用して海水で洗浄し、小さな石や貝類、小エビなどの小さな生物を除去する。
  • 異物除去 モズクと混在する雑藻は、洗浄工程での除去は困難なので、目視により手作業で除去する。
  • 水切り レーンを移動しながら、塩漬けタンクに投入されるまで自然に水切りされる。
  • 塩漬け タンクに投入されたモズクは、モズク重量の15~20%の食塩を添加し、全体に食塩が行き渡るように十分に混合する。混合後は密閉して5日程度漬け込む。漬け込みが進むに従い、モズクから水分が浸出する。なお、塩分を添加しすぎると、モズクが柔らかくなり溶けるような現象が起こる場合がある。
  • 水抜き 漬け込みによってモズクから浸出した水分をタンク下部より抜き取る。
  • 異物除去 小石や雑藻などの異物除去を手作業で行う。最終の異物確認となるので、除去しづらい雑藻は特に注意する。(写真3)
  • 充填・脱気 一斗缶に敷いたビニール袋に18kgずつ充填し、袋内に空気ができるだけ残らないように脱気した後に縛り、一斗缶に蓋をする。
  • 保管 出荷まで-20~-25℃の冷凍庫に保管する。
  • 出荷 業務用・加工原料用は一斗缶のまま出荷される。小売用は解凍後200~500gずつ再パックして出荷される。
写真3 塩蔵もずくの製造風景(異物除去) (提供:勝連漁業協同組合)

加工に用いる機器等

 撹拌洗浄機、塩漬けタンク

品質管理のポイント

 貯蔵方法と異物除去が重要である。冷蔵では品質が劣化するため、出荷するまで冷凍で保管している。異物除去は撹拌洗浄機で除去できない雑藻を手作業により選別している。

健康機能性成分

 モズクにはぬめり成分であるフコイダンが含まれている。フコイダンは栄養成分としては食物繊維に分類され、硫酸化多糖である。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態・包装及び保管方法

 小売用は解凍後、スタンドパック袋などに詰め出荷される(写真4)。業務用及び加工原料用は一斗缶のまま出荷される。冷蔵または冷凍で保管される。

写真4 塩蔵もずくの包装済みパッケージ(提供:勝連漁業協同組合)

調理方法および食べ方

 塩蔵もずくは、流水で水洗いし塩分を十分に取り除く。洗いすぎないようにすると歯ごたえとぬめりが保たれる。水気を切った後、三杯酢などで酢の物にして食するのが一般的である写真5。さらに、みそ汁や雑炊などに入れたり、天ぷらにするなどして食している。最近は、しゃぶしゃぶやざるもずくなどの新しい食べ方も考案されている。また、塩蔵もずくは市販用や給食用写真6の味付けもずくに加工されている。

写真5 もずくの酢の物(提供:沖縄県工業技術センター)
写真6 給食用味付けもずく(提供:株式会社ホクガン)

(著者:沖縄県工業技術センター 湧田 裕子、山城 利枝子)