辛子めんたいことは
辛子めんたいこの原料はスケトウダラの産卵前の卵巣で、これを塩漬けにし、調味液で味付け、1~2週間漬け込み熟成したものである。
(本文末尾のコラム(「めんたいこ」の名の由来)もご参照ください。)
主な生産地
福岡県、山口県等
生産の動向
辛子めんたいこの生産量は2005年まで調査されており、2001~2005年の5年平均の生産量は、全国で約2.5万t、福岡県で約1.8万tであり、生産のうち約7割を福岡県が占めていた。2006年以降の辛子めんたいこの生産量は明らかではないが、博多辛子めんたい協同組合に聞き取りを行ったところ、生産量や傾向については大きな変化はないとのことであった。
原料選択のポイント
辛子めんたいこの原料となるスケトウダラの卵巣(以下、「原料」と記述する)のほとんどは、ロシア(カムチャッカ半島近海)やアメリカ(アラスカ近海)などの海外で漁獲された後、冷凍されて国内に輸入されたものである。また、日本でも北海道近海でスケトウダラが漁獲されており、この卵巣が高級品として取り引きされている。原料は製品加工に向いた成熟段階別に分類されており、辛子めんたいこの加工には「真子」と呼ばれる段階の成熟卵が使用され、卵の粒子が多く、粒がつややかで卵膜に傷のないものが最良とされる。一方、「ガム子(未成熟卵)」や「水子(放卵直前の卵で、卵粒間に水が入り込んだ過完熟卵)」と呼ばれるものは辛子めんたいこの加工には不向きとされる。
加工技術
生卵の状態では卵巣内の卵はつぶつぶ感がなく、滑らかな状態であるが、これを塩分の高い一次漬け込み液に一定時間漬け込むことで特有の食感をもつ塩たらことなる。これを辛子調味液で味付けすることで辛子めんたいこがつくられる。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 国内では北海道近海、そのほかはロシア(カムチャッカ半島近海で漁獲)、アメリカ(アラスカ近海で漁獲)から輸入している。
- 解凍 冷蔵庫の中で人が手でつかんでも崩れない状態まで解凍する(写真1)。
- 洗浄 粘液や血管などが付着した原料を低温(10~15℃)の水または約3%の塩水中で手作業で洗浄・除去する。
- 一次漬け込み(塩漬け) 塩に、亜硝酸ナトリウム(発色剤)、アスコルビン酸ナトリウム(酸化防止剤)、着色料、ソルビトール、調味料などを加えた一次漬け込み用調味液を調整し、原料を漬け込む(写真2)。漬け込み後は一定時間ごとに攪拌する必要がある。一次漬け込みには撹拌が容易なように、プラスチック製で反転式の樽を使用する(写真3)。
- 二次漬け込み(辛子調味) 唐辛子、調味料などからなる辛子調味液に漬け込む(写真4)。漬け込みは手漬けが一般的である。ポリエチレン袋やプラスチックバットを使用する。
- 選別 規格ごとに選別する(写真5)。
- 計量 計量器で計量する(写真6)。
- 包装 ポリエチレン袋やトレーなどを使用してパック詰めする(写真7)。
- 製品 梱包して出荷する(写真8)。
写真①-760x1024.jpg)
(提供:㈱やますえ)
写真②-1024x768.jpg)
(提供:㈱やますえ)
写真③-1024x768.jpg)
(提供:㈱やますえ)
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(提供:㈱やますえ)
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加工に用いる機器等
冷蔵庫、回転式漬け込み機、計量器、冷凍庫 等
品質管理のポイント
製品は、原料を厳選し、十分な洗浄作業を行い、よりよい製品を作るとともに、出荷の場合は-18℃以下で冷凍保管し、出荷時には冷凍車を使用する。賞味期限は、10℃以下の冷蔵で約14日間、-18℃の冷凍で約6ヶ月間である。
安全衛生管理のポイント
原料にはアニサキスの寄生が良く見られるため、目視による除去が重要である。
特徴的な成分
辛子めんたいこの一般成分を表1に示した。

製品の形態・包装及び保管方法
包装形態はトレー・ラップ詰めの場合はポリプロピレンや発泡スチロールなどの皿に製品を計量し、シュリンクフィルムでラップをかけ、熱風を吹きかけ収縮包装する。また、スチロール箱詰め、木箱詰め、プラスチック樽詰めの場合はポリエチレン袋などに詰め、箱や樽に梱包する。
冷蔵出荷の場合は10℃以下、冷凍出荷の場合は-18℃以下で保管する。
調理方法および食べ方
辛子めんたいこはそのまま切って食べる以外に、さまざまな料理の素材として活用されている。また、博多をイメージさせる味付けとして土産菓子、いわしめんたいやめんたい蒲鉾、いかめんたいなど辛子めんたいこを使用した加工品も多く作られている。
コラム
「『めんたいこ』の名の由来」
「めんたいこ」という名の由来は、韓国でスケトウダラを乾燥したり、塩漬けしたものを「明太(ミョンテ)」と称しており、「明太(ミョンテ=めんたい)」の子だから「めんたいこ」という名になったといわれている。今や「辛子めんたいこ」は福岡博多の土産物の代表であり、また、さまざまな料理にも活用されるなど、全国的にも有名である。
(著者:福岡県水産海洋技術センター 兒玉 昂幸、篠原 直哉)
