揚げかまぼことは
魚肉を食塩とともにすり潰し、副原料を加え加熱して作られるねり製品のうち、油で揚げて加熱(油ちょう)したものが揚げかまぼこである(写真1)。
揚げかまぼこの生産量は、ねり製品全体の生産量の約3割を占め、最も多い。スケトウダラ冷凍すり身やタチウオ、エソ、グチ、アジ、イトヨリダイなどを原料として揚げ色をつけない「白揚げ」、魚肉すり身にタマネギ、ニンジン、ゴボウなどの野菜を加えて揚げた「野菜揚げ」、「ゴボウ巻き」や「イカ巻き」などのような野菜や海鮮を巻いた「巻物」など、いろいろな味や形が楽しめる。また、全国各地で特徴的な製品が生産されており、代表的な例として、鹿児島県の「さつま揚げ(つけ揚げ)」、愛媛県の「じゃこ天」、宮崎県の「飫肥てん」、徳島県の「フィッシュカツ」、沖縄県の「チキアギ」などがあげられる。
ここでは、魚肉すり身に調味料を加え、成形して素揚げした一般的な揚げかまぼこについて解説する。

主な生産地
宮城県ほか全国各地
生産と消費の動向
揚げかまぼこの生産は、主原料となる冷凍すり身の価格高騰や、包装資材、燃料、人件費等の上昇の影響を受け、製造各社は販売価格への添加や生産調整を余儀なくされている。特に販売価格改定については、食品価格の値上げが長年抑制されてきたこともあり、容易に実施できてはおらず厳しい現状にある。生産量については長期的には減少傾向であるものの、比較的安定している。
揚げかまぼこは、暮らしの中で広く親しまれており、家庭の食卓、おやつ、酒のつまみ、そして観光土産、ギフト商品としての人気も高い。
原料選択のポイント
約50年前までは各社が前浜で獲れた原料を用いて、調理、水洗い、採肉、水晒し、脱水等の工程を通じて製造したすり身を製造し使用していたが、現在では国内外で生産された冷凍すり身(スケトウダラなど)を使用することが多い。製造方法、保管状態、原料の採取時期や場所等で冷凍すり身の品質は変化するので、事前に品質確認をすることが望ましい。
揚げかまぼこは、すり身に食塩、砂糖、でん粉、卵白などを添加し製造している。このうち、でん粉はバレイショ、小麦、タピオカなどのものを使用し、全体の5~10%になるように加えていることが多い。
加工技術
魚肉に2~3%の食塩を加えてよくすり潰すと、魚肉中の塩溶性タンパク質が溶解し粘性の強い肉糊ができる。この肉糊を加熱すると弾力を有するゲルが形成される。肉糊の加熱を油ちょうで行うものが、揚げかまぼこである。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 現在は、国内外で生産される冷凍すり身が主に使用されているが、一部地域では現在でも自社で魚を捌きすり身を製造し使用しているところもある。
- 擂潰・調味 すり身を石臼またはサイレントカッター等に投入し、魚肉のみをすり潰す「荒(粗)ずり(空ずり)」、塩を加えてすりあげる「塩ずり」、調味料等を加えて混合して練り上げる「仕上げ(本)ずり」を行う。野菜などの副原料を加える場合は本ずり時に投入するか、あるいは本ずり後、ニーダー(混練機)などで混ぜる。
- 成形 調味すり身を丸型や四角型等に成形するほか、巻物類の場合は、ごぼうやイカ、うずらの卵やウインナーなどを調味すり身で巻く。特に魚肉の弾力感を強く出したい製品については、練り上げた調味すり身を、原料や製品目的に適した特定の温度に静置する「坐り」を行う。このとき、固まって流動性を失う製品については、型などに調味すり身を入れてから坐らせたり、ブロック状に坐らせた調味すり身をカットするなどの方法で成型する。成型が終わった製品は、加熱工程に移る(写真2)。
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- 加熱(油ちょう) フライヤーを使用して二度揚げを行うことが多い。油ちょうは揚げるものの種類や厚さによって異なるが、一般的には初め120~130℃で約2分間、次いで160~170℃で約2分間の計約4分間で揚げる(写真3,4)。
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- 脱油・冷却 加熱(油ちょう)直後にかまぼこ表面の余分な油を脱油機で除去する。脱油は冷却前に振動や吸着マット等の使用により行うことが多いが、製品によっては脱油をしない場合もある。脱油後は冷却室やトンネルフリーザー等を通すことで、製品温度を下げ、包装後に冷蔵、または冷凍保管する(写真5,6)。
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加工に用いる機器等
石臼、サイレントカッターまたはボールカッター、ニーダー(混錬機)、フライヤー、成型機、脱油機、トンネルフリーザーまたはコンベア式放冷機、ピロー包装機、ストレッチ包装機あるいは真空包装機 など
品質管理のポイント
揚げ物の中心部まで十分加熱(中心温度75℃以上、1分間以上)するように加熱温度を調整する。また、揚げかまぼこを作るには揚げ油が重要となるため、使用する油の種類(大豆油、菜種油等)を吟味することと、油の劣化指標である酸価(AV: Acid Value)などに注意する必要がある。
製品の形態・包装等
一般家庭の消費用として発泡スチロール製トレーにパックされているものや、ポリエチレン等の袋詰めになっているもの、おでんセットの中におでん種として詰められているものがある。以前は業務用として発泡スチロール製箱や段ボール製箱に直接バラ詰めされていたものもあったが、現在は衛生面を考慮しポリエチレンの袋などに入れたのち、発泡スチロールまたはダンボール製箱にバラ詰めするものが増えている。また、近年は常温保存可能なレトルト包装品も増えている。
調理方法および食べ方
そのまま食べたり、なべ物やおでん種のほか、炒め物や煮物料理等の具材にするなど、多くの用途がある。
(著者:宮城県水産技術総合センター 阿部 真紀子、菅原 幹太)
(取材協力者:株式会社 阿部善商店)
