目次
第12章 藻類加工品 第2節 煮干し品

すきこんぶ

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主原料

主生産地

保存方法

常温保存

キーワード

色揚げ/アルギン酸/フコイダン

備考

Suki-kombu/伝統的加工品

すきこんぶとは

 青森県八戸市から岩手県三陸沿岸で古くから生産されてきた伝統的なコンブ(マコンブの変種であるホソメコンブ)加工品である。乾物であることから、長期保存が可能で、青森県南地方や岩手県三陸地方ではすきこんぶを煮付けた郷土料理が定着している。

主な生産地

 かつては青森県八戸市から岩手県の三陸沿岸にかけて生産されていたが、現在では青森県内の生産者がいなくなり岩手県のみで生産されている。

原料選択のポイント

 すきこんぶには、柔らかい1年もののコンブが適している。すきこんぶの原料となる天然または養殖のマコンブ(ホソメコンブ、以下「マコンブ」と表記)は、およそ5月中旬から7月中旬にかけて採取される。天然のマコンブを用いた場合、養殖マコンブに比べて製品の食感が硬くなる。

使用する副原料

 コンブ以外には、一切副次的な原料や食品添加物を使用しておらず、無添加食品である。

加工技術

 裁断したコンブの酵素失活、付着菌数の減少、色上げのために煮釜でボイル処理すること、また一定以下の水分活性にして腐敗防止をするため乾燥処理を施すことが加工上の要点である。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 八戸地域では、すきこんぶの原料として、主に養殖のマコンブが利用されている。

  • 裁断 以前はマコンブを巻いて細かく切ったが、最近は裁断機が使用されている写真1。幅は0.3~0.7cm程度に細切りする。

  • 煮熟 煮釜に入れ、ボイルする。数分でコンブが全部緑色になったら釜より上げる。写真2

写真1 裁断に使用する裁断機(提供:青森食総研) 
写真2 煮熟に使用する釜(提供:青森食総研)

  • 洗浄 以前はザルなどに取り上げて流水洗浄していたが、最近では回転型洗浄機が使用されている(写真3)。水洗いが終ったものは十分水切りを行う。

  • 計量・整形 裁断後・煮熟したコンブを一定量底が網になっている枠に載せ、紙すきのように浅い水中で隙間のないよう平らにならす。ヨシ等の上に枠を置いて水を切り、枠内でコンブを均一にならす。(写真4)

写真3 洗浄に使用する機器(提供:青森食総研)
写真4 すきこんぶの製造風景(整形)(提供:青森食総研)

  • 乾燥 天日または乾燥室で乾燥するが、青森県太平洋沿岸や岩手県三陸沿岸は、夏季はヤマセ(偏東風)の影響で晴天の日が少ないため、天日干しはあまり向いていない。
    乾燥室で乾燥する場合は、整形したコンブを乾燥室にある台車に入れ、60℃の通風で8~10時間乾燥させる。乾燥中、上下左右の入れ替え作業を行い、均一に乾燥させる。

写真5 すきこんぶの製品(提供:青森食総研) 

加工に用いる機器等

 裁断機写真1、釜写真2、回転型洗浄機写真3

品質管理のポイント

 すきこんぶの原料となるコンブは、水揚げ後直ちに加工することが大切である。処理時間が長ければ、ヌメリが生じ製品の品質が劣化する。また、乾物のため吸湿によるカビの発生、吸湿に伴う変色に注意する必要がある。

安全衛生管理のポイント

 乾燥室の衛生環境と製品への異物混入には、十分留意する必要がある。

特徴的な成分

 コンブにはミネラルの中でもヨウ素、マグネシウム、鉄などの含有量が高い。また、多糖類の一種アルギン酸が多量に含まれているのが特徴である。コンブの旨味として知られているグルタミン酸は、全遊離アミノ酸の70%近くを占めている。

健康機能性成分

 コンブには粘性多糖類の一種フコイダンが含まれている。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態

 乾燥した製品は、横20~30cm、縦30~45cm程度のシート状である。

包装および保管方法

 10枚を1束として紙テープで束ね、20束をポリエチレン製の袋に入れて出荷する。または3枚を1束として紙テープで出荷されることもある。

調理方法および食べ方

 水ですきこんぶを戻し、身欠きにしんを小さく切って入れ、少し煮てから醤油で味をつけるのが一般的な食べ方である。ニンジンなどの野菜や油揚げなどを混ぜて煮付けとしたり、佃煮とする食べ方もある。

(著者:(旧)青森県ふるさと食品研究センター 成田 清一、 青森県庁 白川 慎一)