黒はんぺんとは
黒はんぺんはねり製品の一種で、300年以上の伝統があるといわれる静岡県の特産品である。主原料として地元で漁獲されるサバ・イワシなどの赤身魚を使用している。一般的なねり製品では、採取した魚肉(落とし身)を水晒しして用いることが多いが、黒はんぺんでは水晒し処理を行わないため、製品の色が灰色で、足がやや弱く、もろいこと、また魚肉本来の風味が強く残っているのが特徴である。
主な生産地
主に焼津市周辺
原料選択のポイント
主な原料として、地元で獲れるサバ・イワシが用いられる。近年ではマサバ、マイワシの水揚げ量が減ったため、ゴマサバが主体となっている。
原料魚の脂質含量が高いと擂潰機中で魚肉が滑り、擂潰しにくい。逆に脂質含量が低ければ擂潰しやすいが、製品のうま味が落ちる。このため、漁獲時期の異なる原料魚を組み合わせて適度な脂質含量になるように調節する。また、スケトウダラの冷凍すり身を少量加える場合もある。
加工技術
赤身魚の落とし身に塩、でん粉、その他調味料を加えて擂潰した後、成形して湯煮する。塩を加えて擂潰した塩すり身は加熱することによりゲル化し、同時に殺菌される。
製造工程の概略

加工の実際
- 解凍 加工の6~12時間前から自然解凍を行う。気温により解凍時間を調節する。
- 採肉 半解凍状態で頭と内臓を除去した後、チョッパーで処理し、落とし身にする。採肉機で採肉した後、チョッパーにかけることもある。
- 擂潰・調味 落とし身に塩、でん粉、水、砂糖、調味料、保存料などを加え、擂潰する(写真1)。保存料としてソルビン酸カリウム製剤を添加するが、使用は夏季に限定し、冬季は使用を控える場合が多い。水を加える際は、すり上がり温度が上昇しないよう氷を加える。
- 成形 すり上ったすり身を自動成形機のドラム式の回転型枠に送り込み、押し出して成形する。約7,000枚/時の処理が可能である。
- 加熱 自動成形機からはんぺん型に成形されたすり身は直接湯の中に落ちるようになっており、90~100℃で約5分間湯煮する(写真2)。加熱時間はコンベヤー等の駆動装置のスピードで調整する。
- 冷却 室温で冷却する(写真3)。
写真①-1024x772.jpg)
写真②-1024x773.jpg)
写真③-1024x774.jpg)
加工に用いる機器等
チョッパー、擂潰機、自動成形機
品質管理のポイント
擂潰時の塩すり身の温度上昇に注意するとともに、加熱後は微生物の増殖を防ぐために速やかに冷却し、低温管理することが重要である。
製品の形態
製品の厚さは5~20㎜程度である。厚さ・重量の違いにより大、中、小の3つのサイズの製品が生産され、5~10枚単位で包装される。土産物向けの商品は真空包装後に二次殺菌を行い、保存性を高めている。パン粉をつけて揚げるだけでフライにできる黒はんぺんフライも製造されている。
包装および保管方法
賞味期限はフィルム包装等の簡易包装品で5日間、真空包装した後、二次殺菌した製品では約4週間である。
調理方法および食べ方
しょうゆ、わさびなどをつけてそのまま食べる(写真4)。軽く焙ったり、フライにして食べることもある。おでん種にも使われる。
写真④とイメージ-1-1024x729.jpg)
(著者:静岡県水産・海洋技術研究所 望月 万美子・鈴木 進二)
