あじ丸干しとは
比較的小型のアジを「鰓刺し」し、塩漬した後、一夜干し程度に乾燥させたものである。イワシ類の丸干しとほぼ同様の加工工程で製造されることから、いわし丸干し製造業者がいわし丸干し製造の傍ら行うことが多かったが,近年では、アジの丸干しを製造する業者は激減している。
原料のアジはエラ及び内臓が付いた状態で加工され、また、加工工程に加熱処理がなく、乾燥時間も短いことから、自己消化や腐敗などを防止し品質を保持するために、冷凍で流通される。
主な生産地
千葉県、三重県、大分県、宮崎県
生産の動向・消費の動向
近年は、丸干しに適した150gサイズで脂肪が適当に乗ったアジの入手が困難な状況であること、消費者ニーズの変化から生産量は減少しており、鹿児島県内では製造されなくなった。
原料選択のポイント
鮮度が重要で、製品の品質を左右する。丸干しに適した大きさは100~150g程度のもので、適度に脂の乗ったものが良いとされる。一般に周年加工するために冷凍原料が使われる。
加工技術
塩水に浸漬することで、調味と脱水作用をもたらす。乾燥には、冷風乾燥機を用いるため、脂質の酸化が抑制される。また、乾燥により、魚肉の旨みが濃縮される。
表皮にシワが寄らないよう、乾燥時間を短くしたソフトな食感の一夜干しが主流である。水分が概ね70%程度と高めで、内臓が含まれることから、品質保持を目的に冷凍流通が主流となっている。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 原料はマアジが使用される。鮮度が製品の品質を大きく左右するため、加工場近くの漁場で漁獲された原料を用いることが多く、100~150g程度の重量サイズのもの、脂肪が多いものが適している。原料魚は冷凍して周年加工に用いる場合が多い。
- 洗浄 タンクに氷と氷を入れ、水道水を掛け流しながら冷流水中で原料魚の洗浄を行う。
- 塩漬け 漬け込み容器に塩水を用意し、数時間漬け込む。乾燥後の塩分濃度が、概ね1%以下になるよう、原料の大きさや脂の乗りなどを考慮し、塩水濃度や浸漬時間は適宜調整される。浸漬液は予め10℃程度に冷却したものを用いるようにする。
- 串刺し プラスティック製の串を鰓に刺す。アジの大きさにもよるが1本の串に4尾程度刺す。
- 水洗い 流水中ですすぐように2~3回水洗し、水を切る。
- 乾燥 乾燥温度は概ね20℃で数時間から一夜乾燥する。
- 凍結 乾燥が終了後、-20~-30℃の冷凍庫で保管し、注文に応じて出荷する。
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加工に用いる機器等
魚体洗浄用タンク、塩漬け用容器、乾燥用台車、冷風乾燥機、温風乾燥機
品質管理のポイント
乾燥時の脂質の酸化及び異物混入などに注意する。
製品の品質を保つために、冷凍保存が一般的となっている。
製品の形態・包装及び保管方法
生産者の段階では、1串ずつ袋に入れた後、ダンボール箱に収容して冷凍保管し、注文に応じて出荷する。
調理方法および食べ方
グリルやフライパンでじっくり焼く。一夜干しのため食感はふっくらと柔らかい。
(著者:鹿児島県水産技術開発センター 保 聖子)
