魚うどんとは
魚うどんは、トビウオを原料にしたすり身をうどん状に成形したねり製品で、宮崎県日南市油津で昭和初期から親しまれている郷土料理である(写真1)。戦時中の食糧難を乗り切るため、主食となるうどん粉の代わりに魚のすり身を使ったのが発祥と言われている。
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主な生産地
宮崎県日南市
生産と消費の動向
宮崎県内では3社が製造している。地元飲食店での提供や、道の駅、直売所で販売されているほか、インターネットでの販売も行っている。
原料選択のポイント
地元で水揚げされた新鮮なトビウオを使用する。手作業のため、原料魚のサイズは問わない。トビウオは余分な脂が少なく、魚のだしがよく出ることから、魚うどんの製造に最も適した原料である。
主な副原料
卵、片栗粉、塩
加工技術
採肉の際、手作業で丁寧に血合肉を取り除くことで、色が白く本物のうどんのようなきれいな仕上がりになる。擂潰の際に塩を最後に投入するのはねり製品の製法では珍しい昔ながらの手順で、硬すぎず柔らかすぎずの独特な食感を出すためと考えられる。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料処理 その日に地元で水揚げされたトビウオを手作業で捌く。このとき血合肉を丁寧に取り除く。フィレーにして(写真2)、真空包装し急速凍結する。
- 解凍・洗浄 凍結した魚肉を製造の前日夜から冷蔵庫に入れて解凍する。解凍されたフィレーを真水で洗い、鱗や汚れを取り除く。
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- 砕肉 洗浄した魚肉をミートチョッパーで粒径約3㎜に砕肉する(写真3)。
- 擂潰 擂潰機に魚肉を入れ、約4分間空ずりを行う。魚肉の状態を確かめながら、卵を投入してさらに2分間擂潰する。水溶きした片栗粉をダマにならないよう濾しながら投入し、2分間擂潰する。最後に塩を投入して、様子を見ながら2~4分間擂潰する(写真4)。
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- 成形 うどんつきと呼ばれる特注の成形用の金物に入るサイズに擂潰した魚肉を丸める。丸めた魚肉をうどんつき(写真5)に入れ、沸騰した湯に絞り出す(写真6)。
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- 湯煮・冷却 絞り出した魚肉を3分間湯煮する。煮終わったらざるに上げ、流水中でもみ洗いする(写真7)。もみ洗いは計2回、別の桶の中で行い、1回目がぬめり取り、2回目が冷やして麺を締める働きをする。
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- 計量・包装 麺を計量し、パウチの中に小分けしていく。すべて入れ終わったら、真空包装してアルコールブライン式の急速凍結機で凍結する。
加工に用いる機器等
ミートチョッパー、擂潰機、真空包装機、アルコールブライン急速冷凍機、うどんつき(オーダーメイド)
品質管理のポイント
その日に水揚げされた新鮮なトビウオを使用する。原料の水洗いを十分に行うこと、ゆであがった麺の冷却、真空包装後の急速凍結がポイントとなる。
特徴的な成分
1人分(150g)で159kcal、タンパク質は19g含まれており、ヘルシーかつ体作りに必要な栄養を含む製品である。また、グルテンフリーなのでアレルギーにも配慮された製品といえる。
製品の形態
ねり製品としては珍しい麺状の形態で、径は約3㎜、長さは30㎝ほどである。
包装および保管方法
包装は真空包装のパウチで、冷凍保管製品である。製品の重量は1袋150gでの販売となっている。出汁とあわせてパウチに入れ、レトルト処理をした常温保存可能な製品も一部製造されている。
調理方法および食べ方
小麦粉から作ったうどんとは異なり、長く煮込んでも麺がのびることはなく、逆に煮込むほどに魚のダシが出るため、鍋料理に最適である。鍋の材料として、最後の締めではなく、はじめから入れていておいても良い。煮込みうどん(写真8)は水と一緒に入れ、沸騰後中火で5分間煮込めば、魚のダシが効いたスープになる。また、麺に片栗粉をまぶし油で揚げると、カリカリとした食感のつまみになる(写真9)。
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(提供:宮崎県水産試験場)
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(提供:宮崎県水産試験場)
(著者:宮崎県水産試験場 橘木 啓人)
(取材協力者:JF日南市直売所はまっこ)
