目次
第7章 水産漬け物 第3節 麹漬け

海産物はさみ漬け

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主生産地

保存方法

冷蔵保存

キーワード

かずのこ/重ね漬け/酢酸溶液/米麹/塩/北海道

備考

Kaisan-butsu-hasamizuke/伝統的加工品

海産物はさみ漬けとは

 海産物はさみ漬けとは、「重ね漬け」とも呼ばれ、始まりは戦後と言われており、古くから北海道の漁師町で製造されていた。種々の野菜で魚を挟み込んで、米麹と塩で漬ける。はさみ漬けに使われる材料の中でも、北海道の代表的な水産物であるサケやコンブははさみ漬けによく使用される。使用される魚介類には、カニ、かずのこ、ホタテガイなど、その地域に根ざしたものが利用される。

主な生産地

 北海道

原料選択のポイント

 はさみ漬けに使用する魚介類原料は、サケに限らずカニなど様々な素材が使用されている。原料の鮮度は重要で、鮮度の悪い原料からはよい製品ができない。サケは塩蔵後、冷凍したものを流水解凍し、素早くスライスして酢締め液に投入する(仮酢漬け)。仮酢漬けは、魚介を酢酸溶液に浸漬し、ボツリヌスE型菌による食中毒を防止するための前処理のために行う。

使用する副原料

 米麹、野菜(白菜、人参、生姜など)

加工技術

 サケフィレを酢酸に浸漬し、pHを低下させる(仮酢漬け)ことにより、ボツリヌス菌E型菌の増殖を防ぐとともに、他の汚染微生物の増殖を抑制することが可能となる。同時に塩や砂糖などの調味液を加えることで食べやすい酸味に仕上がる。
 市販の米麹は乾燥工程を経ており、水戻しをすることにより、麹の酵素の作用を充分引き出すことができ、漬け込み時に甘みやうま味の形成が進む。野菜は塩水に浸漬することにより、細胞が原形質分離を起こして脱水され、しなやかになる。

製造工程の概略

加工の実際

 海産物はさみ漬けは、農産漬物と異なり、海産物を使用することで食感やうま味に優れ、彩りが鮮やかな漬物である。製造に手間がかかるため、価格帯の高い食品である。以下に海産物はさみ漬けとして代表的なさけはさみ漬けの製造方法を記載する。

  • 原料 冷凍のシロサケフィレを用いる。

  • 解凍 フィレの鮮度が製品の品質を大きく左右するため、真空包装にて保存されたサケを半解凍にてスライスし(写真1)、同時に酢締めする。その後、冷蔵庫にて味付け熟成させる(写真2)

写真1 鮭のスライス (北日本フード(株)提供)
写真2 鮭スライス酢〆&味付け (北日本フード(株)提供)

  • 酢締め スライスした鮭を10%酢酸に24時間浸漬後、液切りする。

  • 野菜 白菜、キャベツ、人参などを選別後、洗浄し、3%食塩水に48時間浸漬する。

  •   米麹に砂糖、塩、酢等に水を加えて麹調味液を造る。

  • 積層 漬け込み用バット内に、野菜、麹、魚の順に繰り返し積層する。(写真3,4)

写真3 重ね漬け工程① (北日本フード(株)提供)
写真4 重ね漬け工程② (北日本フード(株)提供)

  • 漬け込み 積層が終わった漬け込み用バットに蓋をして、内容量の重量と同程度の重しをして2日間漬け込む。

  • カット・包装 漬け込みが終わった重ね漬けを所定のサイズにカットし、包装する。(写真5,6)

写真5 製品の細断 (北日本フード(株)提供)
写真6 カップ詰め(北日本フード(株)提供)

加工に用いる機器等

 はさみ漬け細断用カッター(写真5)
 スライサー
 包装機

品質管理のポイント

  • 白菜の塩漬けは2日間行い、冷蔵庫保管で3日以内に使用する。
  • サケの酢締めは汚染細菌、特にボツリヌス菌の増殖抑制に不可欠な工程であり、解凍したフィレを10%酢酸混合味付け液に24時間浸漬後、液切りし、冷蔵庫保管で5日以内に使用する。
  • 白菜の塩漬けは2日間行い、冷蔵庫保管で3日以内に使用する。
  • 異物検査は金属探知機および目視により確認する。

製品の形態と保管方法

 製品形態は100g~300gのブロック状にカットされた製品が包装され、冷蔵保管にて販売されている。

調理方法および食べ方

 開封後そのまま食する。

参考文献 

・小川敏男.「漬物製造学」 光琳. 1989;25-56
・佐々木政則ら.サケいずしの化学的,微生物学的性状に及ぼす原料サケの酢漬け処理の影響.日水誌 2005; 71: 369-377.
・日本うま味調味料協会 https://www.umamikyo.gr.jp/

(著者:北海道立総合研究機構 食品加工研究センター 吉川 修司)
(協力:北日本フード 株式会社)