皮竹輪とは
皮竹輪とは、かまぼこの原料魚であるエソ類(マエソ、トカゲエソ、ワニエソ等)の皮を用い、エソの肉糊をつなぎとして少量混ぜ合わせ、一般のちくわと同様にステンレス製の棒などに巻きつけ、炭火などで焼き上げたものである(写真1)。この皮竹輪は、未利用資源である魚の皮をうまく利用した特産品である。1本1,000円以上で、酒の肴に好適な高級珍味である。
なお、最近では、エソの皮の他、マダイの皮を用いた皮竹輪も製造販売している(写真2)。
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主な生産地
愛媛県八幡浜市
生産と消費の動向
かまぼこの原料にエソ類を使用している企業が、皮竹輪を製造している。製造は、ほとんど手作業で行っている。特に原料のエソの皮は丁寧に小骨や鱗などを除去しなければならないので、現時点で大量生産は難しい状況である。八幡浜魚市場に水揚げされるエソ類の漁獲量は減少傾向にあり、近年は約533トン(令和4年度)程度である。そのほとんどがかまぼこに使用されているが、副生する皮がすべて竹輪に使用されるわけではない。そのため、正確な生産量は不明である。皮竹輪1本にエソの皮10枚(5尾分) は必要である。酒の肴として人気があるが、生産性が悪く入手が難しいので、購入するためには製造元に予約する必要がある。
原料選択のポイント
原料はエソ類の皮であり、皮の量が多く、しかも丈夫であるマエソ、トカゲエソ等の大きく、太ったものを選ぶのがポイントである。手作業で皮を取るときは鱗を落とさず3枚におろし、傷をつけないようにすき取ることが重要である。魚肉採取機で魚肉を取った後で、未利用資源の中から皮だけを取り出すのは大変手間のかかる作業である。漁獲時期や漁場の違いでエソの皮下脂肪に差があり、脂肪の多い皮がよく、焼いた時、煙が出るものが味もよいとされ、皮下脂肪の多少が皮竹輪の品質に影響する。
使用する副原料
塩と調味料などを加えて練り上げたエソの肉糊を予め作製しておき、皮と混ぜて使用する。
加工技術
鱗や小骨を完全に除去し、水洗したエソの皮とエソの肉糊を混ぜ合わせ、ステンレス製の棒に巻きつけ、焼いて仕上げている。棒に巻きつけるのが難しく職人技であり、素人では形が崩れやすい。焙焼中に皮のコラーゲンがゼラチンに変化してエソ肉糊の接着力を補うことが、形崩れが起こらない皮竹輪の加工原理となっている。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料魚 宮崎沖、豊後水道などで底びき網により漁獲され、八幡浜魚市場に水揚げされた新鮮なエソ類を用いる。手作業でエソを三枚におろし、皮をすき取っているが、魚肉採取機で魚肉を採取した後の残渣から皮を取り出す場合もある。
- 皮の不純物除去 皮に付着している小骨や鱗等を手作業で取り除き、水できれいに洗浄する。皮に付着した水を脱水機等で十分に除く。この皮処理作業に時間がかかる。皮の割合は魚体重量に対して2.5〜3%である。
- 肉糊の混合と巻きつけ 洗浄した皮と予め作製しておいたエソの肉糊(無でん粉)を擂潰機に入れ、混ぜ合わせる。肉糊の量は皮の重量に対し20〜30%である。その皮を一枚ずつ、ステンレスまたは竹の棒に手際よく何層にも巻きつける(写真3)。巻きつけが弱いと形崩れの原因となる。
- 焙焼 炭火やガス火で表面がやや焦げ目が付くまでゆっくりと焼き上げる(写真4)。その後、ステンレス棒から皮竹輪を抜き、穴に竹棒を差し込む場合もある。
- 冷却・包装 冷却後、個包装し出荷、販売している。
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加工に用いる機器等
擂潰機、焙焼機 等
品質管理のポイント
鱗や小骨などが残ると食感に悪影響を及ぼすので丁寧に除去する。また、形が崩れないように、しっかりと棒に巻きつけることがポイントである。
製品の形態
1本ずつピロー包装し、販売することが多い(写真5)。
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包装および保管方法
保存料などを使用していないので、なるべく早く食べるのが好ましい。賞味期限は冷蔵で1週間程度である。
調理方法および食べ方
皮竹輪は主に酒の肴とされ、そのまま輪切り(l~5㎜厚)にし、大根おろしやマヨネーズなどで食べることが多い。コリコリとしたコラーゲンの弾力を味わうことができる。また、食べる前に、弱火で焙り、輪切り(5〜10㎜厚)とし、大根おろしとともに味わうと最高である。
同類製品例
八幡浜市ではエソ皮を原料とした場合と同様の方法でマダイの皮竹輪が生産されている(写真2,4)。また、三枚におろしたタチウオを棒に巻きつけて焙焼したタチウオ巻きも生産されている。
(著者:愛媛県産業技術研究所 石井 佑治・菅 忠明、元愛媛県工業技術センター 岡 弘康)
