目次
第4章 ねり製品 第3節 蒸し焼きかまぼこ

焼き板かまぼこ(大阪)

印刷

主生産地

保存方法

冷蔵保存

キーワード

蒸し焼きかまぼこ/大阪

備考

Yaki-itakamaboko (Osaka)/伝統的加工品

大阪の焼き板かまぼことは

 大阪の焼き板かまぼこは、表面に淡い焼き色のついた板付きの蒸し焼きかまぼこである。板の両端を少し残して肉付けしてある。かまぼこの「うま味」の決め手は、舌先に感じるおいしさの「味」とかまぼこを噛んだときの弾力を表す「足」にあるが、大阪の焼き板かまぼこは特に「味」にこだわる。

主な生産地

 大阪、兵庫など、主に京阪神地方

消費の動向

 消費は関西地方が中心である。

原料選択のポイント

 原料は味のよいハモを主体に、弾力が出るグチ、ニベを混ぜる。主に鮮魚を用い、基本的にはスケトウダラなどの冷凍すり身は用いない。大阪のかまぼこは既述のとおり「味」にこだわり、ハモを使用するところに特徴がある。

加工技術

 かまぼこの「足」は魚肉を水で晒し、弾力が出るのを阻害する成分(酵素を含む水溶性タンパク質など)を除くことでより強くなる。しかしながら、水晒しによってうま味成分も除かれるため、「味」が抜けてしまう。晒しの程度を見極め、「味」と「足」を理想的な状態にすることが、大阪の焼き板かまぼこづくりでは大切である。

製造工程の概略

加工の実際

  • 魚体処理 鮮度のよい魚を用いる。魚の筋原線維タンパク質は熱に対して不安定なので、魚体処理や採肉などの処理は低温で迅速に行うことが必要である(写真1)

写真1 魚体処理(提供:大寅蒲鉾㈱)

  • 水晒し 採取した魚肉を水洗することにより、肉中に含まれる脂質や筋形質タンパク質、臭みなどを除去する作業で、かまぼこの弾力に関わる重要な工程である。晒し器に魚肉を入れ冷水を注入しながら撹拌、冷水が一杯になった時点で、魚肉を沈降させ、上澄みを捨てる作業を通常2~3回行う。十分に晒すと弾力が強くなるが、うま味成分が流出するので、うま味を重視する場合は、主に脂を除去するだけにし、なるべく身を潰さないようにするとともに、晒し回数を減らすようにする。ハモは基本的に晒さない。

  • 擂潰らいかい 水晒しした魚肉に塩と調味料などを加えてすり上げる工程である。一定温度(10℃くらいが最適)を保ちながら(温度が上がらないように氷を入れて調節)、すり上げる。生魚を原料とする場合は、すり上がりまで1時間30分程度かかる。この時に味付けを行う。副原料としては、魚肉100に対して、塩2.3~2.5、砂糖4~5、煮切りみりん、卵白、トレハロース、デンプン、調味料などを少量加える。

  • 成形 板付けを行う機械もあるが、手技による板付けを行った方が食感がよい(写真2)

写真2 成形(手技による板付け)(提供:大寅蒲鉾㈱)

  • 加熱 板を火で炙った後、蒸してから焼く。95℃で一気に蒸し上げる。高温で一気に蒸し上げることにより大阪かまぼこ独特の食感が出る。その後、表面を火床で焼き、より風味を増すように仕上げる。

加工に用いる機器等

 晒し器、擂潰機(御影石の石臼と先端が桜材の杵が使われている写真3)、蒸し器

写真3 擂潰機
(提供:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所)

品質管理のポイント

 魚の鮮度を落とさないように、10℃前後を維持しながら加工を行う。

製品の形態

 製品の形状は写真のとおりである(写真4)。

写真4 焼き板かまぼこ(大阪)
(提供:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所)

包装および保管方法 

 包装機等により1本ずつ包装される。10℃以下の冷蔵で保存する。賞味期限は7日間程度である。

調理方法および食べ方

 そのまま食べるのが最もおいしい。切って生わさびなどで頂く。食感を味わうためにはある程度の厚さが必要である。11㎜の厚さに切って食べるのが魚の味や弾力などの食感を一番味わうことができる。

(著者:大寅蒲鉾 株式会社 高井 豊之・大阪府立環境農林水産総合研究所 辻村 浩隆)