目次
第3章 調味加工品 第2節 焼き加工品

焼あなご

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主原料

保存方法

冷蔵保存

キーワード

瀬戸内地方/あなご飯/ビタミンA

備考

Yaki-anago/伝統的加工品

焼あなごとは

 焼あなごとは一般的に開いたマアナゴを焼いた後、調味液(たれ)を付けたものをいう。あなご料理にはいろいろあるが、焼あなごは関西方面が主な産地である。
 焼あなごは播磨灘や大阪湾沿岸のほか、広島も有名である。広島では宮島周辺で、焼あなごを醤油飯に載せたあなご飯が名高い。焼あなごはうなぎの蒲焼きと違い、たれを付けながら焼くのではなく、まず原料を生醤油に軽くくぐらせた後に焼いて、焼き終わってからたれを絡ませて作っている。(写真1)

写真1 焼きあなごの包装済みパッケージ
(提供:下村商店)

主な生産地

 主な生産地は、大阪府、広島県、兵庫県等である。
 統計情報がないため全国的な生産量は不明だが、焼あなごは瀬戸内地方を中心に生産されている。漁獲量の減少により生産量は減少している。7月、12月の贈答時期に生産量が多くなる傾向がある。製品は地方発送のほか、加工業者店頭販売および料理店などに業務用として出荷している。

原料選択のポイント

 マアナゴは底びき網や延縄はえなわおよびかご漁などで漁獲される。焼あなご産地の1つである兵庫県でも漁獲量は減少傾向で、原料は韓国や中国などからの輸入原料を利用している。
 原料は活魚、もしくは産地で活け締めされたものを使用する。輸入原料も活魚や、現地で開いた状態まで処理したものを輸入している。
 焼あなごの原料は全長40cm前後が最適である。兵庫県では6から7月の梅雨頃(春季の餌料であるイカナゴをたくさん食べたあと)が、最も脂が乗って美味である。 (写真2)

写真2 マアナゴ(提供:兵庫県加古川農林水産振興事務所)

使用する副原料 

 醤油、みりん、酒、化学調味料など

加工技術

 焙焼によって、栄養成分を封じ込め、香ばしさを与える。また、加熱することで日持ちを良くするとともに、微生物危害を防ぐ。さらに調味液を絡めることにより風味を増す。鮮度の良い原料魚を仕入れ、素早く加工することが重要である。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 アナゴは全長約40cmで、活魚もしくは産地で活け締めされたものを使用する(写真2)

  • 選別 大きさをそろえるため、選別する。

  • 目打ち アナゴを開く作業がしやすいように、目打ち(目に打ち込んで固定する道具)を原料の下顎から頭部に貫通させて、5尾ずつぐらいにまとめる。

  • 内臓除去 目打ちをまな板に立てて固定し、腹部に包丁を入れ内臓を除去する。内臓のうち、肝臓は「あなご肝の佃煮」として利用する。

  • 洗浄 原料のぬめりや内臓片等を除去するため、原料を洗浄する。

  • 開き 一般的にウナギと同様、関西では腹開き、関東では背開きにされる。開いた後、背骨を除去する。その後、目打ちを外して下顎に包丁を入れ、頭部も開く。

  • 串刺し 開いた原料の皮と身の間に、専用の串(竹串)を手作業で、2~5尾ずつまとめて刺す。串の本数は原料の大きさによって異なるが、1尾につき5箇所程度である。料理店などに出荷する業務用は、頭部と尾部のみに串を刺す。

  • 焙焼  串を刺した原料を生醤油にくぐらせる。焙焼は炭火もしくは焙焼機(電気式、遠赤外線ガスバーナー式)による方法がある。身が縮まないように、皮の面を先に焼く。その後、裏返して開いた身の面を焼く。焼く時間は原料の大きさや火力(焼く方法で異なる)によって異なるが、電気焙焼機の場合約7~9分間である。魚からはみ出た串が、焦げて折れる恐れがあるので、注意が必要である。業務用として出荷するものは串数が少ないので、魚の下に金属串を補助的に敷いて焼く(写真3,4)

写真3 培焼 (提供:下村商店)
写真4 培焼後 (提供:下村商店)

  • 調味料付け 焼けた直後に製品を醤油、みりん、酒等を主な原料とした調味液(たれ)に絡ませる。

  • 送風冷却  扇風機などで室温まで冷却する。

  • 検査  釣り針などが混入している恐れがあるため、金属探知器で検査する。

  • 計量 計量器で計量する。

  • 製品 梱包して出荷する(写真1)

加工に用いる機器等

 焙焼機(電気式、あるいは遠赤外線ガスバーナー式)、計量器、金属探知機 等

品質管理のポイント

 原料の鮮度を保ち、早く処理して完成させる。

特徴的な成分

 アナゴとウナギの成分分析値を表1に示した。ウナギに比べると脂肪分が少ないのが特徴である。また、ビタミンAは100gあたり500μgと、他の魚種よりも多い。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態

 バットに入れたまま店頭販売したり、包装紙で包んで出荷している。いずれも、串は刺したままである。

包装および保管方法 

 要冷蔵で流通している。

調理方法および食べ方

 焼きたての製品はそのまま、冷えた場合はレンジなどで再加熱して、好みに応じて醤油などをかけて食べる。そのほか、寿司(箱寿司、巻き寿司、ちらし寿司、にぎり寿司)、あなご丼、あなご飯、茶碗蒸し、雑煮、お茶漬け、卵巻きなど多くの料理食材として用いられる。また、再度製品を焼いて熱澗酒を注ぎ、あなご酒にすることもある。
(写真5,6)

写真5 あなご手巻き寿司
(提供:伊保漁業協同組合女性部) 
写真6 あなご野菜天ぷら
(提供:伊保漁業協同組合女性部)

参考文献

・文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会. 「日本食品標準成分表(八訂)2024年版」.

(著者:兵庫県立農林水産技術総合センター 但馬水産技術センター 妹背 秀和) 
(取材協力:下村商店)