目次
第11章 節類 第3節 その他節類

さば節

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主原料

保存方法

常温保存

キーワード

だし/まるさば節/ぽっくり/わりさば節

備考

Saba-bushi/伝統的加工品

さば節とは

 さば節はサバを煮熟、焙乾して十分に乾燥させたものである。さば節はそのままの形で流通されることはなく、削り節の形で流通され、そばつゆやおでん、ラーメンのスープなどのだしに使われる。 

主な生産地

 熊本県の主な産地は牛深であり、鹿児島県は屋久島と枕崎、静岡県は焼津と沼津である。

生産の動向

 令和5年の全国生産量は7.6千tほどであり、近年の生産量はやや減少傾向にある。都道府県別に見ると、熊本県が突出しており、鹿児島県、静岡県の3県でさば節の総生産量の9割以上を占める(図1)

図1 さば節生産量(2023年漁業センサス)

原料選択のポイント

 原料に使われるサバは主にゴマサバで、近海でまき網等によって漁獲された生原料が主に使われる。以前はマサバの脂肪の少ないものも使われたが、近年はマサバが不漁のためほとんど使われていない。100~450gの大きさが主流で、300g前後が好まれる。原料の脂肪が多いと節の質が落ちるため、脂肪の少ない4月~7月の原料が適している。秋から冬(9月~2月)は原料の脂肪が多くなるため、煮熟、焙乾及び放冷の時間を調整することで対応している。魚の大きさによって処理が変わり、基本的に頭、内臓、尾鰭を取り除いた状態で節にされる「まるさば節」が多い。大きいものは三枚に割る「わりさば節」になるが、200g前後の小型のサバは「ぽっくり」と呼ばれ、頭と尾鰭を取っただけの状態で節にされることがある。

加工技術

 煮熟によって原料の殺菌を行うとともに脂肪を落とす。乾燥処理によって水分活性を低下させて保存性を向上させ、うまみを凝縮させる。また乾燥処理時には途中に放冷期間をはさむ。乾燥処理のみでは節の中心部に水分が残り、完全に乾燥しないため、放冷することによって中心部の水を表面に分散させ、乾燥しやすくする。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 近海でまき網等によって漁獲された生原料が主に使われる。原料は市場にて水揚げ後、水氷に入れられて工場に運ばれる。鮮度が極めて高い原料では乾燥時に身割れすることがある。冷凍原料はほとんど用いられない。

  • 洗浄 水により汚れ等を落とす。

  • 選別・内臓処理 魚体の大きさごとに分け、頭部と内臓を除去して蒸しかごに並べる。「ぽっくり」については頭も内臓も除去せず、そのまま煮熟を行う。

  • 煮熟 魚体の大きさと脂肪量によって煮熟時間を変える。

  • 脱水 「クッカー」と呼ばれる装置で高温の水蒸気を噴射して、水分を除去し、身を固める。

  • 放冷 品温を冷ます。放冷をはさまずにそのまま一次乾燥に入る所もある。

  • 一次乾燥 薪式の乾燥機を使って乾燥が行われる。静岡県では薪とガス両方を使った乾燥機が用いられており、100℃程度で3時間乾燥→3時間放冷の工程を2回ほど繰り返す。

  • 放冷 「あんじょう」とも呼ばれる。放冷することで、魚の中心部に残った水分が表面に分散し、乾燥しやすくなる。「ぽっくり」はここで頭と尻尾を取り除く。

  • 二~五次乾燥→放冷 薪式の乾燥機を使用する。ここからは魚体の大きさ、脂肪量、顧客の要望によって乾燥の回数を変えるが、おおむね4~5回、7時間の乾燥と放冷を繰り返す。「わりさば節」は、この乾燥の間にはさまれる放冷の時に半身に割る。

  • 整形 鰭などを手作業で落とす。この時点で製品として出荷されることがほとんどであるが、顧客の要望によっては、カビ付けを行う。

  • カビ付け 高温高湿度(30℃前後、90%程度)のカビ付け庫の中に節を置き、専用のカビ菌を用いて一週間ほど自然発酵させる。1回目のカビ(1番カビ)がついたら干して裏返し、2~3番目のカビを付ける。

  • 乾燥 最後に乾燥工程(天日干しや機械乾燥)を行う。

  • 箱詰め 完成した製品はダンボールに箱詰めされ、出荷される。

加工に用いる機器等

 クッカー、乾燥機

品質管理のポイント

 原料の脂肪が多い場合、節の質が落ちるため、脂肪の少ない原料を用いる。春先の4月から7月は原料の脂肪は少ないが、秋から冬(9月から2月)は脂肪が多くなるため、脂肪のある原料は煮熟、焙乾及び放冷の時間調整で対応している。
 製品は乾製品のため常温保存が可能であるが、高温・高湿を避け、冷暗所で保管することが望ましい。

製品の形態・包装等

 節の形で消費者の手元にわたることはほとんどない。基本的に削り節原料として業者に送るため、10㎏程度まとめて箱に詰めて出荷される。削り節業者によって単独、またはイワシ、ムロアジなどの節と混ぜられて混合削り節として、業務用に販売されることが多い。

写真1 さば節製品 (左:カビ付けあり、右:カビ付けなし)
(静岡県水産・海洋技術研究所撮影)

調理方法および食べ方

 削り節の形で流通され、そばつゆやおでん、ラーメンのスープなどのだしに使われる。

(著者:静岡県水産・海洋技術研究所 隈部 千鶴・岡田 裕史)