島根県の細工かまぼことは
現在の島根県の細工かまぼこは、絞り出し金具を用いる絞り出しが主流であり、繊細で丁寧に仕上げている(写真1)。また、野菜やワカメ等の抽出色素を工夫することで、派手さを控えた品のある色づかいが特徴である。
(島根県の細工かまぼこの歴史については、末尾のコラムを参照してください。)
)写真①とイメージ2-757x1024.jpg)
(提供:有限会社小田川かまぼこ店)
主な生産地
島根県出雲市
生産と消費の動向
近年は、食の多様化により引き出物としての需要は急激に減少した。しかし、現在も旅館や料理屋などから料理の一品としての引き合いや土産物としての需要がある。これからは出雲料理の一つとして継承されていくと考えられる。
原料選択のポイント
身が白い魚が必要とされる。以前は、エソ、トラハゼ、グチ、ガツ、カレイなどの地魚を用いたが、現在ではスケトウダラなどの冷凍すり身を用いる。細かい装飾には、すり身のきめが細かいことが必要であり、裏ごしを行う。
加工技術
擂潰した肉糊を成形するまでは、肉糊を裏ごしすることを除けば一般のかまぼこと同じである。成形した肉糊に色付け・型どりし、蒸煮して仕上げる。
製造工程の概略

加工の実際
- 擂潰 塩とその他の副原料・調味料を加えて擂潰する。
- 色付け 手付包丁を使いすり身と色素を混ぜる。
- 型どり 絞り出し金具を用いて絵付する。
加工に用いる機器等
擂潰機、絞り出し金具
品質管理のポイント
色付けした塩すり身が坐らないように注意する。
調理方法および食べ方
生食する。婚礼から持ち帰ると近所に配るのが慣例であった。
コラム
「賀川梅太郎と島根県の細工かまぼこ」
島根県の細工かまぼこは、石見地方の浜田市で明治45年創業の魚梅かまぼこ店(平成23年廃業)から始まっている。創業者である賀川梅太郎は、大正初期に大阪から技術を習得して帰り、細工物かまぼこを始めた。特に切り出しの技術が優れていたという。当時の富裕層の婚礼は、金に糸目をつけなかったことから、梅太郎は腕のみせどころとして細工物の技術を磨いた。そして、評判を聞きつけた出雲地方のかまぼこ屋が住み込みで修行にきたことから県全体に広まったとされる。本格的になったのは、おそらく昭和初期からである。
その後は、石見地方より出雲地方で婚礼が派手だったこともあり、細工物かまぼこは出雲地方に根づいた。特に、出雲地方には、梅椀(披露宴の土産に持って帰る料理)の風習があったことが定着した理由の一つと思われる。現在では、出雲大社がある出雲市大社町でのみ製造されている。
(著者:島根県産業技術センター 永瀬 光俊)
