焼あなごとは
焼あなごとは一般的に開いたマアナゴを焼いた後、調味液(たれ)を付けたものをいう。あなご料理にはいろいろあるが、焼あなごは関西方面が主な産地である。
焼あなごは播磨灘や大阪湾沿岸のほか、広島も有名である。広島では宮島周辺で、焼あなごを醤油飯に載せたあなご飯が名高い。焼あなごはうなぎの蒲焼きと違い、たれを付けながら焼くのではなく、まず原料を生醤油に軽くくぐらせた後に焼いて、焼き終わってからたれを絡ませて作っている。(写真1)
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(提供:下村商店)
主な生産地
主な生産地は、大阪府、広島県、兵庫県等である。
統計情報がないため全国的な生産量は不明だが、焼あなごは瀬戸内地方を中心に生産されている。漁獲量の減少により生産量は減少している。7月、12月の贈答時期に生産量が多くなる傾向がある。製品は地方発送のほか、加工業者店頭販売および料理店などに業務用として出荷している。
原料選択のポイント
マアナゴは底びき網や延縄およびかご漁などで漁獲される。焼あなご産地の1つである兵庫県でも漁獲量は減少傾向で、原料は韓国や中国などからの輸入原料を利用している。
原料は活魚、もしくは産地で活け締めされたものを使用する。輸入原料も活魚や、現地で開いた状態まで処理したものを輸入している。
焼あなごの原料は全長40cm前後が最適である。兵庫県では6から7月の梅雨頃(春季の餌料であるイカナゴをたくさん食べたあと)が、最も脂が乗って美味である。 (写真2)
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使用する副原料
醤油、みりん、酒、化学調味料など
加工技術
焙焼によって、栄養成分を封じ込め、香ばしさを与える。また、加熱することで日持ちを良くするとともに、微生物危害を防ぐ。さらに調味液を絡めることにより風味を増す。鮮度の良い原料魚を仕入れ、素早く加工することが重要である。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 アナゴは全長約40cmで、活魚もしくは産地で活け締めされたものを使用する(写真2)。
- 選別 大きさをそろえるため、選別する。
- 目打ち アナゴを開く作業がしやすいように、目打ち(目に打ち込んで固定する道具)を原料の下顎から頭部に貫通させて、5尾ずつぐらいにまとめる。
- 内臓除去 目打ちをまな板に立てて固定し、腹部に包丁を入れ内臓を除去する。内臓のうち、肝臓は「あなご肝の佃煮」として利用する。
- 洗浄 原料のぬめりや内臓片等を除去するため、原料を洗浄する。
- 開き 一般的にウナギと同様、関西では腹開き、関東では背開きにされる。開いた後、背骨を除去する。その後、目打ちを外して下顎に包丁を入れ、頭部も開く。
- 串刺し 開いた原料の皮と身の間に、専用の串(竹串)を手作業で、2~5尾ずつまとめて刺す。串の本数は原料の大きさによって異なるが、1尾につき5箇所程度である。料理店などに出荷する業務用は、頭部と尾部のみに串を刺す。
- 焙焼 串を刺した原料を生醤油にくぐらせる。焙焼は炭火もしくは焙焼機(電気式、遠赤外線ガスバーナー式)による方法がある。身が縮まないように、皮の面を先に焼く。その後、裏返して開いた身の面を焼く。焼く時間は原料の大きさや火力(焼く方法で異なる)によって異なるが、電気焙焼機の場合約7~9分間である。魚からはみ出た串が、焦げて折れる恐れがあるので、注意が必要である。業務用として出荷するものは串数が少ないので、魚の下に金属串を補助的に敷いて焼く(写真3,4)。
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- 調味料付け 焼けた直後に製品を醤油、みりん、酒等を主な原料とした調味液(たれ)に絡ませる。
- 送風冷却 扇風機などで室温まで冷却する。
- 検査 釣り針などが混入している恐れがあるため、金属探知器で検査する。
- 計量 計量器で計量する。
- 製品 梱包して出荷する(写真1)。
加工に用いる機器等
焙焼機(電気式、あるいは遠赤外線ガスバーナー式)、計量器、金属探知機 等
品質管理のポイント
原料の鮮度を保ち、早く処理して完成させる。
特徴的な成分
アナゴとウナギの成分分析値を表1に示した。ウナギに比べると脂肪分が少ないのが特徴である。また、ビタミンAは100gあたり500μgと、他の魚種よりも多い。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態
バットに入れたまま店頭販売したり、包装紙で包んで出荷している。いずれも、串は刺したままである。
包装および保管方法
要冷蔵で流通している。
調理方法および食べ方
焼きたての製品はそのまま、冷えた場合はレンジなどで再加熱して、好みに応じて醤油などをかけて食べる。そのほか、寿司(箱寿司、巻き寿司、ちらし寿司、にぎり寿司)、あなご丼、あなご飯、茶碗蒸し、雑煮、お茶漬け、卵巻きなど多くの料理食材として用いられる。また、再度製品を焼いて熱澗酒を注ぎ、あなご酒にすることもある。
(写真5,6)
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(提供:伊保漁業協同組合女性部)
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(提供:伊保漁業協同組合女性部)
参考文献
・文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会. 「日本食品標準成分表(八訂)2024年版」.
(著者:兵庫県立農林水産技術総合センター 但馬水産技術センター 妹背 秀和)
(取材協力:下村商店)
