極み干しとは
極み干しとは、新潟県村上市桑川に位置する「笹川流れ地魚処天ぴ屋」で製造販売される地魚の干物である。
通常の干物とは異なり、天日干し後に加圧加熱工程を経るため骨まで丸ごと食べられるという特徴がある。原料は低未利用魚を含め魚種やサイズを限定せず、季節ごとに水揚げされる地魚を用いる。調味方法は塩干し、醤油干し、南蛮漬けなど商品ごとに様々である。魚料理の時短、ゴミの削減、水産資源の有効利用などにつながることからメディアで取り上げられることも多く、同社の看板商品となっている。
主な生産地
新潟県村上市桑川地区
生産の動向・消費の動向
極み干しは「天ぴ屋」のオリジナル商品であり年間を通して製造されるが、その生産量は水揚げ量に左右されるため不定である。魚種はアジ、サバ、イワシなど10種類以上のラインナップがあり、令和7年度にはエソが新たに加わっている。顧客は観光客が主で、店頭販売のほか県内の道の駅やオンラインショップ、ホテル等での取り扱いがある。
原料選択のポイント
板曳網、底曳網、定置網漁業で水揚げされた高鮮度の地魚を用いる。一般的に干物に向かないとされる魚種や規格外の個体なども含め、ほとんどの魚種が原料となり得る。
使用する副原料
砂糖、食塩、酒、酢、醤油、みりん ほか
加工技術
加圧加熱による骨の軟化により、干物でありながら骨を取り除かずに喫食が可能となっている。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料魚 桑川地区で水揚げされた高鮮度の地魚を用いる。資源の有効利用の観点から魚種やサイズは限定していない(写真1,2)。
- 前処理、凍結 水揚げされた地魚はすぐに頭、内臓、鱗を除去したドレスの状態に処理し(写真3)、流水でよく洗浄する。容器に並べ-25℃で冷凍保管する。
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- 二枚おろし、調味 凍結したドレスを冷蔵庫で1晩かけ解凍する。中骨の付いた状態で二枚におろし鰭を除く。商品ごとにそれぞれ独自の調味料の配合で調味する(写真4)。
- 天日干し 調味した原料を干し網に並べ、3時間~1日間程度天日で乾燥させる。扇風機で送風し乾燥を促す(写真5)。
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(提供:水産海洋研究所)
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(提供:水産海洋研究所)
- 加圧加熱 飽和蒸気調理機で高温加熱することで殺菌に加え骨を軟化させる。魚種やサイズにより加熱条件を細かく変えている(写真6)。
- 焼成 生臭みを取り除くため、皮目を上にしてスチームコンベクションオーブンで一定時間焼成する。魚種やサイズにより加熱条件を細かく変えている(写真7)。
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- 包装 冷蔵庫等で冷却後、脱酸素剤を封入し真空包装機で包装する(写真8)。
- 製品 梱包して出荷する。
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加工に用いる機器等
冷凍庫、冷蔵庫、飽和蒸気調理器、スチームコンベクションオーブン、真空包装機 等
品質管理のポイント
原料の鮮度を保持し品質劣化を防ぐため漁獲当日にドレス処理して凍結する。
特徴的な成分
骨を軟化させ骨ごと食することができるよう加工しているため、カルシウムを通常の干物の10倍以上含有している(例 極み干し:850mg/100g、通常の天日干し:70mg/100g)。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)
包装及び保管方法
製品は脱酸素剤を封入後、真空包装して販売している。製品はチルドで約6か月、冷凍で約1年間保存可能である。
調理方法および食べ方
加熱してそのまま総菜として食べられる。また、炊き込みご飯の具などとしても用いられる(写真9)。
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(著者:笹川流れ地魚処天ぴ屋 渡辺 美紀子、新潟県水産海洋研究所 小林 将也)
