塩蔵たらとは
原料にマダラ・スケトウダラを用い、塩漬けによる長期の保存を目的として、古くから製造されてきた加工品である。「ぶあたら」とも称され、過去には長期保存をするため15~20%の塩水で処理し、4~5%の高塩分の製品であったが、現在は、消費者の健康志向を反映して1~3%の低塩分製品が主流となっている(写真1)。
(本文末尾のコラム「ぶあたらの語源」もご参照ください。)
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主な生産地
宮城県、北海道
生産の動向
全国の塩蔵たらの生産量は、令和2年は10,591tまで減少したが、令和4年には約11,372tと増加傾向がみられる。そのうち、宮城県の生産量は9,307tと約80%を占めている(図1)。

原料選択のポイント
アメリカおよびロシア等からの輸入原料が主体となっていたが、近年では北海道、三陸産の国産の原料の主体となっており、頭部・内臓を除いたドレス・フィレーの状態で、急速凍結したマダラが使用されている。
加工技術
塩蔵品の多くは、塩の浸透作用により脱水し水分活性を低くすることで、貯蔵性を向上させることを目的としてきたが、低塩化傾向にある現在は、貯蔵性よりも風味や色調の改善に主眼が置かれている。
製造工程の概略

加工の実際
- 三枚おろし タラの脊椎骨は三角形を呈しており、他の魚種に比べおろし方に技術を要する。このため従来は人力による作業が中心であったが、現在では多くの企業でタラ用フィレマシンが導入されている。
- 整形 フィレーの黒い腹腔膜を除去するとともに、縁辺部を除去し整形する。
- 塩漬け 塩漬けは、加工業者により振り塩漬けまたは立塩漬けにより行われる。立塩漬けの場合は2~5%の塩水に漬け込み、製品の塩分量が1~3%程度となるよう、外気温や天候等により漬け込み時間を調整する。
加工に用いる機器等
フィレマシン
品質管理のポイント
タラ類には、しばしばアニサキスが確認されるが、本製品は凍結原料を用いることから人的危害はない。しかし、これら寄生虫の存在は消費者に不快感を与えることから、各工程で十分注視し視認されたものは取り除く(写真2)。
また、塩蔵たらは、製造工程中に加熱工程がなく、また、現在の製品は塩分濃度が低いことから、製造工程中の菌の増殖を抑えることが大切であり、製品の出荷から販売まで、冷凍またはチルドにより流通上の温度管理を徹底し、品質の保全に努めている。
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製品の形態
フィレーは主に業務用として発泡スチロール箱に5~10枚入れとし出荷される。また、切り身は一般的に60~120g程度に切り分けられ包装される。さらに、用途は限られるが、鍋物用として30g程度の小型ブロックの製品形態もある。
包装および保管方法
業務用は発泡スチロール箱に箱詰めされ、小売用はトレイに並べラップ包装とする。
また、近年は小売用にレンジアップ商品として包装される場合がある(写真3,4)。
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(提供:阿部真紀子)
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(提供:阿部真紀子)
コラム
「ぶあたらの語源」
塩蔵たらは昔から「ぶあたら」といわれているが、その語源は江戸時代の蘭学者杉田玄白が「解体新書」に記載の「腑分けに由来する」説と、「タラの内臓が、フワフワしていることによる」説などがある。
参考文献
・農林水産省大臣官房統計部.平成26年~令和4年水産加工統計調査結果.「農林水産統計」; https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/suisan_ryutu/suisan_kakou/index.html
(2024年10月8日参照)
(著者;宮城県水産技術総合センター 阿部 真紀子、三浦 悟)
(協力:株式会社 マルケン菊地商店)
