目次
第8章 塩辛類 第2節 その他塩辛

たこの塩辛

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主原料

主生産地

保存方法

冷蔵保存

キーワード

塩辛

備考

Tako-shiokara

たこの塩辛とは

 塩辛とは生の魚介類に内臓と塩を加え、内臓由来の消化酵素による発酵・熟成で作られるものを指す場合が多い。しかし、たこの塩辛には、生タコをさっと湯通しし内臓と塩を加えて漬け込んだもの、生タコを唐辛子と米麹で漬け込んだもの、ニンニクと唐辛子を加えて漬け込んだ韓国料理(キムチ)のようなものなど発酵を伴うもののほか、生タコを塩と糖類をベースとした調味液に漬け込み発酵を伴わないものがある。

主な生産地

 兵庫県

生産の動向

 現在市販されているものの多くは塩と糖類をベースとした調味液に漬け込むタイプのもので、北海道から沖縄まで全国各地で生産されているが、生産量の実態は把握されていない。土産物として観光客向けに販売されているほか、量販店の総菜コーナーで一般の消費者向けに販売されているものもある。また、業務用として、料理店や回転寿司のネタとしても活用されている。

原料選択のポイント

 国産のマダコや海外であればモロッコ産・モーリタニア産マダコ(生鮮または冷凍)が主な原料となる。

使用する副原料

 塩、みりん、酒、唐辛子、旨味調味料

加工技術

 生のタコを塩と糖類に漬け込むことによって脱水し、歯ごたえを良くするとともに水分活性を下げて保存性を高めている。また、唐辛子を加えることで若干の静菌効果が期待される。

製造工程の概略

 兵庫県で行われている例は以下のとおりである。

加工の実際

  • 原料 瀬戸内海産の活マダコ(写真1)をそのまま、もしくは冷凍保管しておいたものを解凍して使用する。

写真1 原料のマダコ(提供::兵庫県但馬水産技術センター)

  • 内臓除去 墨袋を壊さないように注意しながら内臓を除去する。

  • 塩もみ  内臓を除去したタコの重量に対して5%の塩を添加し、塩もみ機で8~10分間塩もみを行う。この工程で、表面のぬめりや吸盤内の汚れを取る。

  • 水洗い 塩、ぬめり、汚れを真水で洗い流す。

  • カット  目と口を除去し、カット機(写真2)で1~2cm大、厚さ3㎜程度にカットする。
  • 一次漬け  カットしたタコに対し漬け液60%を加え攪拌した後、冷蔵庫内で一晩漬け込む。
         (一次漬け液の例:煮きりみりん40%、酒20%、食塩10~15%、水25~30%)

  • 液きり  漬け液を捨てる。

  • 二次漬け  一次漬けを終わったタコに対し漬け液20%を加え、攪拌した後、冷蔵庫内で一晩漬け込む。

  • 液きり  漬け液を捨てる。

  • 調味液漬け 調味液に漬ける(調味液の例: 煮きりみりん50%、酒30%、食塩 5%、水飴15%)。調味料はグルタミン酸ナトリウムを主体に風味調味料、調味料(核酸)、唐辛子、豆板醤を加える。

  • 計量・包装 100~150gずつ樹脂製容器に入れ密封する(写真3)

写真2 カット機(提供:神戸市漁業協同組合) 
写真3 たこの塩辛の製品(提供:神戸市漁業協同組合) 

加工に用いる機器等

 塩もみ機、カット機

品質管理のポイント

 開封前、開封後とも冷蔵し、開封後はできるだけ早く食べる。

安全衛生管理のポイント

 生原料を非加熱で加工するため、洗浄と温度管理には特に注意を払い、微生物の増殖を抑えている。

製品の形態

 樹脂製容器に入れて出荷販売する。

包装及び保管方法

 要冷蔵で保管する。

調理方法および食べ方

 レモンやスダチなどを少し絞りかけて、ビールやお酒のつまみにしたり、熱いご飯にのせて食べる。(写真4)

写真4 たこの塩辛(提供:神戸市漁業協同組合)

参考文献

・文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会. 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」.2020.

(著者:兵庫県立農林水産技術総合センター 但馬水産技術センター 妹背 秀和) 
(取材協力:神戸市漁業協同組合)