さつま揚げとは
地酒や砂糖などの複数の調味料で味付けした魚肉すり身を成形した後、食用油で油ちょうしたものである。魚肉すり身には、主にスケソウダラ冷凍すり身が用いられるが、地元で漁獲されるエソやアジ等の地魚も用いられている。また、近年では、味付けしたすり身に様々な季節の野菜を加えた製品も多く(写真1)、バラエティーに富んでいる。鹿児島県では、さつま揚げのことを「つけ揚げ」と呼ぶ。これは江戸時代に琉球から薩摩に魚肉のすり身を油で揚げた「チキアーゲ」という料理が伝えられ、それが訛って「チキアゲ」「ツケアゲ」となったのが由来とも言われている。
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主な生産地
鹿児島県、とくに鹿児島市といちき串木野市
生産と消費の動向
鹿児島県におけるねり製品生産量は7,616トン(令和5年(2023年)度)で、2005年の11,000トンに比べ7割程度の生産量まで減少している。後継者不足等から経営体数も減少している。
原料選択のポイント
主な原料にはスケソウダラ冷凍すり身が使用されているが、地元で漁獲されるエソやアジ等のすり身を加え、製造業者ごとに特徴を出している。
使用する副原料
調味料としてみりんや灰持酒(地酒)を添加する。生産地域によっては、魚肉すり身に鶏卵や豆腐を加え、なめらかな食感にこだわった製品もある。
加工技術
魚肉すり身に食塩を加えて塩溶性タンパク質を溶解させ、油ちょうによる加熱を行うことで、タンパク質の網目構造が形成され、特有の弾力が生み出される。また、みりんに含まれる糖分と灰持酒およびすり身に含まれるアミノ酸が油ちょう時の熱によりメイラード反応を起こし、さつま揚げ独特の色合いが生まれる。
製造工程の概略

加工の実際
- すり身 鮮魚を用いる場合は予めミンチにしておく。
- 擂潰 魚肉や冷凍すり身に重量比で2%程度の食塩を添加し、20~30分間擂潰する。擂潰時の摩擦熱による坐りの進行を防ぐために、冷却機能が付いた擂潰機か、予め氷水等で冷却した石臼を使用する。
- 調味 擂潰により魚肉すり身に十分に粘りが出たら、豆腐や鶏卵などの副原料と砂糖、みりん、灰持酒などの調味料を加え、十分に攪拌する。
- 成形 野菜等を加え、棒形あるいは小判型に成形する。
- 油ちょう 低温に設定したフライヤーで揚げた後、高温(170℃~180℃)に設定したフライヤーで二度揚げを行う。中心温度が80℃に達するまで揚げる。揚げ油には、菜種油が使われることが多い。
- 冷却 一般に冷却機が使用されており、中心温度が10℃~15℃くらいになるまで十分に冷やす。
加工に用いる機器等
擂潰機、サイレントカッター、フライヤー、冷却機
品質管理のポイント
油ちょう後の冷却が不十分なまま包装すると、微生物の作用によりネトといわれる粘性物質が発生するなど、品質劣化を招く。また、魚の骨等の異物混入がクレームとなる場合がある。
製品の形態
製品は贈答用の化粧箱に入れる場合と、量販店向けの小分け袋に包装される場合がある。常温では日持ちしないので、冷蔵流通されている。
包装および保管方法
小売りでは5~6枚入りの小分袋入りで、贈答用は各種さつま揚げを組み合わせた化粧箱(写真2)で販売される。賞味期限は短く、冷蔵で1週間程度である。また、近年では冷蔵での賞味期限が1カ月程度の真空包装入りの製品も販売されている。
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調理方法および食べ方
そのまま食べてもよいが、トースターやグリル等で数分間温めて食べるとよりおいしい。
(著者:鹿児島県水産技術開発センター 保 聖子)
