いかしゅうまいとは
いかしゅうまいは佐賀県唐津市呼子町(以下、「呼子町」という)を中心とした唐津市の代表的な地域特産品である。日本三大朝市の1つに数えられる呼子朝市や、地元で水揚げされる活きイカを使った「イカの活き造り」を目当てに、多くの観光客が呼子町を訪れている。「イカの活き造り」が有名になり始めた1985年(昭和60年)当時、呼子町の「海中レストラン萬坊」の料理長であった古川龍美氏が、盛漁期のイカの新たなメニューをと考案したのがいかしゅうまいの始まりである。
いかしゅうまいは「イカの活き造り」を提供する料理店においてコース料理の一品として提供されるとともに、土産物用として製造販売されている。近年では、売り上げが伸びたことから、標準的ないかしゅうまいだけでなく、イカ墨入り、辛子明太子入りなど、バリエーションに富んだ製品が生まれている。
主な生産地
佐賀県唐津市呼子町
原料選択のポイント
いかしゅうまいの原料のイカは、ケンサキイカが主に使われ、他にはヤリイカ、アオリイカ等が使われている。一般に冷凍いかを使用することが多いが、おいしさを引き出すには鮮度のよい原料を使うことが大切で、生鮮イカしか使用しない業者もいる。
近年では、佐賀県玄海沿岸海域においてイカ類の漁獲量が減少してきたことに伴い、国内他産地のイカあるいは輸入イカの使用も見られる。
使用する副原料
副原料のうち、魚肉すり身には一般的にスケトウダラ冷凍すり身(輸入品)が使用されているが、地元で漁獲されたエソ、タチウオ、イトヨリダイ等の魚肉も使われている。なお、イカと魚肉の混合割合は、各社の企業秘密的な要素が強い。
加工技術
イカの外套膜部分(以下、「上身」という)を魚肉と混ぜ合わせたミンチを作り、各社の独自の材料を合わせて練り上げ、形状を整え、短冊状に切ったしゅうまいの皮をまぶし、蒸し上げた加工品である。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 イカから上身を切り出し、皮を剥ぎ取り洗浄する。なお、通常のいかしゅうまいでは出来上がりの色合いや食感の関係で上身を主に利用している。
- ミンチ 洗浄後の上身をミートチョッパ―(もしくはボールカッター)でミンチにする。
- 練り上げ 上身のミンチに、副原料の魚肉すり身、みじん切りした玉ねぎ、鶏卵、植物油等の材料を加え、擂潰機で練り上げる。
- 寝かし込み 練り上げた「生地」を冷蔵庫で熟成させる。なお、「生地」の柔らかさを保つため、この工程を省く業者もいる。
- 成形 「生地」を手作業もしくは成形機で所定の大きさに丸めていくが、独自の「生地」の柔らかさや食感を保つため、「繁忙期であっても少量ずつの練り上げ、手作業による丁寧な成形を行う」、「ふわふわとした食感を生み出すため、手でひとつずつ丁寧に丸めて最後に短冊状のしゅうまいの皮を表面全体にまぶす」等、手作業による成形作業にこだわりを持つ業者が多い(写真1,2)。
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- 蒸し上げ 成形したものを蒸し器(スチーマー)で、10~15分間蒸し上げる(写真3,4)。
(※料理店で直接提供する場合の工程はここまでとなる。)
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- 急速冷却 蒸し上がったいかしゅうまいそのままの食感、風味等を封じ込めるため、急速凍結機もしくは急速冷却機で急速冷却させる。
- パック詰め 急速冷却したいかしゅうまいを専用トレ―に詰める。
- 目視検査 専用トレーに詰めたいかしゅうまいについて、目視により異物の有無、成型不良の有無を確認し、異常が確認されたものについては除去する。
- パッケージング 目視検査で合格したいかしゅうまい入りトレーに蓋、真空パックを施す。なお、箱詰めしない簡易包装の製品はこの段階で、袋詰め、ラベリング処理を施す。
- 異物混入確認 パッケージングされたものを金属探知機(業者によってはX 線検査装置も)に通し、内部の金属片、その他異物の有無を確認し、異常が確認されたものについては除去する。
- 箱詰め 金属探知機等による異物混入確認に合格したものを箱詰めする。
- 製品 箱詰めしたものを製品として出荷する。なお、出荷までの期日がある場合は専用冷凍庫(-18℃以下)で保管を行う。
加工に用いる機器等
ミートチョッパー(もしくはボールカッター)、擂潰機、冷蔵庫、成形機、蒸し器(スチーマー)、急速凍結(冷凍)機(もしくは急速冷却機)、金属探知機、X 線検査装置、冷凍庫、真空包装機等
品質管理のポイント
聞き取りを実施した業者すべてで原材料の品質確認、製造時及び保管時の温度管理、異物混入チェックを徹底している。また、出来上がった製品について、随時再加熱時の皮の色・匂いをチェックしている業者や、製造時毎に製品にロット番号を設定して製品のトレーサビリティを行う業者もいる。
健康機能性成分
原料であるイカの筋肉は、低カロリー、低脂肪、高たんぱくで、主な有用成分として、タウリン、DHA、EPAなどが含まれている。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)
製品の形態・包装及び保管方法
土産物として販売されているいかしゅうまいの大半が、専用トレーに8個入れたものを真空包装され紙製箱に箱詰めされているが、4個もしくは6個入りのものはポリプロピレン製の袋で包装されている(写真5)。また、製造から消費者が食するまでの期間、-18℃以下での冷凍保存がほとんどである。
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調理方法および食べ方
約5~10分間蒸し器で蒸して、好みでポン酢、からし等で食する(写真6)。また、油で揚げたり、茶碗蒸し、吸い物、中華風のあんかけなどのアレンジをしてもよい。簡便に電子レンジで再加熱して食することが可能なものもある。
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(著者:佐賀県玄海水産振興センター 梅田 智樹)
(協力:有限会社 木屋、玄海いか舟処海舟、有限会社 宮本水産(いか道楽)、株式会社 萬坊(呼子萬坊))
