目次
第3章 調味加工品 第3節 茹で加工品

蒸しだこ

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主生産地

保存方法

冷蔵保存

キーワード

蒸す/蒸しだこ/煮だこ

備考

Mushi-dako/伝統的加工品

蒸しだことは

 蒸しだこは、生のタコを蒸して加熱することによりタンパク質の変性で脱水させた、特徴的な歯ごたえを有する製品である写真1,2。原料は、主にモロッコやモーリタニア等の西アフリカ産を中心に輸入品が多く用いられている。輸入原料以外にも日本沿海で獲れるマダコ、ミズダコ、ヤナギダコも蒸しだこや煮だこ、酢だこ等として加工されている。
 かつては煮だこが多く製造されていたが、機械化が進んだことや製品の外観の良さ、旨味の流出を抑制できること等から、現在では蒸しだこが主流となっている。
(本文末尾のコラム「アフリカダコを煮だこにした話」もご参照ください。)

写真1 蒸しだこの製品① (提供:株式会社あ印)
写真2 蒸しだこの製品② (提供:株式会社あ印)

主な生産地

 茨城県 ほか

原料選択のポイント

 原料であるマダコは、日本沿海で漁獲されるもののほか、西アフリカで底曳船やツボ漁により漁獲される輸入品が多い。輸入冷凍原料のタコはそのまま加熱しても腕の丸まりが悪いため、「又切り(目と目の間の下部に切り込みを入れる処理)(写真1,3)」をし、タコ樽(写真4)を用いて塩揉みする製法で作っている。

写真3 蒸しだこの製造風景1(又切り工程)
 (提供:株式会社あ印)
写真4 回転式揉み樽(提供:株式会社あ印)

加工技術

 蒸しだこは、生のタコを蒸すことで保存性を上げるとともに、特徴的な歯ごたえを得ている。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 主に西アフリカ産の冷凍品、そのほか国産のタコ類を使用している(写真5)

写真5 解凍後のタコ (提供:株式会社あ印)

  • 又切り 出来上がりの形を良くするため、目と目の間の下部に切り込みを入れる(写真1,3)

  • 塩揉み ステンレス製の回転式揉み樽(写真4)を用いて、原料に付着しているぬめりや砂等を除去する。また、足を丸め形を作り、食べた時に良い食感と塩味になるようにする。(写真6)

写真6 塩揉み工程終了(提供:株式会社あ印)

  • 加熱 90~100℃で蒸しあげる写真7,8

写真7 蒸し機工程開始(提供:株式会社あ印)
写真8 蒸し工程終了(提供:株式会社あ印)

  • 冷却 コンベアで冷水の中へ入れ、5℃以下に冷やす写真9

写真9 冷却工程(提供:株式会社あ印)

  • 検査 金属探知機で製品に混入した金属異物を検査する。

  • 計量 コンピューターで重量別に自動選別する。

  • 箱詰め 発泡スチロールに氷詰めする写真10,11

写真10 箱詰め工程(提供:株式会社あ印) 
写真11 箱詰めされた製品 (提供:株式会社あ印)

加工に用いる機器等

 回転式揉み樽写真4、蒸し機写真12、コンベア、冷却槽、金属検出機、自動選別機 等

写真12 蒸し機(提供:株式会社あ印)

品質管理のポイント

 品質の低下を防ぐため、冷蔵で保管・流通する必要がある。

特徴的な成分

 蒸しだこの栄養成分を表1に示す。

製品の形態

 発泡スチロールに氷詰めする。

包装および保管方法  

 購入後は、冷蔵(10℃以下)で保管する必要がある。

調理方法および食べ方

 そのまま刺身(写真13,14)で食べることが多いが、そのほかマリネ(写真15)、たこ飯、煮物、おでん、唐揚げ、たこ焼き、アヒージョ(写真16)、酢だこ(写真17)など多様な調理方法がある。

写真13 刺身①(提供:株式会社あ印)
写真14 刺身②(提供:株式会社あ印)
写真15 マリネ(提供:株式会社あ印)
写真16 アヒージョ(提供:株式会社あ印)
写真17 酢だこ(提供:株式会社あ印)

コラム

「アフリカダコを煮だこにした話」

 茨城県において、現在は蒸しだこが主流であるが、以前は煮だこが製造されていた。
 1960年頃、近海ダコの漁獲量減少に伴い、遠洋トロール船漁獲物であるアフリカダコが日本に入って来るようになったが、当時アフリカダコは、従来の加工方法では足が丸まらず、煮だこ加工には適さないと考えられていた。
 しかし、1963年、茨城県那珂湊地区の煮だこ業者がアフリカダコを用いて煮だこ加工化を試験的に進めているうちに偶然的に良好な「又切り」による加工技術を見出した。その後アフリカダコの入荷が本格化し、茨城県那珂湊地区は全国屈指の煮だこ加工の生産地となった。

(著者:茨城県水産試験場 鈴木 美紀、矢口 登希子)
(執筆協力:株式会社 あ印)