目次
第4章 ねり製品 第11節 特殊かまぼこ

削りかまぼこ

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主生産地

保存方法

冷蔵保存

キーワード

特殊かまぼこ/乾燥/エソ/スケトウダラ冷凍すり身/愛媛/今治/宇和島/八幡浜

備考

Kezuri-kamaboko/伝統的加工品

削りかまぼことは

 削りかまぼことは、塩ずりしたすり身を薄く伸ばして蒸したものを、自然の寒風、あるいは乾燥機で乾燥させ、薄く削った製品写真1である。
 かまぼこの貯蔵方法の一つとして、約90年前から製造されている。冬場にかまぼこを天日で乾燥し、「カンナ」で削ったのが始まりである。戦後、愛媛県伊予市の名越鉄工所が削り節機械を改良し、削り工程が機械化された。

写真1 削りかまぼこ(赤と白)(提供:平岡芳信)

主な生産地

 愛媛県今治市、宇和島市、八幡浜市

生産と消費の動向

 愛媛県内9事業所で生産されており、生産量は、年間約2,000~3,000kgである。愛媛県内に20~30%を、スーパーや土産物店へ、愛媛県外に約60~70%を、アンテナショップや土産物店へ出荷している。

原料選択のポイント

 エソ(写真2)や冷凍すり身(スケソウダラ)等を使用している。削りかまぼこの場合は、一般的なかまぼこほど、高鮮度の原料は必要とされない。

写真2 原料魚(エソ)(撮影:平岡芳信)

使用する副原料

 塩、グルタミン酸ナトリウム、卵白、でん粉、着色料(赤色106号、カロチン、コチニール色素)等である。

加工技術

 一般的なかまぼこと同様に、魚肉(冷凍すり身)に塩を加えてすり潰し、扁平に成形して加熱することによりシート状のかまぼこが得られる。これを乾燥した後、削り機等で薄く削って製品としている。ここではエソ魚肉を用いた削りかまぼこの加工について述べる。

製造工程の概略

加工の実際

 原料魚から採肉した落とし身を水晒しして脱水し、塩を加えて擂潰らいかいするまでは一般的なねり製品の製造方法と同じである。

  • 原料魚 エソの生鮮魚やスケソウダラの冷凍すり身を使用する。

  • 洗浄 冷水で、エソの汚れを除去する。

  • 採肉 魚肉採取機で魚肉を採肉する。品温の上昇に気をつける(写真3)

  • 水晒し 低温で行う。魚肉を水晒しして、血液等の水溶性成分を除去する(写真4)

  • 脱水 硬く絞る(写真5)

  • 砕肉 ミートチョッパーで粉砕する(写真6)

写真3 採肉(魚肉採取機)(提供:(株)田中蒲鉾本店)
写真4 水晒し (水晒し機)(提供:(株)田中蒲鉾本店)
写真5 脱水 (脱水機)(提供:(株)田中蒲鉾本店) 
写真6 砕肉(ミートチョッパー)
(提供:(株)田中蒲鉾本店)

  • 擂潰らいかい 粉砕した魚肉または解凍した冷凍すり身に塩を加え、石臼ですり潰す(写真7)。同時に調味料等を添加して、味を調える。魚肉と冷凍すり身を混合することもある。

  • 成形 扁平状(10cm×15cm×1.0cm)に成形する。成形は、ほとんど自動成形機で行われているが(写真8)、昔ながらの木枠を使用して手作業で行っているところもある。

  • 蒸煮 成形肉は、95~97℃の蒸気中で10~12分間蒸煮する写真9

  • 乾燥 天日乾燥あるいは冷風乾燥機写真10で乾燥させる。

写真7 擂潰(擂潰機)
(提供:(株)田中蒲鉾本店)
写真8 成形(成形機)
(提供:(株)田中蒲鉾本店)
写真9 蒸煮(蒸し器)
(提供:(株)田中蒲鉾本店) 
写真10 乾燥(冷風乾燥機)
(提供:(株)田中蒲鉾本店)

  • 冷凍 -30℃で冷凍貯蔵する。

  • 解凍 冷蔵庫で解凍して使用する。

  • 圧延 水を霧状に吹き付けて軟性を与えた後、ローラーで少し延ばす。

  • 削り 薄く削る写真11

  • 包装  削られた製品は、乾燥しすぎると光沢が落ちるので、直ちに包装する。
    含気包装機あるいは窒素ガス置換包装機写真12で包装する。

  • 製品 梱包して出荷する。

写真11 削り (削り機)
(提供:(株)田中蒲鉾本店) 
写真12 包装 (ガス置換包装機)
(提供:(株)田中蒲鉾本店)

加工に用いる機器等

 魚肉採取機、水晒し機、脱水機、ミートチョッパー、擂潰機、成形機、蒸し器、冷風乾燥機、削り機、ガス置換包装機 等

品質管理のポイント

 削りかまぼこの褐変には、酸素と温度が大きく影響を及ぼす。褐変を防止するためには、10℃以下の低温で貯蔵するか、酸素を除去することが必要である。0℃では、酸素の有無にかかわらず3カ月間褐変を防止できるが、10℃以上で貯蔵する場合は、酸素を除去する必要がある。

安全衛生管理のポイント

 微生物が利用できる水分量の指標となる水分活性によって保存条件は異なる。水分活性については第2章塩蔵品の総論のコラムを参照されたい。削りかまぼこの水分活性は0.6~0.8の範囲にあるものがほとんどである。水分活性が、0.61以下の製品であれば常温で長期保存可能であるが、水分活性が0.61以上のものは10℃以下での保存や、保存料の使用、窒素ガス置換包装等が必要である。とくに、気温が高い夏場は、褐変が進行しやすいため、保存条件に十分気をつける必要がある。

特徴的な成分

 かまぼこを乾燥したものであり、水分は約15%である。その他の成分については、一般的なかまぼこに含まれる成分が濃縮されている(表1)

製品の形態

 製品は、10~35gを小袋に入れて含気包装で販売されることが多いが、酸素や水蒸気を透過しにくい包材に入れ、窒素ガス置換包装して販売しているものもある。 

 写真13に、愛媛県内企業(9社)が製造した削りかまぼこ(赤)の写真を、写真14に愛媛県内企業(6社/9社中)が製造した削りかまぼこ(白)を示す。削りかまぼこは、幅が約2㎜~約7㎜、長さが数㎜~約80㎜である。食した時に口の中でゆっくり溶けるもの、少し歯ごたえがあるもの等、特徴ある製品が生産されている。色調についても削りかまぼこ(赤)は、薄いピンク色、ピンク色、薄い赤色等、様々であり、削りかまぼこ(白)も若干色が異なっており、製造企業の特徴となっている。

写真13 各企業の削りかまぼこ(赤)(撮影:平岡芳信)
写真14 各企業の削りかまぼこ(白)(撮影:平岡芳信)

包装および保管方法

   要冷蔵(1℃~10℃)で保存・流通している製品がほとんどである。

調理方法および食べ方

1.ご飯やおむすびのふりかけとして用いる。
2.巻きずしなどの具として用いる。
3.汁物に少しふりかける。
4.酒、ビールのおつまみに用いる。
5.麺類や冷奴、サラダなどに添える。
6.酢の物や和え物にふりかける。

写真15 削りかまぼこの食べ方(提供:平岡芳信)

 (著者:元愛媛県産業技術研究所 平岡 芳信)
(取材協力:株式会社 田中蒲鉾本店)