とうふちくわとは
鳥取県東部地域で江戸時代から製造される伝統あるねり製品で、脱水した豆腐と白身の魚肉を混ぜて製造される。蒸しちくわと焼きちくわがあり、外見は通常のちくわと大差ないが、豆腐が5~7割を占めるため、食感がソフトで独特の風味があり、地元を中心に非常に親しまれ、根強い人気がある。鳥取県ふるさと認証食品の一つになっている。
(本文末尾のコラム「とうふちくわにまつわる話題」もご参照ください)
主な生産地
鳥取県、島根県
生産の動向
とうふちくわは、鳥取県鳥取市を中心に製造されており、一部鳥取県中部や島根県東部での製造もおこなわれている。豆腐とスケトウダラを原料に作られる一般的なとうふちくわのほかに、ネギやショウガ、鳥取和牛を練りこんだとうふちくわなど様々な種類のとうふちくわが製造されている。
消費の動向
総務省統計局家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在地及び政令指定都市ランキングによると「ちくわ」の年間消費額の全国平均は1,865円であるのに対して、鳥取市は3,479円で、不動の1位を維持している(表1)。鳥取県内のスーパーマーケットのねり物コーナーにはとうふちくわが必ず置いてあり、土産物店、直販所などで取り扱われている他、一部他県でも販売されている。また、ネット通販も行われている。

原料選択のポイント
原料となる豆腐は、やや硬めに製造した木綿豆腐(写真1)を用い、魚肉は、冷凍すり身が普及する以前は地元で漁獲される白身魚を用いていたが、現在では年間を通じて安定供給されるスケトウダラ冷凍すり身を用いることが多い。
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加工技術
魚肉(冷凍すり身)に塩を加えて塩ずりした後、脱水した豆腐とでん粉、調味料等を加えてさらに擂潰し、ちくわ状に成形して、蒸煮もしくは焙焼して製造される。
製造工程の概略

加工の実際
豆腐の脱水 脱水袋に豆腐を入れ、板の片方に挟み込み、もう一方に重石を置いて、テコの原理で徐々に脱水する。重石の重量や時間は、季節や温度、豆腐の出来具合などにより調節する。脱水具合は製品の仕上がりに影響する。
- 擂潰 通常の魚肉ねり製品と同様の手順で塩ずりした魚肉(冷凍すり身)と豆腐を十分に混ぜ合わせる。擂潰機も使用されるが、最近ではサイレントカッターで短時間に仕上げているところが多い(写真2)。
- 成形 通常のちくわと同様の手順で、細い竹やアルミの棒にちくわ状に巻きつけ、形を整える(写真3)。
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- 加熱 蒸煮は90~98℃で10分間程度、焙焼は7~8分間程度加熱する(写真4)。
- 冷却 粗熱が取れたら、金串を抜き取る(写真5)。
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加工に用いる機器等
擂潰機またはサイレントカッター、蒸煮機または焙焼機
品質管理のポイント
通常のちくわより軟らかく、貯蔵性が低いといわれており、以前は、10℃で2~3日間しか日持ちしなかったが、FSSC22000の取得など衛生管理技術の向上により、 10℃で1週間程度の日持ちが可能となった。
特徴的な成分
豆腐を主原料とするため通常の焼きちくわに比べてタンパク質が多く、炭水化物が少ない(表2)。また、健康性機能成分として、大豆に由来するイソフラボンが含まれている。

製品の形態・包装及び保管方法
ほとんどがプラスチックフィルムにより1本ずつ含気包装される(写真6、7)が、一部土産物では真空包装したものもある。冷蔵で流通する。
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調理方法および食べ方
そのまま食してもよいが、ショウガ・ワサビ醤油を付けてもおいしい(写真8)。くせが少ないことから、吸い物やおでんなど、その他多くの料理に利用することができる。
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同類製品例
ネギ入り、生姜入り、鳥取和牛入り、カレー味、ワインに合うトマトとチーズを入れたものなど、様々な製品がある。
コラム
「とうふちくわにまつわる話題」
江戸時代、鳥取では漁港の開発が遅れ、魚は贅沢な食べ物とされていた。当時の鳥取藩主であった池田光仲は、藩の財政が厳しいことから質素倹約を奨励し、魚の代替として豆腐を食することを推奨した。魚の代わりに豆腐を主原料として誕生したのがとうふちくわである。
現在も、普段の日はもちろん、「ハレの日」などにも必ず食べられている。また、ご当地グルメとしてB-1グランプリにも出展している。とうふちくわで作った世界唯一の食べられる楽器「とうふるーと」を使って演奏を行う演奏家もいる。
(著者:鳥取県産業技術センター 加藤 愛)
