昆布巻きかまぼことは
昆布巻きかまぼこは、長方形に成形して広げた昆布の上にすり身を薄くのばし、渦巻き型に巻いたかまぼこで、板がないのが特徴である。板を使わない巻きかまぼこは、江戸時代に北前船で運ばれてきた昆布を板の代わりに使ったことが始まりとされる。
(本文末尾のコラム「巻きかまぼこの今昔」もご参照ください。)
主な生産地
富山県
生産の動向
最近のかまぼこ類の生産量は約3,000トンで推移していたが減少傾向である。
原料選択のポイント
主にスケトウダラなどの冷凍すり身を原料としている。冷凍すり身に生すり身を混合して原料とする場合もある。生すり身の原料はエソ、ニギス、トビウオ等、富山県沿岸で漁獲された鮮度が良く脂質の少ないものを用いる。
使用する副原料
塩、調味料(アミノ酸)、でん粉、卵白、砂糖、みりん等を混合する。
加工技術
かまぼこの製造工程は一般の場合とほとんど変わりないが、生すり身の原料として赤身の魚を用いる場合はアルカリ晒しすることでpHを中性付近に調整し、ゲル形成能の改善を図っている。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料魚 生すり身の原料魚としてはエソ、タチウオ、ニベ、キンキ、ニギス、グチ、 トビウオ、ホッケ、シイラ、カジキ等を使用する。
- 原料混合 スケトウダラ冷凍すり身に生すり身5~10%を混ぜる。色、味を考慮して配合割合を変える。スケトウダラ冷凍すり身だけの場合もある。
- 擂潰 塩を加えて塩ずりした後、副原料として調味料(アミノ酸)、でん粉、卵白、砂糖、みりんを混合する。
- 昆布巻き成形 昆布は、乾燥昆布を水にくぐらせ、昆布巻きの幅に合わせて切断した後、湿らせるため1日~2週間程度冷蔵したものを用いる。広げた昆布の上に上記の調味すり身を薄く延ばし、渦巻き型に巻く。巻き成形は少量の場合は手作業で行うが(写真1)、現在では自動化されている。
- 坐り 坐りをかける場合もある。その条件は企業ごとに異なるが、18℃前後で1昼夜置く場合が多い(写真2)。
写真①-1024x682.jpg)
(提供:㈱富山ねるものコーポレーション)
写真②-1024x683.jpg)
(提供:㈱富山ねるものコーポレーション提供)
- 蒸煮 90~95℃で30分間蒸煮する。(写真3)
写真③-1024x684.jpg)
加工に用いる機器等
擂潰機(サイレントカッターなど)、成形機、蒸し器 等
品質管理のポイント
10℃以下での保存が原則である。
製品の形態
昆布巻きかまぼこは、板付けせずに昆布で巻かれている。
包装および保管方法
真空包装では10℃以下で1ヶ月程度、簡易包装では10℃以下で1~2週間程度の保存が可能である。
調理方法および食べ方
一般的なかまぼこと同様にスライスして食べる(写真4)。
同類製品例
類似製品として、富山県民にとっては定番の「赤巻きかまぼこ」がある。赤巻きかまぼこは、昆布の代わりに魚肉で赤い皮を作り(天然色素を使用)、この皮にすり身を薄くのばし、渦巻き型に巻いたかまぼこである(写真5)。
写真④とイメージ-1024x1024.jpg)
(提供:㈱富山ねるものコーポレーション)
写真⑤-1024x769.jpg)
(提供:(有)三権商店)
コラム
「巻きかまぼこの今昔」
富山県で製造されるかまぼこの主体は巻物である。昆布の代わりに、着色したすり身で皮を作り(天然色素を使用)、この皮ですり身を巻いた赤巻、青巻、着色しない白巻などがある。巻物の由来については諸説あるが、室町時代末頃の文献には記載が見られ、当時はすり身を海藻などで巻いていた。すり身の海藻巻きが種々の変遷を経て伝承され、今日に至っているのは富山県のみである。富山県では鉄道が開通する以前から、北前船により北海道との往来が盛んで、元来、昆布を好んで食す文化が根付いている。「昆布巻きかまぼこ」を始めとする巻物が富山で発達した理由は、これらの背景があったためと考えられる。
近年、北海道産の昆布生産量が後継者不足等のため激減しており、富山県のかまぼこ生産メーカーは、原料の昆布の入手が困難な状況(2024年現在)となっている。このため、「昆布巻きかまぼこ」のサイズを小さくする等の工夫がなされているが(写真6)、生産を休止するメーカーも出てきている。富山県伝統の蒲鉾の巻物文化や、日本の和食文化に欠かせない昆布の持続的な生産を行うには、昆布類の漁業生産に携わる後継者確保に向けて必要な対策を講じることが喫緊の課題である。
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(著者:富山県農林水産総合技術センター食品研究所 原田 恭行・同水産研究所 小善 圭一)
