ブリ燻製とは
ブリ燻製とは、ブリの乾製品の一種で、乾燥後に燻煙させたものである。
2015年3月の北陸新幹線富山開業を契機として、複数の企業が土産品の開発に注力を注ぎ始めた。そこで、富山県食品研究所では、全国的に知名度・評価の高い富山県産ブリを原料として常温保存可能な高品質な加工品の開発を目指し、春~夏に漁獲される脂質含量が少ないブリ(夏ブリ)を有効利用した燻製を開発した。
燻製は、主に豚肉を原料としたベーコンやハム、ソーセージといった食肉加工品がメジャーであるが、食肉、魚肉とも製造工程は塩漬、燻煙、加熱など共通する部分が多い。本製品は保存目的と共に、燻煙により独特の香味と色調を付与し、嗜好性を高めた製品である。
主な生産地
富山県
生産の動向
2013(平成25)年頃に県内の1企業が生産を開始し、その後、複数の企業により独自の調味を施した製品が製造されるようになった。2020(令和2)年頃からの約3年間は新型コロナウイルス感染症流行による移動制限等の影響で観光客数が激減したため、生産量も減少したが、現在まで中期的には生産量は増加傾向である。
原料選択のポイント
ブリ燻製の品質は、原料の良否に大きく左右される。原料の条件としては、鮮度が良好であることと、脂質含量が少ないことなどである。脂質含量の多いものは、刺身などの生食用には好適であるが、酸化や変色など品質が劣化しやすいため、乾製品や燻製品には脂質含量の少ない原料が適している。
使用する副原料
並塩、砂糖、香辛料等
加工技術
燻煙工程は、サクラなどの燻材を熱したときに出る煙を魚肉に燻して独特の香りや風味を付与し、食材本来の味を引き立てるための工程である。燻煙を行う前に、魚肉をしっかり乾燥させることで、煙が均一に吸収されてムラのない仕上がりになる。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 富山県産の他に石川県産、新潟県産の天然のブリを使用する。冷凍保存されていた原料は、加工時に解凍して利用される。
- 原料洗浄 鰓、内臓を除去し、よく洗浄する。
- 成形 三枚に卸し、5~10㎜程度の薄切りにする。
- 調味浸漬 砂糖、塩等の調味料や香辛料を溶かした調味塩水(塩分5~10%程度)に30~60分漬け込む。調味塩水は魚肉重量の約30%程度とする。
- 洗浄 表面に付着した調味塩水を真水で軽く洗浄する。
- 乾燥 冷風(20℃前後)で12~15時間乾燥する。
- 燻煙 30℃前後の温度で製品の仕様に応じて1~3時間程度冷燻する。
- 包装 脱酸素剤を封入して密封包装する。
- 製品 常温または冷蔵で流通する。
写真①-2-834x1024.jpg)
加工に用いる機器等
乾燥機(冷風)、スモーカー
品質管理のポイント
吸湿による乾燥のもどり、脂質の酸化などが問題となるため、脱酸素剤を使用して冷暗所で保存する。
製品の形態
薄くスライスした製品が主流である。
包装および保管方法
脱酸素剤を使用して冷暗所で保存する。賞味期限は常温または冷蔵で約2カ月程度である。
調理方法および食べ方
そのまま、食べる。
同類製品例
サクラマス(養殖)を原料とし、本製品と類似の方法で製造した加工品に「マス燻製」(写真2)がある。
写真②-1-737x1024.jpg)
(著者:富山県農林水産総合技術センター食品研究所 原田 恭行)
