たたみいわしとは
たたみいわしとは、イワシの稚魚であるシラスを生のまま板海苔状に干して、天日などにより乾燥させた加工品である。かつてはイグサの畳表を使用して天日干ししたことから、その名前がたたみいわしと呼ばれるようになったと言われている。江戸時代末期から製造が始められたと言われるが、明冶時代以降にシラスが大量に漁獲されるようになってから、保存性の高いしらす干しとともに、たたみいわしの製造が盛んになった。元来、全国各地で自家消費向けに製造されていたようであるが、神奈川県の湘南から三浦半島付近で現在のように量産する加工専業者が現れた。
主な生産地
静岡市用宗地区および神奈川県の湘南から三浦半島付近での生産量が多い。これらは主に関東地方での需要が高い。
原料選択のポイント
原料は特に厳選される。鮮度の良いカタクチイワシやマイワシのシラス(稚魚)がたたみわしの原料として用いられる。原料の鮮度が悪いと乾燥後のシラスの立体感に欠けて薄い紙状となり、商品価値が低下する。また、大きさはl~2cm程度の中細の脂肪の少ないものが用いられる。
加工技術
たたみいわしは生シラスをシート状に整形して乾燥させた加工品である。釜揚げしらすなど加熱したシラスでは乾燥してもシート状に形成されない。機械乾燥を行う場合では乾燥温度が高いと黄色度が強く破損が発生しやすく、また乾燥が不十分であると保存性が悪くなりどちらも品質の低下を招く。製品の水分は11~13%が適切である。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 鮮度の良いカタクチイワシやマイワシのシラス(稚魚)を用いる。鮮度・サイズを選別する。
- 洗浄 水槽の冷水中で洗浄し、夾雑物を除去する。
- 型枠の中で整形 真水で水洗いし夾雑物を除いた原料を竹の簀またはビニール製の網を張った型枠(20×25×2cm)に並べ、水中で型枠全体に均ーに広げる。この広げ方には熟練を要する。
- 水切り 型枠を水中から静かに取り出して5~6分間水切りを行う。
- すだれに移す 水切りを終えた型枠は、すだれ(45×80cm)に伏せて原料を移す。
- 乾燥 すだれをせいろに並べて天日乾燥または機械乾燥を行う。晴天の日は4~5時間で乾燥を終了し、1枚ずつはがして製品とする。最近はどの業者も乾燥機を導入しており、この場合は 50~60℃で3~5時間乾燥する。
- 切断 商品に合わせ、半切(中判)、1/4切(小判)する。
加工に用いる機器等
竹の簀またはビニール製の網を張った型枠、乾燥機など
製品の形態・包装
たたみいわしの大きさの規格は3種類ある。元来の型枠の大きさ(20×25cm)のサイズを大判、大判を半分に切断した中判 (20×12cm)、中判を半分に切断した小判 (10×12cm)が一般的であり、これらは大判を製造後ハサミなどで切断して小型化している。なかには、小判サイズの型枠で直接小判を製造する場合もある。
以前は大判が主流であったが、最近は量販店での取り扱い易さから小判が主流となっている。小判では、3~5枚を台紙とともに、脂の酸化や湿気、香りの低下を防ぐためにガスバリア性の高い包材の袋に入れたものが流通していることが多い。一方、贈答用・お土産用などでは現在でも紙箱に納められた大判が一般的である。
保管方法
たたみいわしは乾燥が十分に行われているため基本的には常温保存食品であるが、冷暗所での保存が望ましく、家庭用の冷蔵庫等でも長期保存が可能である。
調理方法および食べ方
軽く火で焙る、またはトースターで焼き、小さく刻んで醤油を少しつけて、惣菜、つまみとして利用する。また、お湯を注いで醤油で味を調えてお吸い物にしたり、バターで炒めても良い。たたみいわし自体は調味が施されていないので、惣菜として工夫して適切に調味すれば利用範囲は広い。
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(著者:静岡県水産・海洋技術研究所 山内 悟)
