鯛の子印魚卵塩辛とは
昭和の初めに柏崎駅前にあった旅館「岩戸屋」の7代目中野平左衛門がタイやサバの卵を長期塩蔵し、それを切りほぐし糀などを混ぜて客に出したのが最初である。それが美味で好評を博したことから商品化したものである。
生産地
新潟県柏崎市
生産の動向
昭和30年代には生産量が多い年で年間500t以上の同製品が製造されていたが、現在は柏崎市内の1社だけの製造となり、生産量も限られている。
原料選択のポイント
原料は、マダラの卵(写真1)を使用する。卵巣の表皮には色の黒い黒皮と黒くはない赤皮のものがあり、赤皮の卵巣はそのまま塩漬けをするが、黒皮のほうは皮をむき、塩漬けする。赤皮の卵巣は皮のついたまま塩漬けした方が脱水され良く漬かる。塩は沖縄の海水塩を使用している。また、適度に熟した卵を選ぶのが大切である。未受精卵や水っぽい完熟卵(水子)でなく、卵がしっかりしたものを選ぶことが重要であり、製造前に少量の卵をボイルして熟度を判断する。
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加工技術
原料の卵に塩を混ぜ、木製の樽で最低でも半年から1年程度重石をして塩蔵し、脱水・発酵させたのち、木製の樽の中で熟成させることによりうま味成分を作り出す。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 以前はアラスカ産のマダラの卵が使用されていたが、近年は北海道産のマダラの卵を使用している。なお、製造当初はタイの卵に似ていると言われるサバの卵も使用されていた。
- 皮むき 原料が黒皮の卵巣の場合は、皮をむく。赤皮の卵巣の場合は、血合い(血管や筋)を丁寧に取り除く。
- 塩蔵 20%以上の食塩で塩漬けする。最低でも常温で6ヶ月以上塩蔵する。
- 塩分調整 20%以上の食塩を混ぜ塩蔵するが、塩蔵後も塩分濃度を確認する。塩水の濃度が20%以下の場合は立て塩(塩水漬け)を行い、卵巣の塩分濃度を20%以上に保つ。脱水を良くするために均等に重石を乗せることが大切である。(写真2,3)
- 原料配合 塩蔵した卵巣を取り出し、チョッパー(3〜4㎜程度)にかけ原料を撹拌する。
- 調味・混合 砂糖水(砂糖を水で溶かし沸騰させる)に着色するために食用赤色106号をごく少量混ぜる。その中に塩蔵した魚卵をチョッパーに掛けたものを混ぜ、調味料を入れて撹拌したのち、もう一度チョッパーに掛けてからよく撹拌する。
- 熟成(短期) 味を馴染ませるため、短期間熟成する。
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(㈱田塚屋提供)
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製品の形態
包装は120g入りの小びんに詰めてラベルを貼り、化粧箱に入れ製品とする(写真5)。
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調理方法および食べ方
一般的な塩辛類と同じように食されているが、パスタやチャーハンの調味材料としての人気も高く、パスタ専門店等で「魚卵塩辛パスタ」としてメニュー化されたこともある(写真6)。
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(著者:株式会社田塚屋 尾崎 徳明、新潟県水産海洋研究所 松原 祐樹)
