釜揚げさくらえびとは
釜揚げさくらえびは、漁獲された新鮮なサクラエビを塩水で短時間煮熟した煮えび加工品である。駿河湾内で漁獲されるサクラエビは半透明で大きさ3~4cmの小エビであり、この漁獲が始まったのは1900年頃とされている。現在、サクラエビ漁業は春季(4~6月)と秋季(11~12月)の年2期間の操業となっている。昔はサクラエビ加工品と言えば常温での保存性の高い素干しさくらえびが主流であったが、コールドチェーンが整備された今日では、煮上げたままの釜揚げ製品の生産が増加してきた。
主な生産地
国内では原料となるサクラエビの水揚げが静岡県内に限られていることから、生産地も静岡県内だけである。
生産と消費の動向
日本国内におけるサクラエビの水揚げが静岡県に限られることから、素干しとともに釜揚げさくらえびの生産は静岡県静岡市清水区由比、蒲原、焼津市(旧大井川町)が主となっている。漁獲量の減少などにより近年の生産量は減少傾向である。
原料サクラエビの鮮度保持と冷凍技術の向上により、最近では加工場での生食用サクラエビ冷凍品の生産量が急増している。
原料選択のポイント
原料は鮮度の良いもの、夾雑物の少ないものが用いられる。現在では水揚げ後からセリまでの間、原料を保管する冷蔵庫が市場などに整備されており、全体的に原料の品質は向上している。
加工技術
沸騰した塩水で煮熟することにより、エビに含まれるアスタキサンチンが発色し鮮やかな桃色を呈する。煮熟水中の塩分は約8%と高い場合が多いが、加熱後の柔らかさを残すためにできるだけ短時間で煮熟している。製品中の塩分は約3%となるが、製品の水分が高いため冷蔵での保存性はあまり高くない。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 鮮度が良く、夾雑物の少ないサクラエビを厳選して用いる(写真1)。
写真①-1024x713.jpg)
(提供:静岡県水産・海洋技術研究所)
- 水洗 漁獲された生の原料は、水洗して夾雑物などを取り除くか、そのまま煮熟する。
- 煮熟 沸騰塩水に投入した原料は数十秒で浮上するので網などですくい上げる。煮釜の大きさは約800ℓ容のものが多く、この容量ではトロ箱(15kg入り)2箱分の原料を同時に投入しても迅速に煮熟できる。煮熟水の塩分は約8~10%であり、大量の原料を処理する場合は、途中で煮熟水に塩を追加する。使用する塩は並塩が一般的であるが、近年は各種天然塩を併用して品質の差別化を図っている。
- 冷却 煮熟後は、煮釜に連結したコンベヤーの上を移動しながら送風により冷却する。煮釜が独立している場合は、せいろに載せて屋外などで扇風機を用いて冷却する。
- 包装 店舗・市場出荷などに応じて各種形態に包装する。
- 製品 冷蔵または冷凍で出荷する(写真2)。
写真イメージと②-1024x766.jpg)
加工に用いる機器等
煮窯、送風冷却機、冷蔵庫、冷凍庫 等
品質管理のポイント
やわらかい釜揚げ製品に仕上げるために煮熟時間を短くする。そのため、煮熟水の塩分を高めに設定して、できるだけ短時間で煮上げる。
製品の形態・包装など
小売用のパック詰めと市場出荷向け(袋に入れ木箱や発砲スチロールに詰めたもの、6~12kg)がある。以前は市場出荷向けが大半を占めていたが、近年は製造工場での小売パック詰め出荷が主流であり、消費者には50~100gのパック詰め商品が受け入れられている。水分が多く保存性があまり高くないため、冷蔵で流通・保存されている。
調理方法および食べ方
レモン汁や三杯酢などをかけてそのまま食べるほか、ちらし寿司、かき揚げ、茶碗蒸しの具として、またサラダなどに添えて食べても美味しい。
(著者:静岡県水産・海洋技術研究所 山内 悟)
