えびせんべいとは
えびせんべいとは、エビのすり身とでんぷんを混ぜ、型にはめて焼いて作る伝統的な魚介せんべいの一種である。
えびせんべいは、当日水揚げされた新鮮なエビをふんだんに使って焼き上げる手焼きと、機械自動焼きの製品がある。手焼きはすべての工程で長年の勘と熟練した技術が要求される。手焼き製品は特にエビの香りを楽しむことができ、老舗独特の風味がある。機械自動焼きにおいては、むらのない均ーな製品が量産でき、安価で良質なえびせんべいを安定供給できる。エビのみを用いたシンプルなえびせんべいやエビ以外の副原料も加えたえびせんべいなど、現在、100種類にも及ぶえびせんべいが製造されている(写真1)。焼いた後に油で揚げたえびせんべいは人気がある。大手メーカーの二度焼き(堅焼き)えびせんべいは、贈答品として有名である。
(本文末尾のコラム「えびせんべいの由来」もご参照ください。)
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主な生産地
愛知県が全国生産量のほとんどを占める。
生産と消費の動向
愛知県の西三河地方と知多地方が主な生産地域であり、生産業者については、三河一色えびせんべい工業組合に属する業者が2007年の45社から2024年現在では33社まで減少するなど減少傾向である。
一方、出荷額は主として知多地方にある大手3社が200億円を超え、三河一色えびせんべい工業組合に属する業者で80億円程度と推測されている。そのため、大手3社以外の知多地方の組合に属する業者及び愛知県下の組合非参加の業者の出荷額と、大手3社及び三河一色えびせんべい工業組合の出荷額を合わせると少なくとも総額300億円を越えると推定され、近年は増加傾向と思われる。
原料選択のポイント
三河湾や伊勢湾で獲れる良質なアカシャエビを使用する。アカシャエビとの呼び名は地方名称で、サルエビ、アカエビ、トラエビなどの5~10cm程度の⼩型エビ類複数種がまとめて流通されている。手焼き製品などの高級品はエビの割合が高い。でん紛は北海道産の良質な馬鈴薯でん紛(以下、でんぷんと略す。)を用いる。
使用する副原料
エビ、タコ、海苔、青海苔、アサリ、アーモンドなどが飾りとして使用される。また、海苔、胡麻、ワカメ、牛蒡、青紫蘇、梅、山葵、烏賊墨、唐辛子、玄米などが練りこみ原料として使用される。
加工技術
えびせんべいはでんぷんの膨化力を利用した菓子で、でんぷんの品質、生地の水分などが製品の品質を左右する。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 当日水揚げされたエビ、もしくは冷凍エビを使用する。手焼き製品においては、むき身の生エビを使用する。高級品は丸エビのまま使用する。
- 練り上げ・生地調製 エビのすり身とでんぷん、水の配合、味付けなどは製品によりまちまちであるが、一例を挙げると、エビ10%、でんぷん60%、水約30%である。高級品はエビの割合が高い。練り機で時間をかけずに攪拌する。手焼き製品においてはこの練りがえびせんべいの風味を決めるため、熟練の技術が必要である(写真2)。
- 成形 一定量の生地を丸い型に詰めて成形し、電熱の焼き板に載せる。
- 焼成 電熱による焼成機を用いて焼成する。製品により温度が異なるが150~180℃で、短いもので20~30秒間、長くて2~3分間で焼き上げる(写真3,4)。手焼きにおいては、ちょうど良い厚みになるように鉄板を絞めて焼くため、熟練の技術が必要となる(写真5)。
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(提供:(有)丸源えびせんべい)
写真③-1024x745.jpg)
(提供:(有)丸源えびせんべい)
写真④-1024x746.jpg)
(提供:(有)丸源えびせんべい)
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(提供:(有)丸源えびせんべい)
- バリ取り 円筒状のふるいで割れた小片、バリ等を落とす(写真6)。
- 調味 塩やシーズニング、調味料で味付けする(写真7)。
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- 水分調整 常温に置き、水分の調整を行う。
- 油揚げ 一定量をフライヤーに投入し、180℃で50~60秒間揚げる。
- 油切り 遠心分離型の振動式脱油機で油切りをする。
- 乾燥 80~90℃の乾燥機で50~60分間乾燥させ、調味料のべたつきをなくす。
- 選別 割れたものを選別する。
- 包装 商品を自動で袋に詰めて、含気包装する(写真8)。あるいは、商品をトレーに乗せ袋に詰めて含気包装する。
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- 検査 金属探知機等で検査する。
- 製品 梱包して出荷する。
えびせんべいは、機械自動焼きの場合、製品が出来上がるまでの時間は約2~3時間であるが、手焼きにおいては約5~6時間を要する。
加工に用いる機器等
練り機、焼成機、手焼き焼成機、乾燥器、フライヤー、振動式脱油機、包装機 等
品質管理のポイント
揚げ油の酸化防止が重要であるため、揚げ油の品質管理を行う。またアルミ蒸着の包装利用や窒素ガス充填を行う。
製品の形態・包装および保管方法
一般的にはそのまま袋詰めされるが、割れ防止と見栄えを良くするためトレーを入れる場合がある。品質保持のため、アルミ蒸着の包装材の使用や窒素ガス充填包装等を行う場合もある。
食べ方
お茶請けとしてそのまま食す。
コラム
「えびせんべいの由来」
1890年頃(明治の中頃)、三河の幡豆地方(現在の西尾市南東部)は豊かな三河湾で獲れる魚で大いに栄えていた。「アカシャエビ」は古くから三河湾で大量に漁獲されていたエビであったが、当時食用としての需要は振るわず、一部は乾燥加工され、「カジエビ」という名で中国に輸出されていた。その中国ではこの乾燥エビを煎餅に入れて加工し、再び日本へ輸出していた。その煎餅は庶民の手の届かないとても高価なものであった。この地方で蒲鉾等の練り物の製造を生業としていた通称「かまぼこ文吉」が、このエビを地元で加工できないかと工夫し考えたのが、えびせんべいの由来とされている。また、ほぼ同時期に坂角次郎が現在の東海市で「えびはんぺん」を焼き上げて作った「生せんべい」を生み出した。以後昭和に入り機械化が進み、坂角総本舗の「ゆかり」として名古屋土産の定番の一つになった。
さらに、伊勢富田の地から来往した通称「ひげ貞」により、蒸し器で一度に多量のエビを処理することが考案され、これまで高価であった中国製品に対し、安価でかつ多量にえびせんべいを生産できるようになり、この地方がえびせんべいの産地となった。以後、米せんべいとの違いを説明しながら県内外へと販路を拡大し、現在、愛知県はえびせんべいの生産量全国一となっている。
(著者:あいち産業科学技術総合センター:伊藤 雅子・丹羽 昭夫)
