茹でガニとは
原料であるベニズワイガニを食塩水または真水により煮熟したものをいう。
鳥取県境港で全国1位の水揚げがあるべニズワイガニの場合は、丸ごと茄でたベニズワイガニの製造販売は数量的にわずかであり、大半が身出し加工され、チルドか冷凍で出荷されている。また、甲羅は容器として、肝膵臓はかに味噌として、カニ殻はキチン・キトサン原料として使用され、ほとんど全部位が廃棄されることなく利用されている。
主な生産地
鳥取県、北海道、石川県、その他
生産の動向
境港で使用されているベニズワイガニは、県外からの移入、外国からの輸入を含めて年間約8,000t程度と推定される。他県、海外産の水揚げ・加工状況は、その時の水揚げ数量や金額に大きく影響し、それに伴い需要が変動するという難しさがある。
日本海かにかご漁業協会は、所属する漁船による、かごはえ縄漁法で漁獲されるベニズワイガニを対象魚種として、マリンエコラベル認証を取得している。

(水産研究・教育機構 水産資源研究所 水産資源研究センター)
原料選択のポイント
ベニズワイガニは、日本海、オホーツク海ならびに銚子以北から北海道に至る太平洋の 200~2,700mの深海に生息している。日本海ベニズワイガニ漁業で漁獲が許可されているのは、甲幅9.1cm以上の雄で、7~8月が休漁期となっているが、それ以外はほぼ年間を通じて水揚げされている(写真1)。
近年小型化や漁獲量の減少が顕著になってきており、他県からの移入や韓国からの輸入にも頼っている。茄で丸がには、比較的サイズが大きく、高鮮度で身入りの良いものを使用し、それ以外は加工用としている。
そのほかに境港で取り扱われているカニとしては、地元水揚げの松葉ガニ(ズワイガニの雄)やセコガ二(ズワイガニの雌)、さらに北海道産あるいは輸入のズワイガニ、タラバガニ、ケガニなどがある。
加工技術
加工する場合は、まず脱甲後、部位別に解体し、煮熟もしくは蒸煮する。脚部は身を取り出し、「棒肉」としてチルドもしくは冷凍で流通している。肩部は、採肉機にかけて「落とし身」または「フレーク」として身を回収し、二次加工用の素材となっている。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 甲幅9㎝以上のベニズワイガニ雄を使用する(写真1)。
- 脱甲 脱甲機を使って甲羅を外し、肝膵臓を分別する(写真2)。甲羅は洗浄してカニグラタンの容器として活用されている。肝膵臓は調味加熱して、カニみそとして販売している。
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- 解体 エラなどの不要部位を取り外し、肩部と脚部に切断する。
- 加熱 肩部と脚部は加熱時間が異なるため、別々に加熱する(写真3)。バッチ式と連続式の煮熟方式があるが、いずれも季節や原料鮮度、身入り、大きさ等により加熱時間を微妙に調節している。加熱不足だと、黒変が発生して商品性がなくなるが、加熱し過ぎると歩留まりの低下や味成分の減少が起こりやすくなる。黒変の防止には、原因となる酵素の失活のために最低80℃10分間以上の加熱が必要である。バッチ式の場合は、煮熟水に塩を添加するが、連続式の場合はカニから塩が出て塩濃度が高くなるため、加えないことが多い。加熱手段として蒸煮を行っているところもある。
- 身出し 脚部及び肩部をローラー式の身出し装置にかけて押し出す(写真4)。
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- 調味、成型 棒肉を調味液に漬けたのち、計量しながらトレーにきれいに並べる(写真5)。その後、冷凍保管するので、調味液は乾燥防止、酸化防止等のためのグレーズ処理の役割を担っている。
- 包装 棒肉、ほぐし身など製品ごとに、真空包装機で真空包装する(写真6)。
- 凍結 -30℃以下で、エアーブラスト凍結する。
- 製品 梱包して出荷する(写真7)。
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加工に用いる機器等
脱甲機、ボイル槽または蒸し器、洗浄機、ローラー式身出し装置、真空包装機、冷凍機、冷凍庫等
品質管理のポイント
凍結速度が遅く、保管温度が高い場合は、肉質の硬化(スポンジ化)や黄変が速やかに生じる。特に、発泡スチロールトレーに直接製品を入れたまま凍結したものは凍結速度が遅くなるため、空気に含まれる酸素によって酸化しやすく、黄変が急速に進行する。
製品の形態
チルドまたは冷凍品である。
包装および保管方法
冷凍の場合は、急速凍結と真空包装、―30℃以下の冷凍保管が必要である。
調理方法および食べ方
そのまま食べるほか、パエリア(写真8)、かにグラタン(写真9)、カニ天(蕎麦)(写真10)、かにご飯、笹巻き蟹めし(写真11)、寿司ねた、かにクリームコロッケ(写真12)、シュウマイ、サラダ、茶碗蒸しなどの具材として調理する。
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参考文献
・国立研究開発法人 水産研究・教育機構.「令和5(2023)年度ベニズワイガニ日本海系群の資源評価」
https://www.fra.go.jp/shigen/fisheries_resources/meeting/stock_assesment_meeting/2023/files/sa2023-sc07/fra-sa2023-sc07-03.pdf(2025年12月8日参照)
(著者:鳥取県産業技術センター 加藤 愛)
