鮎の昆布巻きとは
鮎の昆布巻きとは、子持ち大アユを素焼きにした後、昆布で巻き、醬油や酒、みりん、砂糖などで甘辛く煮込んだ日本の伝統的な佃煮である。湖産魚介類の佃煮とともに贈答用として、広く親しまれている。鮎の昆布巻きを切って、そのままお重に入れ、正月用のおせち料理のひとつとして使われることが多い。ご飯のお供や酒の肴に適している。
琵琶湖のアユは10cmぐらいの体長にしかならないが、川で育ったアユは20cmぐらいまで育つ。その大アユを昆布で包み込んでじっくり炊き込んだものが「鮎の昆布巻き」で、「鮎巻き」とも言われている。
アユは、特有の旨味や香りがあり、鰊の昆布巻きとはまた違った美味しさである。好みの厚さに輪切りする。
主な生産地
滋賀県、栃木県、岐阜県、宮崎県、福井県、山形県など
生産の動向
2009年の日本国内における昆布巻全体の推定生産量(鰊の昆布巻き、鮭の昆布巻き等を含む)は、年間約5,270トンと推定されている。このうち、国産が約3,270トン、中国からの輸入が約2,000トンで、中国産が約4割を占めている。中国産の昆布巻は、半製品として日本に輸入され、国内で調理・味付けされることが多い。
原料選択のポイント
アユは新鮮なものを、昆布は早煮昆布を用いる。
使用する副原料
昆布、干瓢、出汁、みりん、醬油、砂糖など
加工技術
アユ、昆布、干瓢を昆布だし、醬油、みりん、砂糖等で作製した調味液に浸漬し、長時間煮た後で、真空包装するので、製品が空気に触れることがなく、保存性の点ではかなり有効な加工方法だと言える。
製造工程の概略
鮎の昆布巻きの配合例を表1に示す。


加工の実際
- 原料 体長約20cmのアユを使用し、昆布と干瓢は乾燥品を使用する。
- 処理 アユは鱗を除去し、水洗する。
- 浸漬 昆布は洗ってから、ぬるま湯の中に30分間ほど浸けて戻す。干瓢は洗ってから、水で戻す。
- 塩もみ 干瓢を塩でもんだのち、水で洗い流す。
- 成形 水で戻した昆布でアユを巻き、干瓢で2か所を縛る。
- 調味加熱 昆布だし汁に醤油、みりん、砂糖を加えて、加熱する。
昆布で巻いたアユを、出汁、醬油、みりん、砂糖を入れた薄味の調味液でひたひたにする。
強火で3分程煮た後に、落し蓋をして中火で約40分間から50分間、煮詰める。
- 冷却 鍋の中で冷やし、煮汁に漬け置きしてじっくり味を滲み込ませる。
- 包装 真空包装機で、真空包装を行う。
- 製品 梱包して、出荷する。
加工に用いる機器等
鍋、真空包装機 等
品質管理のポイント
鍋で、落し蓋をして中火で約40分間から50分間、煮詰めることが重要である。調味液を十分しみこませ、製品の味付けと同時に水分活性を低下させて、保存性を高めている。
特徴的な成分
アユ全体を食することができるため、骨に含まれるカルシウム、亜鉛等を摂取できる。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)
製品の形態・包装
商品は、脱気包装でパックされているため、加圧加熱されたものは約1年間常温保存可能である。
調理方法および食べ方
そのまま、あるいは、輪切りにして食べる(写真1)。
写真①とイメージ-1024x748.jpg)
同類製品例
鰊の昆布巻き、ししゃもの昆布巻き、鮭の昆布巻き、さんまの昆布巻き、帆立の昆布巻き等
参考文献
・消費者庁食品表示課、平成22年7月、昆布巻の流通状況.
https://www.cao.go.jp/consumer/history/01/kabusoshiki/syokuhinhyouji/doc/003_100721_shiryou1-2.pdf(2025年12月22日参照)
(著者:元滋賀大学 堀越 昌子)
