そうだ節(土佐宗田節)とは
スズキ目サバ科ソウダガツオ属のマルソウダを原料とした節製品である。
現在、高知県内で生産される節はかつお節よりもそうだ節が多く、中でも南西部の土佐清水市でその大半が製造され、その量は全国生産量の7~8割になると言われている。この節の多くは蕎麦屋などの業務用のだしとして用いられる。同じ時期の原料魚を用いた節でも、販売する地域によって加工形態が異なり、関東では数ヶ月かけて製造したカビ付け節(枯れ節)が、関西以西では短期間に仕上がる裸節(はだかぶし)の需要が多い。
土佐清水市は江戸時代よりカツオを中心とした節加工業が盛んであったが、漁獲法、冷凍流通等の発達により、カツオが枕崎や焼津等に集中的に水揚げされるようになると、四国の南西端に位置する土佐清水では、生鮮出荷用のカツオはあるものの、加工原料としてのカツオを入手するのは交通事情等で不利になり、次第にかつお節の生産量は減少していった。
一方、土佐沖南西部にて漁獲量の多かったマルソウダを利用して、従来の節加工の技術を活かし、1955年頃よりそうだ節の製造が始まり土佐清水市の主要産業として発展した。
2023年度には土佐宗田節として文化庁の100年フードに認定されている。
主な生産地
高知県土佐清水市 熊本県、鹿児島県、静岡県
生産の動向
高知県でのソウダガツオ類(マルソウダとヒラソウダ)の漁獲量は2010年までは約1万t前後であったがその後1万tを下回り、2019年以降は年5,000tを下回っている。漁獲量の減少に伴い製造業者は原料の確保に苦慮している。
原料選択のポイント
そうだ節の原料となるマルソウダは土佐沖南西部に多く生息し、主に一本釣りによって漁獲される。鮮度低下が速いので、最近では漁船の中の魚槽にシークーラーと呼ばれる冷却装置が設置され、鮮度を良好に保ったまま水揚げされる。節に利用されるマルソウダは季節によって魚体の大きさや脂質量が異なり、高知では、呼び名も5~7月に漁獲される「梅雨めじか」(一尾500g以上の大型で皮下脂肪が多く良質の節にはなりにくい)、10~12月の「秋めじか」(脂質が少なく200~300gの小型魚)、 1~3月の「寒めじか」(400~500gの大型のもので最上級の節になる)の3区分に大別される。
加工技術
かつお節同様、煮熟によって魚肉を凝固させるとともに自己消化等に関与する酵素を失活させ、うま味成分の分解を抑制する。次いで焙乾による乾燥は香り付けのほかに脂質の酸化防止、殺菌作用も併せ持ち、長期間の保存を可能にしている。カビ付けは脂質の分解やだし汁の濁りを防止するために行う。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 周年土佐湾で漁獲されるマルソウダ(写真1、2)の生鮮魚または冷凍魚が用いられる。鮮度が良すぎると煮熟中に身が割れる場合があるので、水揚げ直後の原料は使用しない。1~3月の厳冬期に漁獲される原料は「寒めじか」といって大きさ、質ともに最上とされている。
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- 煮熟 企業によって加熱の温度や時間は若干異なるが、一回に0.5~1.5 t投入できる地中に埋め込んだタンクを用い、1時間前後煮る(写真3,4)。熱源はボイラーである。
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写真④-1-1024x601.jpg)
- 成形・焙乾 かつお節とは異なり、茄でてから頭・内臓・中骨を除去し、二つ割りにして焙乾する(写真5)。かつお節のように魚体が大きくないので、丁寧な成形は行わない。
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- 焙乾 セイロに並べ、ウバメガシなどの広葉樹で燻しながらおよそ1週間乾燥する(写真6)。燻煙には脂質の酸化防止や殺菌作用がある。
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- 乾燥 焙乾後、むしろ等の上に広げて1日ほど乾燥させる。焙乾時に節に付着したタールや脂肪等を除去し、「裸節」(写真7)として出荷される。
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- カビ付け カビ付け節は、近年では温湿度が管理できるエアコンを設置した密閉できる部屋でカビ付けを行う。約1ヶ月前後で一番カビが発生するが、天日干しでカビを落とし、さらにカビ付け、天日干しを数回繰り返し、半年ほどかけて製品(枯れ節)(写真8)にする。市販されている優良カビの胞子を散布すると早くカビが付く。
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加工に用いる機器等
煮熟釜、焙乾機
品質管理のポイント
鮮度の良い原料を使うことで品質の良い節ができる。製造後の節は冷凍庫にて保管し出荷される。削り節に加工したものは品質保持のため脱酸素剤を封入して包装する。
製品の形態
業務用として、湿らないように乾燥状態を保持したキロ単位の段ボール包装にて出荷される。2010年代あたりからそうだ節製造業者により小売り用の削り節が製造販売されるようになり、現在そうだ節加工品が多数販売されている。(写真9,10)
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包装および保管方法
業務用では段ボール包装する。小売りでは各種包装がある。
調理方法および食べ方
関東の蕎麦店ではそうだ枯れ節のほかに、かつお本枯れ節や、さば節の混合が使われるのに対し、関西ではそうだ節のほか、イワシ、ムロアジ等の雑節が使われる。
地域によって節の使い方も異なるように、かけつゆやつけつゆの作り方も異なる。関東では「かえし」が使われるが、関西では節でとっただし汁に薄口醤油や塩、味醂を直接加えて使用する。
削り方も厚削り、中厚削り、中薄削り、薄削り等、料理やだしの用途によって使い分けられている。
(著者:元高知県工業技術センター 野村 明、高知県工業技術センター 阿部 祐子)
