さんまみりん干しとは
さんまみりん干しとは、頭を除去して腹開き(又は背開き)にしたサンマを醬油、みりん、砂糖、水飴、食塩等で作った調味液に漬け込み、乾燥させたものである(写真1)。イワシの不漁をきっかけに、イワシみりん干しの代わりにみりん干しには不適とされていたサンマを用いて作るようになった。砂糖が不足していたことなどともあいまって消費量が伸びた。その後の高度成長期においても消費は多く、作れば売れる時代が続いた。その後、健康食品ブームなどにより、ソフト化、低塩、低カロリーなどが重視され、固くて甘い従来のみりん干しの生産量は減少し、代わりに消費者ニーズに合わせた乾燥を控えた柔らかい製品が作製されるようになった。
(本文末尾のコラム「さんまみりん干しを始めた人」もご参照ください。)
写真①とイメージ-1024x705.jpg)
主な生産地
岩手県、宮城県、福島県、千葉県等
原料選択のポイント
鮮度が重要で、製品の品質を左右する。丸干しに適した大きさは100~150g程度のもので、適度に脂の乗ったものが良いとされる。一般に周年加工するために冷凍原料が使われる。
使用する副原料
みりん、醤油、砂糖、水飴、食塩、白ごま、でんぷん 等
加工技術
調味液に浸漬し、干すことで脱水し水分活性を低下させることにより、酵素活性及び微生物の活動を抑制し、保存性を付与したものである。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 新鮮なサンマを一度冷凍し、解凍して用いる。一度冷凍し解凍することで調味液をしみ込みやすくする。
- 頭切り、腹開き どちらも機械で行うため、原料サイズを揃えて並べることが歩留まり向上のために必要である(写真2)。
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- 中骨・内臓除去 中骨の尾部寄りの約1/3を残して取り除く。すべて取り除くメーカーもあるが、歩留まりが悪くなる上、焼いた後持ちづらい等の理由で残す方が多い。
- 水洗い・水切り 冷水中で洗浄、鱗や夾雑物を除去する。
- 調味液漬け込み 漬け込みは、魚に調味液を良くしみ込ませるため、容器に入れて低温で 1週間漬け込む。型網に並べ、網を数段重ねた状態で調味液の入った容器に漬け込むところもある。
- 乾燥 乾燥機を用いて、25℃前後で2日間乾燥させる。乾燥途中で2~3回手返しを行い、乾燥を促進させるとともに魚体が網に固着するのを防ぐ。原料の状態を見ながら、乾燥が一定になるよう気を付ける。
- つや出し塗布 風味を閉じこめ、製品の輝きを出すため表面にデンプン液を塗布する(写真3)。
- 白ゴマ散布 つや出し塗布直後に白ゴマを散布する(写真4)。
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写真④-1024x891.jpg)
- 乾燥 塗布したデンプン液が固まるまで乾燥させ、冷蔵する。
- 包装 真空包装、ピロー包装、発泡スチロール箱に並べラップ包装などを行う。
- 製品 梱包して出荷する(写真1,5)。
写真⑤-1024x704.jpg)
加工に用いる機器等
フィレマシン、乾燥機、冷蔵庫、冷凍庫、ピロー包装機 等
品質管理のポイント
日持ちは冷蔵庫で3~7日間程度、微生物の増殖に注意する。-20℃で冷凍する場合、賞味期間は約1か月間、脂肪の多い腹部の油焼けに注意する必要がある。
健康機能性成分
原料となるサンマにはEPAやDHAが豊富に含まれている。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)
製品の形態
製品は、2kg箱で出荷することが多いが、土産品店用に1kg箱や500g入りのかご包装もある。
1尾ずつ包装し、1尾売りとしているところもある。
包装および保管方法
真空包装、ピロー包装、発泡スチロール箱に並べラップ包装、冷凍保管される。
調理方法および食べ方
軽くあぶって温かいうちに食べるのが通常である。冷めると固くなる製品が多い。直接火であぶるときは、火加減に気を付けないと焦げてしまう。一口大に切って、ホットプレートで焼くと焦げにくく煙も出ず、食べやすい。ご飯のおかずや酒の肴としてそのまま食べるほか、蒲焼きのたれ等で味付けしたさんま蒲焼き丼やてんぷら、茶漬け(焼いてからほぐしてご飯にのせ、お茶をかける)、卵焼き、チャーハンの具等、いろいろと美味しい食べ方がある。
コラム
「さんまみりん干しを始めた人」
千葉県銚子市から福島県いわき市小名浜に来た安川市郎氏が、戦前、イワシのみりん干しを作っていたが、1946年頃からイワシが不漁となったことから、多く漁獲されるようになってきたサンマに目を付け、研究を重ね、1948年に製品化に成功した。その後、加工技術が普及し、小名浜で多くの人が着手するようになり、生産量が日本一となった。
(著者:福島県水産海洋研究センター 守岡 良晃)
(協力:有限会社 マルデンタ)
