伊達巻・厚焼・梅焼とは
白身魚の魚肉に鶏卵と砂糖を混ぜて焼いた伊達焼を、巻いて棒状にしたものは「伊達巻」(関西以西では「の巻」または「トラ巻」などともいう)(写真1)、巻かずにそのままのものは「厚焼」と呼ばれている。また、梅の花の型に流し込み焼いたものは「梅焼」(写真2)と呼ばれる。伊達巻は、関東では甘味が強く、関西から西に行くに従って、甘味が薄くなる傾向がある。
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生産と消費の動向
伊達巻は、全国的な商品でどの地域においても見られる。関東では正月のおせち料理として消費されることが多い。厚焼きは、関西以西で多く生産されており、関西では大阪寿司に使うこともある。梅焼は関西特有のもので大阪を中心に生産されている。
原料選択のポイント
もともとはヒラメを主原料として用いたが、現在では、スケトウダラ冷凍すり身、グチ、ハモやエソなどの白身魚の生鮮魚またはそれらの冷凍すり身が使用されている。かまぼこの特徴である弾力はそれほど必要ではなく、ソフトな食感を楽しむかまぼこの一つであるが、鮮魚であれば鮮度の良い原料、冷凍すり身であれば品質の良いものが使用される。また、鶏卵も原料の一つとして使用されるが、これも新鮮なものほど風味よくできあがる。さらに、甘味をつけるために砂糖も使われ、関東ではさらに水あめ等を用いることもある。
加工技術
魚肉すり身の調製方法やすり身の擂潰方法については、他のかまぼこの製法と変わりがない。大きく異なる点は、鶏卵と砂糖などの甘味料をふんだんに使い、ソフトな食感に仕上げることと、金属製の焼なべに調味したすり身を入れた後、焼き抜く手法である。
製造工程の概略
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加工の実際
- 原料 現在ではスケトウダラなどの冷凍すり身が主原料であるが、高級品にはグチ、ハモ、ヒラメなどの生すり身が用いられる。伊達巻の配合比率は、関東と関西では異なり、関東では魚肉(すり身)1:鶏卵1:砂糖1が基本であるが、関西以西では関東に比べ魚肉の配合割合が多くなり、甘味が弱くなる傾向があり、魚肉(すり身)3 :卵黄1.5:砂糖1が基本となっている。
- 水晒し ハモやヒラメなどを使う場合には、魚の味を生かすために水晒しは行わない。
- 擂潰 塩ずりしたすり身に、鶏卵、砂糖または水あめ、でん粉および調味料を加えて仕上げる。焼鍋を使って焼き上げるため、かまぼこや焼ちくわの調味すり身よりもかなり粘度を低く仕上げる。起泡剤を加えて浮かし、ふわっとソフトに仕上げる場合もある。
- 成形 伊達巻と厚焼は、内側にテフロン加工を施した金属製の長方形もしくは正方形の焼鍋に流し込む。
- 加熱 焼鍋ごと焙焼機に入れ、ガスまたは電熱で上下から焼き上げる。
梅焼は型に入れたまま鉄板の上で、上下ひっくり返しながら焼き上げるか、焼鍋に型をいれ、これにすり身を流し込んで焙焼機で焼く。
- 整形 伊達巻は、焼きあがった厚焼きをすぐに竹の巻き簾で巻き込んで棒状に成形し、そのまま冷却する。厚焼は巻き込まないでそのまま冷却する。
- 包装 厚焼き・梅焼はフィルム包装、伊達巻はフィルム包装をしたのち、プラスチック等ののすだれを巻く場合が多い。
加工に用いる機器等
一般的な採肉機、脱水機および擂潰機に加えて、焼鍋、焙焼機を用いる。
品質管理のポイント
関東の伊達巻は糖度が高く、厚焼と梅焼はあぶり焼くので表面が乾燥していることから、ねり製品の中では比較的日持ちする商品であり、10℃以下の保存温度での賞味期限は、簡易包装では製造日から2週間程度、脱気包装製品では20日程度である。カビの発生を防ぐために、低温保存は不可欠である。また、伊達巻と厚焼・梅焼は砂糖や水あめを使用するため、一般的なかまぼこよりも糖分が多く(表1)、冷凍保存が可能である。

製品の形態・包装及び保管方法
伊達巻の形態は、関東では関西に比べて肉厚で(厚さ15㎜程度)、関西ではやや薄く 10㎜程度である。厚焼は、関西以西では肉厚になる。九州ではカステラとも呼ばれ、5cm以上のものもある。包装は厚焼きおよび梅焼はフィルム包装や三方ピロー包装のものが多く、伊達巻は、フィルム包装や脱気包装をしたものに、プラスチックや麦稈(麦わら)製のすだれを巻いているものが多い。
表示については、加工食品の品質表示基準に係る表示とともに、原材料に鶏卵を使うことから、アレルギー物質表示が必要となる。
特徴的な成分
伊達巻は砂糖や水あめを添加するので、一般的なかまぼこよりも炭水化物(糖質)を多く含んでいる(表1)。
調理方法および食べ方
伊達巻は、1~1.5cm程度に切ってそのまま食べる。麺類の具材としても使われる。厚焼きは、そのまま食べてもよいが、大阪鮨の巻き皮にすることもある。梅焼もそのまま食べるのがおいしいが、大阪おでんの具材として使われることもある。
(著者:元全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会蒲鉾研究所:石内 幸典)
