目次
第7章 水産漬け物 第7節 味噌漬け

ぶり味噌漬け

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主原料

保存方法

冷凍保存

キーワード

味噌漬け/西京味噌/付加価値/みりん/熟成

備考

Buri-misozuke/伝統的加工品

ぶり味噌漬けとは

 脂乗りの良いブリを切り身とし、味噌漬けにより風味を高めた製品である。
 ブリを味噌漬けにする理由の1つには保存のためという面があり、北陸から山陰のブリの産地では、生鮮出荷しきれずに余ったブリを自家用に味噌漬けにして保存していたようである。しかし、商品として作る場合には、保存のためというよりは、味噌漬けにすることによって味と香りを付け、程よい脂質を含むブリの持ち味をさらに高め、付加価値を付けて販売するという意味合いが強い。

主な生産地

 富山県、石川県、京都府の日本海側のブリ産地のほか、長崎県などで生産されている。

消費の動向

 惣菜として使われる場合もあるが、土産物用途のほか、料理・旅館での食事や自家用に使われる場合も多く、生産量は把握できていない。

原料選択のポイント

 ぶり味噌漬けは豪華・高級なイメージの商品であるため、原魚のブリには、脂の乗りが良い、秋から冬に漁獲された、できるだけ大きなものが使われている。

使用する副原料

 使用する味噌の種類・品質によって製品の味が変わるため、各業者とも使用する味噌の種類・銘柄にはこだわっており、地元ブランドの各種味噌製品を配合するなど工夫を凝らしている。

加工技術

 味噌から塩分が魚体に浸透することにより塩味を整えるとともに、味噌の持つ香り、焼いたときの香ばしさによって原魚のうま味をさらに引き立たせる。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 秋から冬にかけて漁獲される、できるだけ大きな鮮魚を使う。

  • 調理 生のブリを三枚におろし、味噌成分が浸透しやすいように適当な大きさに斜め切りし切り分ける。

  • 塩水洗い 切り分けた身は薄い塩水で洗い、水切りをしておく。

  • 味噌調合 各種銘柄の味噌をブレンドして味を調える。また、みりんを加えて味噌を伸ばしやすくすることも多い。

  • 漬け込み 切り身に味噌を塗り付け容器に並べていく。

  • 熟成  数日から1ヶ月程度、常温(冬季に漬けるため5℃~10℃)で漬け込んだままにして味を染み込ませる。

  • 取り上げ 食べ頃に販売できるよう販売期間を見込んで取り上げる。

  • 包装 味噌を付けたまま、あるいは、商品性を向上させるために、漬け込んだ味噌は落として新しい味噌を付け、プラスチック製や香りの良い木製の樽などに並べて蓋をし、包装する。

加工に用いる機器等

 漬け込むための樽などの容器のほかには、包丁やまな板があれば作業可能であり、特に大がかりな装置を必要としない。

品質管理のポイント

 香りが製品の命であり、素材に鮮魚を使うため、漁獲後の締め方(血抜き)やその後の鮮度管理がしっかりできている魚を使うことが重要である。作業に当たっては、鮮度が落ちないうちに手早く処理する必要がある。

安全衛生管理のポイント

 保存性はそれ程良い製品ではなく、また、食べ頃の期間が余り長くないため、真空パック詰めにして冷凍保存するなどの方法が採られている。

特徴的な成分

 長期間にわたって熟成させるわけではないので、原魚のブリの成分と、使用する味噌、みりんなどの成分が比較的多く残る。

健康機能性成分

 味噌には、乳酸菌や食物繊維などが含まれており、腸内環境の改善などの効果が期待される。また、褐変色素も含まれており、本成分は生活習慣病の予防などの効果が期待される。
 ブリには、血液・脳の健康に寄与するとされているDHA、EPAが多く含まれている。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態・包装及び保管方法

 保存性が良いわけでないため、樽から取り上げた製品は保存性向上のために真空パックで包装し、冷凍保存している。
 真空パックした製品は、専用の化粧箱で販売される。

写真1 京都府産ぶり味噌漬けの外観(提供:京都府水産事務所)

調理方法および食べ方

 解凍後に焼いて白飯とのお供として食べる。また、酒の肴としても食べられる。

写真2 ぶり味噌漬け製品(左:加熱前、右:加熱後)
(提供:京都府水産事務所)

参考文献

・五明紀春.味噌の科学と食塩.ソルト・サイエンス・シンポジウム講演要旨2013.
・江崎秀男.味噌を科学する.生活の科学2013; 32:1-9.

(著者:京都府水産事務所 齊藤 一樹、京都府漁業協同組合 菱田 江里子)