目次
第1章 乾製品 第1節 素干し品

ほたるいか素干し

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主生産地

保存方法

冷凍保存/冷蔵保存/常温保存

キーワード

素干し/富山湾/富山県のさかな/冷風乾燥

備考

Hotaruika-suboshi/伝統的加工品

ほたるいか素干しとは

 ほたるいか素干しは、「富山県のさかな」の1つであるホタルイカ(写真1)をそのまま塩水に漬け、その後、冷風乾燥したものである(写真2)。富山県内のみならず、首都圏、中京、関西方面等へ流通し、消費される。ほたるいか素干しは、肝のほろ苦さと甘み、芳醇な風味があることから、富山県の代表的な干物の1つとなっている。

写真1 ホタルイカ原料 (提供:㈲トミイチフーズ)
写真2 ホタルイカ原料(提供:富山県食品研究所)

主な生産地

 富山県、兵庫県

生産の動向

 ホタルイカの漁獲量を図1に示す。ホタルイカの漁獲量は年次変動が大きく、2010年以降は約400~4,000トンで推移している。以前は富山湾で春期に漁獲されるホタルイカのほとんどが茹でほたるいかに加工されていたが、近年では茹でほたるいか以外の加工品の占める割合が大きくなっている。特に素干しは、富山県特産の土産物等として好評であり、2015年3月の北陸新幹線富山開業を契機として複数の企業が独自の趣向を凝らした様々な製品が上市されており、生産量は増加傾向と考えられる。

図1 富山県沿岸におけるホタルイカの漁獲量(資料:富山県水産情報システム)

原料選択のポイント

 富山湾で漁獲されるホタルイカは兵庫県沖合で漁獲されたホタルイカと比べて総重量や内臓重量が大きく、外套長も長い傾向にある。このため、素干しに加工する場合、原料は富山湾内で漁獲された大きいものを使用する。

加工技術

 鮮度の良い大きいサイズのホタルイカを使用し、低温・短時間で冷風乾燥させることで、食感をしっとりと柔らかに仕上げる。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 富山県産の他に、兵庫県産も使用されている。生鮮原料を使用する場合、旋尾線虫の殺虫のため、-40℃以下で24時間前後の冷凍処理を行う。

  • 洗浄 水道水を用いて洗浄する。

  • 塩水漬け 3%の塩水に40分程度浸漬する。

  • 水切り ザルに移して表面の塩水を流す。

写真3 水切り (提供:㈲トミイチフーズ提供)

  • 乾燥 冷風(28℃)で20時間前後乾燥する。網に並べて1尾ずつ乾燥する。

写真4 網に並べる様子 
(提供:㈲トミイチフーズ) 
写真5 乾燥 
(提供:㈲トミイチフーズ)
写真6 乾燥後 
(提供:㈲トミイチフーズ)

  • 計量・容器詰め 脱酸素剤を入れて包装後、金属探知機にかける。

  • 製品 常温で流通する。長期保管する場合は冷凍保存する。

写真7 製品 (提供:㈱川村水産)

品質管理のポイント

 吸湿による乾燥のもどり,脂質の酸化を防止する必要がある。脱酸素剤や密封容器等を使用して冷暗所で保存する。 

安全衛生管理のポイント

 ホタルイカの内臓に寄生することがある旋尾線虫の殺虫のため、原料または製品を-40℃以下で40分以上の凍結処理を行う。

包装および保管方法 

 脱酸素剤の使用または密封包装が好ましい。密封容器等を使用して冷暗所で保存する。  
賞味期限は常温または冷蔵で約2カ月、冷凍では6ヶ月程度である。

調理方法および食べ方

 そのまま食べるか、好みに応じて炙って食べる。

同類製品例

 素干しに類似した製品として、魚醬で調味してから干した製品等が上市されている(写真8)

写真8 類似製品 (提供:富山県食品研究所)

 (著者:富山県農林水産総合技術センター食品研究所 原田 恭行)
(協力:有限会社 トミイチフーズ)