むくりぶなとは
むくりぶなとは、フナを背開きにしてめくり、素焼きした後、二度揚げ(一度目は低温、二度目は高温で揚げる調理法)して甘辛いタレで味付けしたものである(写真1)。山形県置賜地方の方言で「めくる」ことを「むくる」というため、「むくりぶな」と名付けられたと言われている。同地方の郷土料理であり、江戸時代にはすでに生産され、珍味として将軍家に献上されていたとの言い伝えもある。また、背から開くため「開運」に因み、祝い事や正月料理として愛されている。
写真①-1024x374.jpg)
主な生産地
山形県置賜地方および山辺町の一部地域
消費の動向
以前は正月料理として、置賜地域周辺のみの消費であったが、近年は山形県全域および宮城県、福島県などの東北地方にも消費が及ぶようになった。これは正月料理としての自家消費から、贈答用として購入する消費者が多くなったからであると考えられる。また、販売期間にも変化があり、冬季のみの販売から通年を通した販売にシフトし、より多くの消費者に置賜郷土料理の味を伝えている。
原料選択のポイント
骨がやわらかく消費者に好まれる0年魚(その年に生まれた1年未満の魚)を選択するのがポイントである。また、製品にした際の見た目や歩留まりの良さから、体高の高いものを選ぶのが良い(写真2)。原料魚の選定基準は、体長7㎝以上である。
写真②-1024x526.jpg)
加工技術
生きたフナの背から包丁を入れ、背びれに沿って尻尾から頭まで一気に裂き、内臓を除去し水洗いした後、背骨を折りながらめくる。素焼きと二度揚げにより水分を飛ばし、骨まで食べられるようにする。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 加工に必要な量のフナを自身の養殖池から水揚げするか、あるいは他業者から購入する。フナの水揚げは給餌が終了する10月以降に集中する(写真3)。
- 選別 体長7㎝以上のフナを集約する。
- 蓄養 飼育水とは異なる清涼な水に無給餌で飼育し、体表および腸内を清浄化する。
写真③-1024x656.jpg)
(提供:山形県内水面水産研究所)
- 捌き 尾から頭部にかけて一気に背開きしする(写真4)。
- 内臓除去 内臓を除去する。
- 洗浄 真水でよく洗う(写真5)。
- むくり 背骨を横に二つに折りながらめくり(写真6)、次の工程である素焼きに使う網の上に並べる(写真7)。
写真④-793x1024.jpg)
写真⑤-793x1024.jpg)
写真⑥-791x1024.jpg)
(提供:山形県内水面水産研究所)
写真⑦-791x1024.jpg)
(提供:山形県内水面水産研究所)
- 素焼き 皮目から焼き色を見ながら両面を焼く(写真8)。
写真⑧-1024x745.jpg)
- 揚げ1回目 低温で揚げる(写真9)。
- 冷やし 二度目の揚げに備え冷やす(写真10)。
- 揚げ2回目 高温で揚げる(写真11)。二度揚げし、水分を十分に飛ばす。二度揚げの工程の間に一度冷やすことで水分を十分に飛ばす。
写真⑨-1.jpg)
(提供:山形県内水面水産研究所)
写真⑩.jpg)
(提供:山形県内水面水産研究所)
写真⑪.jpg)
(提供:山形県内水面水産研究所)
- タレ付け 二度揚げ直後、魚体の熱が冷める前にタレにからめることで、タレの締まりが増す(写真12)。
- 製品化 フナのサイズ、重量、向きを揃えて包装する。
写真⑫-769x1024.jpg)
加工に用いる機器等
ガス赤外線グリラー、ガスフライヤー、真空パック機 等
品質管理のポイント
油の酸化等の品質劣化を防ぐため、保存は冷凍で行う。
製品の形態
主に内容量100gまたは200gの規格で販売する。大型のフナを用い、4等分にカットした製品も生産・販売する場合もある。
包装および保管方法
専用の容器(写真13)で包装する。または、内容量200gの規格や大型のフナの場合は真空パックして包装する(写真14)。保存は冷蔵で行う。
写真⑬-1024x768.jpg)
写真⑭-768x1024.jpg)
(提供:山形県内水面水産研究所)
調理方法および食べ方
頭から尻尾まで、骨もすべて食べられる。おやつ感覚で食べたり、料理の一品として他の料理と一緒に食べてもおいしい。製造者が推奨する食べ方は、酒のつまみとして食べることである。特に日本酒に良く合う。
(著者:山形県内水面水産研究所 伊佐早 皓太)
(情報提供:山形県川西町 玉庭水田養魚研究会)
