目次
第3章 調味加工品 第2節 焼き加工品

焼さば

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保存方法

冷蔵保存

キーワード

浜焼きさば/鯖街道/焼きさば寿司/串刺し

備考

Yaki-saba/伝統的加工品

焼さばとは

 焼きさばは、30~40cmの大型のマサバを背開きしてえらと内臓を除き、軽く塩漬けした後焙焼した焼き加工製品である。水揚げ後鮮度低下して傷みやすいサバを炭火で焼き上げることで保存性を高め、流通しやすくしている。
京都府や福井県の郷土料理(浜焼きさば)として知られており、若狭から京都へ運搬する際の保存方法として考え出され、その運搬に利用された道は鯖街道と呼ばれた。
 ここでは兵庫県で生産されているサバを1尾姿のまま串に刺して焼いた、“焼さば”を紹介する。

主な生産地

 福井県、京都府、兵庫県、鳥取県 他

原料選択のポイント

 焼さばの原料には、主に30~40cm、500~600g位の脂の乗った国産のマサバとノルウェー産のタイセイヨウサバ(通称ノルウェーサバ)が使用される。
 国産のマサバは秋から冬にかけて東シナ海や東北地方で獲れるものが良いと言われているが、最近は、国産のマサバの漁獲量が減っており脂の乗った大型魚が少なく安定して入手しにくいため、大型で年間を通じて脂の乗りが良く、安定して入手できるノルウェー産の冷凍タイセイヨウサバを用いることが多くなっている。
 サバは鮮度低下が速い魚種で、特にヒスタミンのリスクが懸念されるため、国産の鮮魚、ノルウェー産の冷凍魚ともに鮮度管理の行き届いたものを選ぶ必要がある。

使用する副原料

 食塩、みりん、食酢、発酵調味料等を使用している。

加工技術

 炭火で焙焼することで微生物や寄生虫を加熱殺菌し保存性を高めるとともに、タンパク質の熱変性を起こさせ食感を良くし、香ばしさを与える。

製造工程の概略

加工の実際

  • 原料 国産の生鮮マサバ(写真1)もしくはノルウェー産の冷凍タイセイヨウサバ(写真2)を解凍したものを使用する。鮮度の良い脂の乗った大型のものを選ぶ。

写真1 国産の原料マサバ
(提供:森俊郎)
写真2 ノルウェー産の原料タイセイヨウサバ
(提供:森俊郎)

  • 調理 背開きし、鰓および内臓を除去する(写真3)

  • 洗浄 流水で洗浄し、血液や内臓片などを除去する。

  • 塩漬け 背開きし洗浄した原料を3~5%の塩水に浸ける。最近はノルウェー産のサバを現地で調理~洗浄~塩漬けまで行い冷凍したものを輸入し、解凍して使う場合が多くなっている。

  • 表面処理 焙焼時の火ぶくれや身割れを防ぐために皮に針で小さな穴をあけるとともに、中心部への火の通りをよくするために体側に切り目を入れる(写真4)

写真3 調理済み冷凍原料 
(提供:森俊郎)
写真4 表面処理作業
 (提供:森俊郎) 

  • 串刺し 竹串もしくはステンレスの平串を原料の口から入れて、体が波打つように刺し、さらに、串刺ししたサバを3~4尾ずつ5本程度の棒状のステンレス串に通す写真5,6

  • 艶出し 焼いた際に照りが出るように、皮に味醂や食酢等を刷毛で塗布する(写真7

写真5 串刺し作業 (提供:森俊郎)
写真6 串刺し後 (提供:森俊郎)
写真7 艶出し作業 (提供:森俊郎)

  • 焙焼 炭火で炭床から約40cmくらい離して30分間程度かけて焼く。途中サバの焼け具合と炭火の様子を見ながら、串に刺したサバの上下、左右を変えて、均一に焼く写真8,9)
    ガス火の焙焼機で焼く場合は、串刺ししたサバを焼き網に乗せて上火で焼く。途中サバの焼け具合と火の様子を見ながら、網に乗せたままサバの上下、左右、位置を変えて均一に焼く。(写真10

  • 冷却 頭を下にして串を刺したまま立てかけて、余分な脂分を落としながら室温で放冷する写真11

写真8 炭火での焙焼作業 (提供:森俊郎)
写真9 焙焼中の焼きさば (提供:森俊郎)
写真10 ガス焼き機での焙焼 (提供:全国水産加工品総覧)
写真11 放冷中の焼きさば (提供:森俊郎) 

  • 包装 量販店向けはトレイに入れラップ包装するが、その際にラップに穴を開けないようにするとともに食べやすくするため、ステンレス串を外して包装する。外観を重視する製品は、竹串を刺したまま5~6尾を段ボール箱に並べる。

  • 製品 スーパーや量販店では発泡トレイに入れてラップ包装して販売することが多い。

加工に用いる機器等

 竹串、ステンレス製の平串、ステンレス製の棒状の串、炭、炭床(写真12)、焼き網、ガス式焙焼機(写真13)

写真12 炭床 (提供:森俊郎)
写真13 ガス式焙焼機 (提供:森俊郎) 

品質管理のポイント

 加熱ムラができないように、皮の焼き色、身の色、手で持った時の串から伝わる身の軟らかさなどを五感で感じ取り、焼き上がりを決定している。

安全衛生管理のポイント

 生鮮原料、冷凍原料とも加熱前はアミノ酸の一種のヒスチジンから微生物によってヒスタミンが生成されるリスクがあるため、原料の低温管理を徹底する必要がある。

特徴的な成分

 焼きさばの栄養成分を表1に、保存性関連成分を表2に示した。焼きさばは、脂質(37.1g/100g)が多く柔らかい食感で、低塩分(0.8g/100g)のものが好まれるが、水分活性(0.97)が高く、pH(6.2)が中性に近い値で保存性が低い食品であるため、冷蔵や冷凍など低温での流通が必要である。

健康機能性成分

 焼きさばの健康機能性成分を表3に示した。サバは脂質含量が豊富で、青魚の中でもEPA(1500mg/100g)やDHA(2100mg/100g)の含有量が極めて多い。また、ビタミンA(34μg/100g)、ビタミンB2(0.37mg/100g)、ビタミンD(4.9μg/100g) の含有量も多い。その他、ビタミンAや、ビタミンDは、血合肉に豊富に含まれている。
(水産物に含まれる各種成分の効能については、「この図鑑の使い方」末尾の【参考情報】をご参照ください)

包装および保管方法 

 料理店など業務用に出荷するものは、紙箱に数尾ずつ入れて外装梱包する(写真14,15)が、量販店などに出荷するものは串をはずして樹脂製トレイに1尾ずつ入れラップで包装することが多い(写真16)。10℃以下の要冷蔵、もしくは-20℃以下の要冷凍で保管する。

写真14 焼きさば (提供:森俊郎)
写真15 紙箱入りの竹串付き製品 (提供:森俊郎)
写真16 トレイラップ包装した製品 (提供:森俊郎)

調理方法および食べ方 

 薄い塩味がついているので、電子レンジで加熱してそのままもしくは少量の醤油をつけて食べるとサバの味が良く感じられる。3枚におろして骨を取り除き酢飯と合わせ巻き簾やラップで巻いて焼きさば寿司にした製品もある(写真17)

写真17 焼きさば寿司 (提供:森俊郎) 

参考文献

・鈴木平光他.魚の種別栄養価.「栄養士さんのための魚の栄養辞典」(大日本水産会編)1996;36.

(著者:元兵庫県立農林水産技術総合センター 森 俊郎)
                    (取材協力:株式会社財木商店、兵庫県漁業協同組合連合会)