目次
第3章 調味加工品 第1節 佃煮

にじます甘露煮

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主原料

保存方法

常温保存

キーワード

淡水魚/養殖/甘露煮

備考

Nijimasu-kanroni/伝統的加工品

にじます甘露煮とは

 にじます甘露煮とは、ニジマスを甘辛く煮込んだ食品である。ニジマスは、1877年に最初に移殖されて以来各地で養殖され、長野県、静岡県、山梨県などが主な養殖県となっている。愛知県の養殖量はこの主要養殖県に及ばないが、奥三河地方などの山間部に養殖場があり、養殖業者が組合(愛知県淡水養殖漁業協同組合)を作り、養殖から加工品の製造、販売まで行っている。この愛知県淡水養殖漁業協同組合では、にじます甘露煮を年間約 40t製造し、全国に販売している。本稿では同組合で生産しているにじます甘露煮について述べる。

主な生産地

 長野県、静岡県、山梨県、愛知県等

生産の動向

 愛知県淡水養殖漁業協同組合で、かつてにじます甘露煮を含めた甘露煮を年間約150t以上生産していた。しかし、甘露煮は主食となりにくいこと、また消費者の嗜好の変化などから、にじます甘露煮を含めた甘露煮の生産量は減少しており、現在では100t程度となっている。

原料選択のポイント

 一般的には60 ~70 gとなったニジマスを甘露煮とすることが多いが、愛知県淡水養殖漁業協同組合は、他商品との差別化を図るため30 ~60 gとなったニジマスを選択し、甘露煮としている。

加工技術

 非常に変質しやすい原料魚を煮熟液中で煮つめ、原料中の水分を煮熟液中の塩分、糖分、その他の調味成分と置き換え、水分活性を低下させ保存性を高めることが加工の原理である。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料魚  加工する3日前に餌止めした、30~60gとなったニジマスを組合員(養殖業者)から購入する。

  • 選別  原料魚を10g毎に重さで5段階1選別する。また、手作業で奇形の魚を取り除く。

  • 切開・洗浄 切開、内臓の取り出し、洗浄等が一連の流れできる機械を独自に設計開発している。1時間に300kgのニジマスを処理できる(写真1)

  • 整列 手作業で焼き網に並べる。

  • 乾燥 約30~40分間乾燥させる。

  • 焙焼 尾が焦げてしまうと商品価値がなくなることから、尾がバーナーに当たらない向きに手作業で焼き網に並べる(写真2)

写真1 切開工程
(提供:愛知県淡水養殖漁業協同組合)
写真2 焙焼工程
(提供:愛知県淡水養殖漁業協同組合)

  • 整列 腹を上向きにして、手作業で籠に詰める。 

  • 煮熟 専用の調味液に、砂糖、醤油、水あめを足しながら、一定の糖度になるまで約4~5時間煮詰める。その 後、調味液に一晩浸潰し、味をなじませる(写真3)

  • 包装 魚が軟らかいため、手作業で、重量別に真空包装する。

  • 殺菌 ボイル殺菌装置(90℃で40分間)で、ボイル殺菌する(写真4)

  • 検査  洗浄工程で除去できなかった石などが魚の腹に残ることが多いため、金属探知機やX線異物検出装置で検査する。

  • 製品 梱包して出荷する。

加工に用いる機器等

 切開・洗浄装置、焙焼機、煮熟鍋、真空包装機、ボイル殺菌装置、金属探知機、X線異物検出装置等

品質管理のポイント

 煮熟液による水分活性低下、包装後の殺菌、異物の検出を確実に行う。

製品の形態

 まるごと一尾を一尾ずつ、または複数尾を包装する。

包装・保管方法

 大きさと重さで分けて包装する。冷暗所で保管、流通を行う。

調理方法および食べ方

 袋のまま湯煎、もしくは袋から取り出して加熱後、食す。骨まで軟らかく煮込まれているため、頭、骨を含め丸ごと一尾食べることができる(写真5)

写真5 にじます甘露煮
(提供:愛知県淡水養殖漁業協同組合)

(著者:あいち産業科学技術総合センター 伊藤 雅子・丹羽 昭夫)