えごねりとは
紅藻類イギス科の海藻であるエゴノリを乾燥し、熱水により寒天様物質を溶出し固めた海藻加工品である。製品は褐色がかった緑色で、独特な香りとしなやかな弾力が特徴であり、テングサからできる「ところてん」とは異なる風味を持つ。福岡を中心として作られている類似の製品「おきうと」も主原料はエゴノリである。
えごねりが食べられ始めた年代は定かでないが、江戸時代以前からともいわれる。えごねりは、主に北日本の日本海側で生産されているが、新潟県佐渡島では「いごねり」と呼び親しまれており、製品の形状の違いから、角形をした“角えご”と、薄く延ばしたものを巻いた“巻きえご”がある。
主な生産地
新潟県ほか、主に北日本の日本海側(石川県、山形県、秋田県、青森県など)や長野県で生産されている。
生産の動向・消費の動向
近年は、丸干しに適した150gサイズで脂肪が適当に乗ったアジの入手が困難な状況であること、消費者ニーズの変化から生産量は減少しており、鹿児島県内では製造されなくなった。
原料選択のポイント
原藻(エゴノリ)は一般的に太いものに寒天質が多く含まれるため、良質であるとされている。原藻の良し悪しは採取された時期や場所により変動するため、通常は幾つかの地域で採取された原藻をブレンドして用いる。また、品質の見極めには経験が必要である。
加工技術
エゴノリに含まれる寒天様物質を加熱により水中に十分溶解する。溶解した寒天様物質の温度を下げゲル化させることで、適度な弾力が得られる。
製造工程の概略
・ 巻きえごの工程

加工の実際
‘‘巻きえご”を中心に述べる。
- 洗浄 乾燥原料を水洗いし、余計なごみや付着物を取り除く。(写真1)
- 煮熟 原料を水からとろ火で沸騰するまで加熱する。溶解を促進するため、場合により食酢などを添加する。“巻きえご”は薄く巻いてあることを特徴とするため、“角えご”よりも折れないしなやかさが求められる。そのため加熱ではゆっくりと昇温させ、十分な攪拌を行うことで寒天様物質の十分な溶解を促進する。
- 成型 “巻きえご’’は、熱い加熱原料を充填機により縦80cm、横15cm、厚さ0.5cm程度の型に流し込み、コテを用いて表面を平らにする。
“角えご”は充填機により耐熱性の角形容器に直接流し込み、上部にフィルムをはり製品となる。
- 成形 “巻きえご”では、放冷後の薄いえごねりを巻き上げ、ロール状にする。
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加工に用いる機器等
煮熟装置(写真2)
巻えご用型(写真3):昔は木製の型に漆を塗ったものを用いていたが、現在は、プラスチック製を用いている。
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(撮影:新潟県水産海洋研究所)
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(撮影:新潟県水産海洋研究所)
品質管理のポイント
寒天質の多い原藻の選択が重要である。巻きえごではとくにしなやかさが求められるため、加熱ではゆっくりと昇温させ、十分な攪拌を行うことで寒天様物質を十分に溶解することがポイントである。
製品は、5℃以下の冷蔵庫で保管する。
製品の形態
“巻きえご”は3本程度(約200g)をポリプロピレン製のトレーに載せフィルム包装する。
“角えご”はポリプロピレン製の角形容器に約250g入れフィルム包装する。
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(上左:巻きえご2本入り、上右:角えご、下:巻きえご3本入り)
包装および保管方法
冷蔵保管し、1~2週間を目途に喫食する。
調理方法および食べ方
“巻きえご”は細く切ってねぎや鰹節を散らし、醤油や酢醤油又はめんつゆ等で食べる(写真5)。
”角えご”は刺身のように切り、酢醤油や酢味噌で食べる(写真6)。
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(撮影:新潟県水産海洋研究所)
写真⑥とイメージ-1024x810.jpg)
(撮影:新潟県水産海洋研究所)
同類製品例
えごねりの製法が伝わり、福岡を中心として作られている「おきうと」になったとされる。おきうとも主原料はエゴノリであるが、原藻を晒す点、それにイギスなどを加える点がえごねりと異なり、やや柔らかい食感を持つ。
(著者:丸中商店 本間 清輝、新潟県水産海洋研究所 渡辺 寛子)
