なると巻とは
なると巻は切断面の紅白の渦巻きと、波状の形状が特徴のねり製品であり(写真1)、茹でかまぼこに分類される。近年では、切り口が渦巻き以外の文字や絵柄のものや、カラフルな色合いのものも販売されている。
ここでは、焼津地域で一般的に製造されているなると巻の製造について解説する。
(「なると巻の渦巻き」については、末尾のコラムも参照してください。)
写真①とイメージ-1024x684.jpg)
主な生産地
主に静岡県焼津市
生産と消費の動向
近生産量の統計はないが、全国の生産量の大部分が焼津市で生産されている。ラーメンの具材など根強い需要がある。
原料選択のポイント
製品の足を強くし、色を白くするため、原料としてアメリカ産スケトウダラ、東南アジア産イトヨリダイ等の冷凍すり身が主に用いられる。グチなどを使用した製品や、アミノ酸、卵白を使用しない製品なども製造されている。
加工技術
塩魚肉すり身を塩・でん粉、調味料とともに擂潰した後、加熱してゲル化させる。なると巻の特徴である渦巻きは、通常の白いすり身と赤色着色料を少量添加した赤色すり身を渦巻き成形機に送り込むことで成形する。
製造工程の概略

加工の実際
- 擂潰・調味 すり身と各種の副原料をサイレントカッターや真空カッターなどで混合し擂潰・調味する(写真2)。副原料は、でん粉(馬鈴薯および小麦)、食塩、砂糖、各種調味料、保存料などである。保存料はソルビン酸カリウムが用いられるが、最近では消費者ニーズにより無添加の製品も製造されている。渦巻きのピンク色部分には、着色料として赤色3号や、天然色素(トマト色素やベニコウジ色素)などを用いている。
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- 渦巻き成形 白色とピンク色の擂潰肉はポンプで自動成形機に送られ、なると巻独特の渦巻きが形成された筒状の塩すり身が押し出される(写真3)。
- 波状成形 成形機から連続して押し出された筒状の塩すり身を長さ約21cmに切断した後、波状成形をしやすくするために表面だけを95℃、6秒間、予備加熱する。次に、自動化された装置によって、波状のプラスチック製型枠(すだれ)で巻く。
- 加熱 蒸し機に送り加熱する。蒸煮条件は95℃、約15分間で、時間当り約3,000本を処理する。処理本数は、切断機の能力に左右される(写真4)。
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- pH調整 保存性を向上させるためフマール酸、または乳酸を主体にした市販pH調整剤に浸漬している。pH調整剤の濃度は1~2%で、約15秒間浸漬している。製品のpHは6.5 ~7.0になる。
- 包装 浸漬後、品温が20℃以下になるまで約25分間冷却し、ナイロンまたはポリエチレンのラミネートフィルムを用いて真空包装する。
加工に用いる機器等
サイレントカッターまたは真空カッター、なると巻自動成形機、切断機、波状型枠(すだれ)、水封入式蒸し機、真空包装機
品質管理のポイント
擂潰中に塩すり身の温度が上昇すると、筋原線維タンパク質が変性して製品の弾力が低下するので、塩すり身の温度上昇に注意する。加熱後は微生物の繁殖を抑えるため低温管理を行う。
製品の形態
150~160g、21センチ程度のものがレギュラーサイズの「なると巻」である。近年では、消費者の需要に応え、70~100gサイズの「姫なると巻」や渦巻き以外の文字、絵柄の商品も製造されている。
包装および保管方法
ラミネートフィルムで真空包装し、賞味期限は未開封状態の冷蔵で10日~20日間程度、冷凍では半年から1年程度の長期保存が可能な商品もある。
調理方法および食べ方
業務用のラーメンやうどんの具材として用いられる。地元ではおでん種として使われる。家庭ではおでん、ちらしずし、炒め物、茶碗蒸しなどの材料に使われる。
コラム
「なると巻の渦巻き」
なると巻の起源ははっきりとはしないものの、1864年にまとめられた「蒟蒻百珍」という書物にすでに記載がある。なると巻の渦巻きは古来「無限」、「成長」、「生命」のシンボルとされていた。今日は渦巻きだけでなく「寿」や富士山、パンダの図柄など様々な模様や色のものがあり、見た目も楽しめる。
(著者:静岡県水産・海洋技術研究所 望月 万美子・鈴木 進二)
