目次
第8章 塩辛類 第2節 その他塩辛

塩うに

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保存方法

冷蔵保存/常温保存

キーワード

うに塩辛/生殖巣/アルコール/ウニ割りパックリ/日本三珍味

備考

Shio-uni/伝統的加工品

塩うにとは

 塩うには全国各地で製造され、うに塩辛ともいわれる。
うに製品はその形態や加工法により種々の呼び方があり、採取したウニから生殖巣を取り出したものを「生うに」、「生うに」に直接塩を振り脱水して保存性を高め、かつ味を濃厚にしたものを「塩うに」という。「塩うに」にアルコールや砂糖を加えて更に熟成させたものが「粒うに」、ペースト状にしたものが「練りうに」である。「生うに」や「塩うに」でも、粒感を強調したい商品は「粒うに」と表示しているものもある。
 ここでは、福井県・山口県で生産されている塩うにと、 山口県で生産されているアルコール漬けうにについて紹介する。
(本文末尾のコラム「越前雲丹とアルコール漬けのうにの秘話 2題」もご参照ください)

主な生産地

 福井県、山口県、長崎県、北海道など

生産の動向

 主原料となるバフンウニは、以前は日本海側を中心に各地で生産され、資源保護のためバフンウニの採捕期間を決める(三国町雄島おしま漁協では7月21日からの 15日間)などの対策が取られてきたが、2013年の高水温による藻場の大規模消失以降、漁獲量が激減しており、塩うに生産量も減少している。
 このため、地場で採取した新鮮な生殖巣を加工した「前浜うに」と呼ばれる製品はほとんど生産されておらず、大半は国産、輸入産の一次原料(塩を加えて樽詰めとした塩うに)を用いたものが主となっている。

原料選択のポイント

 生殖巣の色調が橙紅色で美しいバフンウニが最良とされる。アカウニ、ムラサキウニの生殖巣も用いられることがある。

加工技術

 塩うにでは、施塩しえんによる脱水により水分活性が低下し保存性が増す。福井県の塩うに製品の塩分は当初約30%であったが、低温流通が可能となった近年では約15%程度になっている。塩の量により製品の優劣があるためかつてはその量は秘伝であったが、現在は製品の平準化を図るため、組合が統一している。
 アルコール漬けうにでは、アルコール添加によりタンパク質を凝固させ生殖巣の粒状を保持するとともに、熟成を極力抑制することで新鮮なウニの呈味と食感を保持している。また、ウニの香味成分とアルコールの調和、カロテノイド色素による紅橙色の鮮明化 、用塩量の低減化などの品質の安定・向上にも効果がある。塩約8%、アルコール約8%の製品は室温に約1年間放置しても品質変化は少なく 、粒の保持も良好である。

製造工程の概略

塩うに(箱詰め)                

アルコール漬けうに(山口県)

加工の実際

<塩うに(箱詰め)>

  • 原料 県産のバフンウニ写真1)やアカウニが使用される。

  • 殻割 パックリと呼ばれる殻割器でウニを割る写真2
写真1 塩うにの原料となるバフンウニ
(提供:雄島漁協)
写真2 ウニの殻割(右は殻割器のパックリ) 
(提供:雄島漁協) 

  • 生殖巣採集 夾雑物等を取り除き、スプーンで内臓と生殖巣を取り出す写真3。生殖巣の形を極力保持するように注意する。

  • 洗浄 冷海水中で洗浄し、腸、殻片、夾雑物を除去する写真4

写真3 生殖巣採集 (提供:雄島漁協)
写真4 洗浄工程 (提供:雄島漁協)

  • 水切り 十分水切りを行う。

  • 施塩・撒塩 洗浄したウニ生殖巣を漁業協同組合に集め、施塩を一括して行う。施塩は脱水するために行う。生ウニを適量拡げ食塩を振りかけ軽く混合する(写真5)

  • 水切り 施塩により分離した余分な水を切る(写真6)

  • 箱詰 隙間のないように箱詰めする。

  • 製品 冷蔵し流通する。

写真5 施塩工程 (提供:雄島漁協) 
写真6 水切り工程  (提供:雄島漁協) 

<アルコール漬けうに製品(山口県)>

  • 原料 従来は地場産のバフンウニやムラサキウニを原料としていたが、現在は県内原料が激減したため、他県産や海外産(韓国やチリ等)のウニ(剥き身そのままを冷凍、塩を加えて水切りしたもの、塩とアルコールが添加されたもの等様々)を使用している。

  • 保存 入荷された原料ウニは、加工に供するまで冷蔵または冷凍保管する。

  • 異物除去 原料ウニに混入している棘や殻等を手作業で除去する。

  • 混合 原料ウニにアルコールや塩、アミノ酸等を添加し(写真7)、撹拌して混合する(写真8)

写真7 アルコール添加 (提供:(株)うに甚本舗)
写真8 攪拌して混合 (提供:(株)うに甚本舗)

  • 瓶詰 粒をつぶしてはいけない高級品については手作業で瓶に詰める(写真9)。安価な商品については充填機を使用する。

  • 熟成 アルコールが馴染むまで、常温で1カ月程度熟成させる(出荷の都合上、1週間程度で出荷するものもあり)。

  • 箱詰 ラベルを貼った後に段ボール箱に収容する(写真10)

  • 出荷 常温で出荷される。

写真9 瓶に詰める (提供:(株)うに甚本舗)
写真10 箱詰め作業(提供:(株)うに甚本舗)

加工に用いる機器等

 ウニ割りパックリ写真2右

品質管理のポイント

 冷蔵冷凍技術の向上により保存可能期間が伸びたが、開封後はできるだけ早めに食すことが望ましい。
 アルコールを添加した製品は常温での保存が可能であるが、開栓後は冷蔵保存し、速やかな消費が推奨される。

製品の形態・包装・保管方法

 塩うに製品は販売店に出荷され、桐箱や曲げ物(薄く削り取った木材を円形に曲げて作った容器)等に詰められ冷蔵にて販売する。
 アルコール漬けうに製品は1瓶あたり40~50g入りの瓶詰めが主流であり、常温で出荷する。製品は段ボール箱に入れて出荷するが、高価格のものについては瓶を1本ずつ外箱に入れて、または2本を木箱に入れる。保存方法は「直射日光を避け 常温保存」で賞味期限は半年から1年程度である(賞味期限については流通前に品質検査を行って決める)。開栓後は、冷暗所で保存する。

調理方法および食べ方 

 おにぎりの具材や炊きたてご飯に添えて食べるのが一般的であるが、酒の肴としたり、魚介類や練り製品などに好みの量を塗りつけて焼いて食べても良い。

コラム

「越前雲丹とアルコール漬けのうにの秘話 2題」

 福井県で製造される「越前雲丹」は、日本三珍味(からすみ、このわた、うに)の1つとして知られている。奈良時代から福井県で作られていたという説もあり、古文書によれば、戦国時代末期には作られていたようである。特産品として本格的に製造するようになったのは明治維新以降であるといわれている。

 山口県の粒うには「うに塩辛」または「アルコール漬けうに」と呼ばれ、ウニの生殖巣の姿を比較的よく保持し、しかも本来の風味が保持されており、生殖巣の脱水と食塩、アルコールの防腐効果をうまく使用した独特の製品である。明治初期に下関・六連島むつれじまの西教寺の蓬山和尚が、英国人の水先案内人との歓談中、誤って生うにの小鉢にジンをこぼしたところから「アルコール漬けのうに」が誕生したと言われている。

(著者:福井県食品加工研究所 北風 智裕、山口県水産研究センター 白木 信彦)
 (協力:株式会社 うに甚本舗 富田 昌司、雄島漁業協同組合)