目次
第1章 乾製品 第3節 煮干し品

ほたるいか煮干し

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保存方法

冷蔵保存/常温保存

キーワード

レチノール/ビタミンE

備考

Hotaruika-niboshi/伝統的加工品

ほたるいか煮干しとは

 ほたるいか煮干しは、釜揚げしたホタルイカを乾燥したもので、ホタルイカ加工品としては最も古いものであるが、現在では佃煮、燻製品など加工品の原料として利用されることが多い。
(本文末尾のコラム「ほたるいか煮干しの歴史」もご参照ください。)

主な生産地

 富山県、兵庫県、福井県、鳥取県

生産の動向・消費の動向

 ホタルイカの漁獲量を図1に示す。ホタルイカの漁獲量は年次変動が大きく、2000年からは約400~4,000トンで推移している。ほたるいか煮干しは、製品の保存性を高めるために乾燥した加工品であるが、冷凍技術の発達に伴い乾燥度の低い新製品が開発されたことにより、ほたるいか煮干しの生産量は最近では少なくなっている。

原料選択のポイント

 原料のホタルイカは富山湾内で漁獲されたものを使用するが、山陰、福井産のものを使用することもある。 また、ホタルイカは鮮度低下が速いため、漁獲されてから加工するまで低温かつ短時間で処理する。

使用する副原料

 煮熟は塩水で行い、海水をそのまま使用することが多いが、真水から塩水をつくる場合、塩が必要である。原料の状況に応じて、ビタミンEなどの酸化防止剤が使用される。

加工技術

 塩水で煮熟(加熱)することにより、ホタルイカが内臓や筋肉に有する消化酵素の活性を停止させ、かつ微生物を減らし、タンパク質の凝固・脱水作用や乾燥工程で水分活性を低下させることにより、保存性を付与したものである。また、加熱により、イノシン酸の分解酵素の働きをとめ、旨味成分であるイノシン酸の減少を防止する。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 富山湾で水揚げされたホタルイカを用いる写真1

  • 煮熟  煮釜写真2で煮熟する。煮熟水の急激な温度低下を防ぐため原料の投入は小分けにして行う写真3

  • 洗浄 真水で洗浄する。

  • 冷却 重ならないよう簀の子に広げ送風する。

  • 乾燥 ばらつきを防止するため簀の子に薄く広げる。以前は天日乾燥も行っていたが、現在では機械による冷風乾燥が主流である写真4

  • 包装 一般的には袋詰め包装する。

写真1 原料ホタルイカ 
(提供:(有)カネツル砂子商店)
写真2 煮熟に用いる煮釜 
((有)カネツル砂子商店協力、著者撮影) 

写真3 煮熟工程(提供:(有)カネツル砂子商店)
写真4 乾燥工程(提供:(有)カネツル砂子商店)

加工に用いる機器等

 煮釜(写真2)、乾燥機

品質管理のポイント

 貯蔵条件が悪いと、吸湿してカビ発生など品質が劣化するので、できるだけ乾燥した冷暗所に貯蔵することが望ましい。また、脂質酸化や褐変が生じる場合があるが、その防止には-30℃以下の冷凍貯蔵が有効とされる。異物混入防止には十分な選別および金属検知作業が必要である。

特徴的な成分

 ほたるいかは内臓ごと食するため、ビタミンA(レチノール当量)およびビタミンE含量が多い。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

製品の形態と保管方法

 一般的には袋詰め包装で冷蔵保管する。

調理方法および食べ方

 そのまま酒の肴として食されることが多い(写真5)が、水で戻して調味し、佃煮、甘露煮として食べることもある。

写真5 製品 (提供:(有)カネツル砂子商店)

コラム

「ほたるいか煮干しの歴史」

 ほたるいか煮干しは1911年頃にその端を発したと記録されている。従来、岐阜、長野、新潟方面が主なる販売先だったが、後には海外にも出荷し、中国南部やアメリカでもその需要が増大し、需要に応じきれないほどの活況を呈したこともある。しかし、現在の生産量は少なくなっている。 

(著者:富山県農林水産総合技術センター食品研究所 鍋島 裕佳子
                            協力:有限会社 カネツル砂子商店)