蛍烏賊醤油とは
蛍烏賊醤油とは、富山湾で漁獲されるホタルイカ(写真1)を原料とし、ホタルイカの肝の風味やうま味が感じられる魚醬である。福井県立大学と富山県農林水産総合技術センター食品研究所の技術協力により開発され、市販された製品である。新聞やテレビ等でも取り上げられ、2025年には全国商工会連合会主催「バイヤーズルーム審査員特別賞」を受賞している。現在、国内外の土産物店等で販売されている。
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主な生産地
富山県、兵庫県
生産と消費の動向
2024年10月に販売を開始し、2025年10月までの1年間の販売量は約1,000本(120ml瓶入り)である。
原料選択のポイント
主に富山県に水揚げされるホタルイカを原料とする。
使用する副原料
並塩
加工技術
魚醤油は魚を塩漬けにして発酵・熟成させた伝統的な液体調味料である。一般的な発酵・熟成方法は、原料を塩漬けした後に発酵・熟成工程(1~2年)に入り、主として内臓に含まれるプロテアーゼの作用を利用し、タンパク質を分解させることで遊離アミノ酸を増加させ、十分な熟成期間を経た後、魚醤油として完成する。近年、タンパク質分解酵素製剤や麹を添加して熟成期間をある程度短縮する方法が開発されているが、微生物汚染を避けるために熟成過程における塩の添加は必須である。
一方、本製品は、原料のホタルイカを高温条件下(55℃)に静置して自己消化酵素(プロテアーゼ)の活性を高めることにより、熟成期間を大幅に短縮し、数日間で完成させる製法で製造されている。高温(55℃)下では、微生物汚染が回避できるため、原料魚を塩漬けにする必要がなく、工程を効率化できる。また、低塩分(無添加)下では、プロテアーゼの活性が高塩分下よりさらに高くなる利点もある。高温・低塩分条件下において魚醬油を製造した後、常温で長期保存させるために塩を添加して製品とする。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 原料は、富山湾産の新鮮なホタルイカであり、入手した原料は作業開始まで凍結保管する。作業開始時に凍結保存した原料を解凍する。
- 熟成 55℃で3日間熟成させる。
- 不可食部除去 軟骨や目玉を除去する。
- 滅菌 120℃で20分滅菌する。
- 遠心分離 遠心分離機を用いて油分、固形分を除去する。除去した固形分は、ホタルイカバーニャカウダの原料として有効利用する。
- 塩添加 油分、固形分を除去し残った液体に並塩を添加する(終濃度15%)
- 濾過 圧搾式濾過器を用いて濾過する。
- 容器詰め 瓶に詰める。
- 製品 金属探知機にかける。
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加工に用いる機器等
発酵槽、滅菌装置、遠心分離機、圧搾式濾過器 等
品質管理のポイント
異物混入防止のために金属検知作業が必要である。
特徴的な成分
微生物による発酵工程がないため、アレルギー様食中毒の原因物質であるヒスタミンの蓄積量が少ない。蛍烏賊醤油の特徴としては、ホタルイカの肝の風味やうま味が感じられる。

製品の形態・包装及び保管方法
業務用以外で市販する場合は、120ml入り瓶に入れ販売する。
調理方法および食べ方
各種料理(写真3,4)、焼き肉、焼き鳥等のタレ、から揚げの下味、パスタソース等の隠し味として用いられる。
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(提供:㈲片口屋)
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(提供:㈲片口屋)
同類製品例
ブリの内臓を原料に用い、本製品と同様の加工技術により製造した製品として、ブリの魚醤(写真5)がある。必要とされる熟成時間や温度などは、本製品とほぼ同様であるが、原料の前処理や濾過方法等に違いがある。
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参考文献
・宇田川 隆.速醸魚醤の開発とその利用. 日本醸造協会誌 2012; 107: 477-484.
・Jung-Nin Park, Watanabe T, Endoh K, Watanabe K, Abe H.Taste-active components in a Vietnamese fish sauce. Fish. Sci. 2002; 68: 913-920.
(著者:富山県農林水産総合技術センター食品研究所 原田 恭行)
