細工かまぼことは
彩色を施し鯛、富士山、鶴、亀、海老、宝船、扇子、松竹梅などを象ったかまぼこである。主に絞り出しによって加工されている。富山県では「飾りかまぼこ」とも呼ばれ、結婚式をはじめ慶祝事に欠かせないものとして県民に親しまれている。
(本文末尾のコラム「めでたさのお裾分け」もご参照ください。)
主な生産地
富山県、島根県
生産の動向・消費の動向
細工かまぼこは、基本的に慶祝事ごとの注文生産であり、年によって変動があるが、2003(平成15)年には年間約840tの生産があった。近年は慶祝事向けの生産量は漸減しているが、サイズの小さい製品が土産物としてデパートなどで販売されるようになった。
原料選択のポイント
現在はスケトウダラ冷凍すり身を主体に使用しているが、富山湾で水揚げされた魚を一部使用することもある。その場合は、鮮度が良く、脂質の少ない魚を使用する。
加工技術
擂潰までの工程は、一般のかまぼことほとんど同じである。擂潰した肉糊を型枠に詰めて成形し、食用色素を混合した肉糊を絞り出して細工している。坐りをかけないため独特の食感になっている。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料魚 ハマチ(フクラギ)、カマス、ニギス、グチ、トビウオ、ホッケ、シイラ、カジキなどを使用する。
- 原料混合 スケトウダラ冷凍すり身に対し生すり身を5~10%混ぜる。そのほか、塩、アミノ酸、でん粉、卵白を混合する。
- 成形 擂潰した肉糊を平たく延ばし、鯛や富士山等の型枠を押しつけ、型枠に詰める。
- 蒸煮(1回目) 90~95℃で10~30分間蒸煮する。大型の製品では、蒸煮時間を60~90分間とする。
- 細工 蒸煮した下地に食用色素を塗布した後、型を使って模様を入れたり、肉糊の絞り出しによって細部の細工付けを行う(写真1)。
)写真①-1024x360.jpg)
- 蒸煮(2回目) 95℃で1~2分間蒸煮する。
- 包装 冷却後、真空包装する。
- 殺菌 90℃前後で10~15分加熱する。
加工に用いる機器等
擂潰機(サイレントカッター)、成形機、蒸し器 等
品質管理のポイント
大型のものでは加熱工程(蒸煮)における中心温度(75℃以上)の管理に注意する。また、真空包装では、形状が複雑なため真空になりにくい部分があるので、賞味期限は通常の真空包装製品よりも短い。
製品の形態
彩色を施した鯛、富士山、鶴、亀、海老、宝船、扇子、松竹梅などの形状で引き出物や土産物に用いられる(写真2~4)。
)写真②とイメージ.jpg)
(提供:㈱富山ねるものコーポレーション)
)写真③-769x1024.jpg)
(提供:㈱富山ねるものコーポレーション)
)写真④-1024x682.jpg)
包装および保管方法
真空包装して10℃以下で保存する。賞味期限は2週間程度である。
調理方法および食べ方
切り分けて一般的なかまぼこと同様に食べる。
コラム
「めでたさのお裾分け」
富山県の細工かまぼこは婚礼の引き出物には欠かすことのできないものである。婚礼用以外にも入学祝い、新築祝い、祭事など、幅広く利用されている。また、お裾分け(お福分け)として、細工かまぼこを切り分け、めでたさを親戚、友人、知人、隣人に分かち祝う習慣が現在も続けられている。
(著者:富山県農林水産総合技術センター食品研究所 原田 恭行・同水産研究所 小善 圭一)
