いかてんぷらとは
ここでいういかてんぷらとは、調理冷凍食品の1つで、大きく分類すると2つの形態がある。1つには、業務用としての形態であるが、イカに衣を付け表面を軽く揚げた後、衣に水分が移行しないよう急速凍結したもので、使用時に完全油ちょうするものである。もう1つは、イカに衣を付け、完全に油ちょうして凍結後に個別包装したもので、消費者が家庭用電子レンジ等により冷凍のまま加熱して、ただちに食べることができる形態である。
主な生産地
青森県や宮城県など各地で製造されている。
生産の動向・消費の動向
冷凍食品の統計量は、日本冷凍食品協会により集計されているが、いかてんぷらの項目での生産量は集計されておらず把握できない現状である。プリフライ形態でのてんぷらは、学校、病院等のいわゆる産業給食用として、また弁当産業用として利用されているが、盛期に比べると生産量は減少傾向にある。電子レンジ加温形態は、主に大手水産加工会社で生産されている。
原料選択のポイント
原料となるイカ(アカイカ、アメリカオオアカイカなど)の鮮度、サイズ等が重要なポイントとなる。
加工技術
揚げ物の生命は、油である。てんぷら油には、主に大豆油となたね油が使用されている。てんぷらの衣は、中身の材料を高温の油から守り、内部から出る水蒸気の壁となり、材料がゆっくりと加熱されることで材料の水分が保持され食感がふっくらすることに寄与している。また、てんぷらは衣がからりと揚がることが大切で、衣は材料に付かず離れずというのが理想である。このため、衣には必要最低限のグルテンを含んだ薄力粉が適している。薄力粉には冷水を加え、あまり撹拌せず、また時間をおかずに使用することが大切である。また、油ちょう後はただちに-40℃以下で急速凍結する。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 冷凍アカイカ、冷凍アメリカオオアカイカ等が利用され、流水解凍される。
- 切り身調整 剥皮し流水洗浄後、加熱時の変形をなるべく防ぐために鹿の子状に切れ目を入れ、一定のサイズにカットし、規格外を選別除去し、再度流水洗浄し水切りする。
- 打ち粉付け デンプン、小麦粉、乾燥卵白等を混合したものをまんべんなく切り身表面に付着させる。
- 衣付け 小麦粉、デンプン、鶏卵、乳化剤、膨張剤、食塩の混合物重量1に対して水を1.3~1.5倍重量加えて調製したバッター液にイカ切り身を浸漬し、衣を付ける。
- 油ちょう フライヤー(写真1)を用いて油ちょうする。プリフライ形態での流通品の油ちょうには、一般にパーム油が用いられる。電子レンジ加温形態品の完全油ちょうには、なたね油、大豆油、コーン油が用いられる。油ちょう温度は180℃である。
- 急速凍結 トンネルフリーザー(写真2)を用い、-40℃で急速凍結する。
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加工に用いる機器等
スキナー、バッタリングマシン、フライヤー、トンネルフリーザー
品質管理のポイント
むらのないバッタリング、油ちょう時の揚げ油の温度管理、油ちょう品の急速凍結などが品質の高い製品を製造する上での重要なポイントである。なお、製品の保管は-18℃以下で管理する必要がある。
安全衛生管理のポイント
完全油ちょう時のてんぷらの中心温度は、70℃以上を保持すること、揚げ油の劣化防止と交換には、十分に注意を払うことが重要である。また、異物混入防止にも注意を払う必要がある。
健康機能性成分
イカにはタウリンが多く含まれている。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)
製品の形態
電子レンジ加熱形態の製品(写真3)は、ポリプロピレン製のトレーに一定の個数を入れ、空気中の酸素侵入防止のため、アルミ蒸着したポリプロピレン外装材を用い包装されている。
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包装および保管方法
大手メーカーでは個別包装したものが製造されている。製品は-18℃以下で冷凍保管・流通される。
調理方法および食べ方
電子レンジ等で温めて、天つゆなどで食べる。
(著者:元青森県ふるさと食品研究センター 成田 清一)
